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馬に会える本。(3)

    メイショウドトウという馬がいる。競馬のお仕事をしていた馬で、今は牧場で暮らしている。

    人間だって馬だって、仕事を全うしたあとどう生きていくのかというのは、個々にとって切実な問題となる。特に馬の場合は、自分がこれからどうするのかを自ら決断することができず、その運命を人の判断に任せなければならない。

    この本には、牧場で暮らす馬と猫との仲睦まじい写真がたくさん載っている。美しさをただ切り取った姿ではなく、馬と猫との関係性がよく見えて、馬と猫の一日の流れもよくわかる写真ばかりだ。普段通りの、緊張がとけている表情がとても愛らしい。
    この本の魅力は、こういった写真集の側面だけではない。牧場ができた経緯や、牧場での日々の苦労や喜びなど、牧場の物語まで知ることができる。もちろん、ここにやって来た馬や猫のことも。
     そして馬を直接飼うことができない、私のような馬が好きなだけの人間でも、陰ながら馬を支えていく方法を、いくつか記載してくれている。(この本の売上の一部も、この牧場の馬たちのために使ってもらえるようだ)

     ただ馬を眺めるだけではなく、癒されるだけでは終わらない、深い一冊だ。

『ボス猫メトとメイショウドトウ
              引退馬牧場ノーザンレイクの奇跡』

                               著者: 佐々木祥恵
                               発行:辰巳出版株式会社
    

    

    
     

     

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