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陰謀論と信仰(其の二)

コロナワクチン「獣の刻印」説

あ~っ・・・言っちゃった・・・・

COVID-19が絶賛猛威を振るう中、各製薬会社が競うように開発を進めてきたコロナワクチン。
国によっては「ワクチン接種が社会経済活動への復帰の条件だ」と言わんばかりの制限をかけて大いに物議をかもすこととなった。

そんな前代未聞の事態に見舞われてしまったもんだから、自分含め一部の(特に今まで聖書にあまり精通してこなかった)クリスチャン達は、「コレってもしや・・・あの黙示録に書いてある『獣の刻印』なんじゃ・・?」という疑念を抱き始める。
そんな中、一部のクリスチャン系YouTubeチャンネルでは、コロナワクチンと獣の刻印の関係性を示唆するようなことを言い始める。
それどころか、ある牧仕に至ってはコロナワクチンを「獣の刻印」だと明言(※)し、これらの疑念を抱いていた人たちの間で大いに波紋を呼ぶことになった。(※厳密には、獣の刻印に「なる」という趣旨の発言だった)

結局のところ、問題の本質は、コロナワクチンがどうとか、獣の刻印とは何ぞやという議論そのものというより、先走った見解と文脈を無視した聖書の拡大解釈、必要以上に危機感を煽られたことによる惑わしが広がったことにより、クリスチャンの間や教会の中でも分裂・分断が起きたことだった。
皆が皆そうではないと思うが、今も陰謀論サイドにいる人たちの中には、その確信が強すぎるゆえ自ら議論をふっかけておきながら自分の思いに沿わない意見は感情的にバッサリ切り捨てたり、SNSの投稿やコメントなどで事実上の自己主張に終始してしまっている人も目にする。
この分裂により、キリストの身体である教会に対して大きな傷痕を残すことになってしまったといっても過言ではない。

本質から目を逸らさせる陰謀論、再び

さて-
先日起きた、我が国にとって非常に悲しく、そして忌まわしいあの事件。
この事件の実行犯である男の供述を元に、根拠のない陰謀論が広がりつつあり、もはや第二の「モリカケ」となる勢いで盛り上がってきている。
それも、今まで陰謀論に関らなかったような人たちが、次々と声を張り上げはじめているのだ。

しかしながら、安倍元首相、そして政権与党と統一協会の関係については、既に統一協会の内部事情、あるいはその歴史的背景を知る方々から、今騒がれているような密な関係を否定する証言がすでに複数あがっている。

にも関わらず、エビデンスに乏しい真偽の分からない話と部分的な情報の寄せ集めにより、あたかもそれが「真実」であるかのように主張し、拡散するのは、コロナワクチンやディープステートに代表されるような陰謀論をまことしやかに囁き、言い広めるのと何ら変わらない行為だ。

何か不可解なこと、自分の認識と異なる情報があると、ある勢力やキーワードと結びつけたがるのは、陰謀論的な言説の典型的な特徴です。

楊井人文氏の記事(上記リンク)より引用

国として、また時には有権者である国民を巻き込んで本来議論すべきことから目を逸らさせて、今回のようなスキャンダルに人々の意識が持って行かれてしまうのは、ある意味敵の思う壺でもあると認識している。

かつて「モリカケ」のために、それをダシにして当時の安倍総理を糾弾するために、どれだけの政策が、その議論や意思決定が置き去りにされてきただろうか。
そのスキャンダルを追及するために、どれだけの時間を浪費してしまったのだろうか。
そんなことをやるために、投票所に出向き当時の国会議員を選んだのだろうか。
今やいのやいの騒ぎ立てている人たちは、そのことをよく考えて欲しい。
外野が騒げば騒ぐほど、一部の野党はそれらの声を「民意」と称して利用して、政権与党を糾弾するための道具として使い始めるからだ。

今回の参院選、ひとりひとりが思いを託して票を投じたはずだ。
にも関わらず、次の国会が「自民党と統一協会の関係の追及」一色になってしまったりはしないだろうか。
今現在、国として議論すべきことは山ほどあるはずだ。
本来、岸田政権に問うべきはカルト教団との癒着なんかじゃない。
そんなことよりも重大なものが山ほどあるはずだ。
国家安全保障、エネルギー危機、電力需給、インフレに伴う経済対策、そして改憲に向けた議論など。
それらを置き去りにしてまで、この陰謀論のために貴重な時間とリソースを浪費することになって欲しくないと、切に願っている。

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