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008:エグい修正が普通の顔して来た時

ヤツがやってくる、涼しい普通の顔して

知ってるかい?ライターやコピーライターなんかは、書いて終わりじゃぁないんだぜ。作家も同じだな。デザイナーも。こちとら、「修正」ってヤツに怯えながら、暮らしてるんだ。

ヤツ、そう「修正」。修正っていうのわぁ~、説明不要だね。微妙なチョチョイとその通り直せばいいものから、こりゃ完全に書き直しだなというものまで幅広くある。その修正ってのが、妥当かどうかなんて、25年近く書く仕事しててもわからない。

僕の場合は、クライアントに立った(編集系)経験もあるので、自分の修正指示が不条理に尽きるなってのもあったと思う。不条理なやつは、不条理なだけで、これまでOKと言ってたけど、突然手のひら返しNGなんてのがある。

不条理な修正ってのは、そのブラックボックスを探るとこんな感じ。

  1. デザイナー・コピーライターと打ち合わせ

  2. 上がりチェックしてOK出す

  3. 校正版(ゲラ)を関係各所に配布

  4. 編集長・上司・校閲・同僚(先輩)・お客様の声・社長など、いろんなヒトからNG・ダメ出しを言い渡される

  5. デザイナー・コピーライターに不条理な修正を伝える

  6. デザイナー・コピーライターは残業しながら、あのクライアントはアホやバカや、優柔不断や、二重人格やなど悪口言いながら手を動かす

と言った具合だ。まぁ、担当者といっても会社員なので、会社から羽交い絞めにされたら、修正対応しなくちゃならん。

で、例の話。エグい修正の話になる

修正全てが手の込んだ大変なものじゃない。プライドをぐりぐり棒で押し付けられて、「痛ッ」となるだけだ。だからこそ、ムッとしたらダメ。そんなときは、「いたたたッ。もぉ~カンベンしてくださいよぉ」って、地べたを這いながら、へらへら受け取る。

そう、修正はいつも普通の顔をして、やってくる。だから、受け取った時点では「エグい」のかわかんない。量が多いとかなら、一目でわかるけど、修正渡される場合って

  • 電話で修正を聞きながら、校正紙にメモメモ

  • PDFに朱書き(修正)が書かれている

  • 直接、コッチ来いやッと言われて、クライアントのところで(この場合、聞きながらメモするか、朱書きの入った校正紙渡されながら説明を受ける)

なので、ファーストインプレッションは「量」なのだ。量がおおいとエグいなぁと思いがち。これはこれで、防御本能としては正しいのだが、ホントのエグい奴は、普通の顔してやってくる。

修正の指示の量少ないなぁ、と思いながら受け取って、あるセンテンスをよく見ると、なんと赤い字で「再考」「全面変更」なんて書かれてる。これは、電話や対面の場合は直接その話を聞ける。でもその理由なんて教えちゃぁくれない。だって、ディレクションを受けて作ったものまたは、校正版を一度あげて確認とったものに「再考」「全面変更」なんてしてくるワケだ。

そりゃぁ、理由なんて説明できないぜ。だって、修正の理由は外部要因。特に「なんかこれ、ダメ」「ここ、つまらない」「ここ、わかんないよ」「これで売れると思ってるの?」なんてふんわりダメ出しが多いから。

普通の顔してやってきた、修正はどうするかって?そんなこと、タダじゃぁ教えないよ。でも、今回は特別にっ。その対応方法とは、「ただひたすら修正する」だけ。そのためには、うっすい話でもクライアントから話を引き出して、小さい合意やヒントを得る。で、そこから書くのだ。これは、初心者だと辛い。

初心者のライターが、修正を恐れるのはこうした普通の顔してエグいのが来るってなんとなく本能で理解してるからかも。そして、その対応策がなにか合理的な方法として世の中にあると思っている。これは間違い。そんなもん無い。だから、書く。書く。書くのだ。挫けない。ただ書く。

で、途中で修正の金の話をキチンとする。タダじゃぁない。どんなことも。それはクライアントのディレクションミスまたはアサインしたライター間違いによるもの。だから、100%とは言わないまでも、幾分かの修正費用は申し送る。そのためにも、ライティングフィーには修正〇回まで、以降は実費(量と時間に応じて、変動)的な打ち合わせをクライアントとしておくのだ。仕事を受ける前に。

そうすれば、修正だって金になるんだ。あなたに非がない修正なら、クライアントはまた発注してくる。だから不思議と、エグい修正が来ると次も仕事もらえるというパラドックス的で、ドラゴン紫龍のクロスのような矛盾が起こるのだ。(おわり)

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