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自然と人のダイアローグ

先日、再開館した国立西洋美術館に行ってきました。
お目当ては「自然と人のダイアローグ」。
自然との対話をテーマにした美術展です。

私の好きな印象派の画家たちだけではなく、ドイツ・ロマン主義の画家、現代美術家の作品が並びます。

展示室に入る直前の場所。入る前からわくわくします。

たくさんの絵画を見ていく中で、やはり私はモネやゴッホ、シニャックといった、明るく、柔らかい印象の絵が好みでした。

光、空、雲、水、植物、木陰。
身近な自然の中にある美と向き合ってきた画家たちの作品は、見ているだけで優しい気持ちになれます。

彼らの作品を見ていると、自分の小学生時代を思い出しました。

私の母校である小学校は、周りの小学校に比べると、自然があった方だと思います。桑の実や夏ミカンの木、ザクロ等々、様々な木があり、ビオトープがあり、とにかく自然が身近でした。お昼休みに木登りをしている子もいました。

小学生の私は土日で暇を見つければ、自転車で小学校に行き、ただぼーっと木や葉が揺れている姿や、花が咲いている姿、蛙やオタマジャクシがビオトープの中を泳いでいるのを見ていました。それを見て俳句や短歌を考えてみようとする、なんともまあ、渋い小学生です(笑)

自然をじーっと見ていると、当たり前かもしれない、小さいかもしれないけれど、心が和む発見がありました。
ゆっくりと様々な色に染められる空や、そこを流れる雲、葉っぱの隙間から見える光、植物の影が映る池、一人で体育館の裏にいるときに聞こえる、風が木々の間を通る音、足元に咲く、名前は分からないけれど小ぶりできちんと上を向いている花々。

身近なところに美しいもの、心奪われるものがあるのだということ。

私たちの目に映る、身近な自然の姿はモネやゴッホが生きていた時代とあまり変わらないのかもしれない。そう思うと、展示で見た絵画に親しみを感じぜずにはいられませんでした。

また、今回の展示では印象派の画家だけではなく、
ロマン主義のフリードリヒの絵画や、写真家たちの作品もあります。
自然のありのまま姿や、自然そのものがもつ大きな力が表現されている印象でした。自然は美しいだけではなくて、時として私たち人にとっては恐れになるということも考えさせられます。

自然の中に長い時間、身を置いてみると、その中にある美しさに気付いたり、畏怖の念が湧き上がる。
自然と向き合い、対話してきた画家たちが描いたものに触れること。
それは普段目の前の情報を処理することに精一杯な自分に、肩をぽんと叩いてあげることになる気がします。

彼らが描いたものを見た後、
「あー、なんか忘れていたなあ、この感覚」と思い、
美術館を出てまず最初にしたことは、空をじっと見ることでした。
夏盛りの空には、ぱきっとした白い雲が流れて、深緑の葉が揺れています。
今、手元には絵の具はないからなと思い、代わりにスマートフォンで写真に収めてみました。

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