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経営会議や予実管理会議で使える報告用テンプレート

経営企画業務の1つに予実管理と会議体の運営があるのですが、様々な会社の支援に関わらせてもらう中で、各社の課題意識が共通しているように感じています。

[目的と課題意識]

経営企画支援をしている中で予実管理における課題の1に、各社が挙げていらっしゃるのは意思決定ツールとして活かしきれていない点になります。

上記の図は各会議体における目的になるのですが、実は予実管理は四半期決算説明会から各部門会議に連関性を持たせることで精度がグッと上がってきた経験がありました。

経営者は各ステークホルダーに対する説明責任を負っており、経営企画は経営陣の説明責任をサポートすることが重要な業務でもあります。
そのためには各会議体で事業進捗を立体化、連関性を持たせて、取締役会できちんと意思決定のツールとして予実管理を活用出来るようにすることが必要だと、常々意識しています。

事業モニタリング/予実管理を経営会議の1アジェンダや、切り出して予実管理専用の会議を実施、レポーティングのみにするなど各社の取り組みは様々です。ただしモニタリングをしていくべき項目はある程度フレーム化することが可能なため、普段私が事業モニタリング/会議体運営の事務局支援や過去の経験から報告用資料をテンプレート化してみました。

noteの有料版をご購入頂きましたら、Google Driveにファイルを置いておりますので、そちらよりダウンロードしてください。

[あるべき予実管理とは]

予実管理には事業計画の進捗を分析する要素と先を見通す要素の2つがありますが、前者は施策や事業仮説の検証を通しての分析とアクションプランの立案、後者は実績を元にフォーキャストモニタリングをして、最終的にはIRの業績見通しに活用していくものとなります。

経営企画を生業にしている自分としてテーマに掲げているのが、予実管理をマネジメント・コントロールのツールとして活用する、というものです。
ヒト・モノ・カネの最適配分をし、組織目標を達成させる。そのための発着点として予実管理(+管理会計)は最適な意思決定ツールの1つであると考えています。財務KPIの設定、それに影響を及ぼす事業KPIを月次(予実管理の高度化が出来るようになると週次)のモニタリングを通して、事業の異常値や対処すべき課題の発見、計画や施策の修正に活かしていけます。
更にはフォーキャストモニタリングを導入し、月次や四半期単位、半期や通期の見通しまで出せるようになると、組織を跨いだリソース再配分の意思決定にも活かせていけるようになります。

フォーキャストモニタリングに関しては以下のnoteもご参照ください👇


[テンプレート/フォーマットの構成]

本テンプレート/フォーマットは月次分析と振り返りをすることを前提としたものとなっており、構成としては以下の通りとなっています。
①会社全体
②各事業部門
③バックオフィス
④Wrap up

事業はプラットフォーム、B2B、SaaSを例として選んでみましたが、各社ビジネスモデルや勘定科目が違うため、ご利用する際には適宜変更して頂けたらと思います(スライドの枚数は表紙を含めて54枚)

①[会社全体の予実管理]
1.全体トピックス
2.財務会計サマリー
3.管理会計サマリー
4.売上高/売上原価/売上総利益/販管費/営業利益の推移
5.変動費/限界利益/固定費/事業貢献利益の推移
6.財務会計と管理会計のウォーターフォール分析
7.管理会計分解と損益分岐点分析
8.人員推移

予実管理の報告で先ずは全体感から示していきます。月初に実施するならば、先月のハイライトであるトピックス、財務会計と管理会計のサマリー、財務KPIの推移、営業利益の前月比要因分析(ウォーターフォールを使用)、損益分岐点分析、人員数推移が経営陣の感度の高いポイントかと思います。

②[各事業部門の予実管理]
1.財務会計サマリーと詳細
2.管理会計サマリーと詳細

続いて、事業部門の予実管理において各部門は本社費配賦後営業利益までモニタリングしていくのが一般的かと思います。例えば、限界利益は課長、事業貢献利益は部長、本社費配賦後営業利益の責任は執行役員など、レイヤーごとに利益責任を持たせるのもいいでしょう。

事業のオーバービューを最初に示して、財務KPIの網羅的に見れるようにします。その後各事業の数値推移や前月トピックス、予実管理を踏まえて当月のアクションプランを提示していきます。

②[プラットフォーム事業の報告内容]
1.前月トピックス
2.流通額(GMV)/手数料率/ネット売上
3.限界利益/事業貢献利益/変動費/固定費/事業貢献利益/本社費配賦後利益
4.事業KPI (ID数/単価/マッチング数)
5.当月施策

プラットフォーム事業においてはマッチングモデルのため、事業KPIは顧客ID数と顧客単価、マッチング数によって流通額が算出されます。因みにこの流通額(GMVとも呼ぶ場合もあり)はP/Lには反映されず、手数料率を掛けたものがネット売上と呼ばれています。このネット売上も売上高=売上総利益でもあるのが、マッチングモデルの特徴でもあります

②[B2B事業の報告内容]
1.前月トピックス
2.売上高/売上総利益
3.限界利益/事業貢献利益/変動費/固定費/事業貢献利益/本社費配賦後利益
4.事業KPI (総顧客数/平均顧客単価/既存顧客数+単価/新規顧客数+単価)
5.当月施策

B2B事業は顧客へ商材を販売するのが基本モデルになるため、顧客単価 x (販売)顧客数が売上高となります。またビジネスモデルによっては労務費と給与で人件費を分ける場合もあります。

②[SaaS事業の報告内容]
1.前月トピックス
2.売上高/売上総利益/ネットMRR/既存+新規MRR
3.限界利益/事業貢献利益/変動費/固定費/事業貢献利益/本社費配賦後利益
4.事業KPI (総顧客数/平均顧客単価/既存顧客数+単価/新規顧客数+単価)
5.事業KPI (チャーンMRR/離脱顧客数/チャーンレート/S+M費用/LTV/CAC)
5.当月施策

SaaSは経常収益が見込みやすいのが特徴でもあり、プロダクト、マーケティング、オペレーションを磨き込めば全体最適に繋がりやすい、と様々な会社を見ていて感じました。ネットMRR、チャーンレート、Magic Numberなど秀逸なKPIは事業モニタリングをする上でとても分かりやすいです。
余談ですが、Unit Economicsを算出するにあたり、LTV / CACを使います。CSの役割として、リテンションレートを下げることがありますが、管理会計の観点でいくと、顧客維持コストも経営企画は気にしています。CSの人件費、機能開発にまつわるランニングコスト、顧客維持に関わる分の間接費配賦なども費用が走り続けているので、(私が勉強不足でもありますが)リテンションコストを加味した損益分岐点的なKPIもありそうな気がします。

③[バックオフィス]
1.前月トピックス
2.管理部門費用/共通費

バックオフィスの費用として、管理部門の費用と共有費で分けて間接費合計として管理していくのが各部門の費用責任が見やすくなると思います。

④[Wrap up]
1.合意事項 (事業/全体)
2.ネクストアクション (事業/全体)

最後は会議を通して議論になった点のとりまとめ、次回会議までの新たなアクションプラン(=宿題)をファシリテーターは会議中にスライドを完成させれば終了です。全体、各部門の予実管理を通じて出てきた課題をあぶり出し、1つ1つ課題を解決していけば予実管理の成果も見えやすくなります。

最後に有料noteをご購入頂けましたらGoogle Driveのリンクがございますので、そちらよりテンプレートをダウンロードして頂けます

*Google Workspaceの企業アカウントからのアクセスが出来ないケースがありますので、個人アカウントからGoogle Driveにお入り下さい

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