『うつヌケ』白と黒の歯車の正体って何?|心理カウンセラーが明かす「うつ」と「ビリーフ」の関係
うつ専門の心理カウンセラー塩澤順哉です。
今回は、田中圭一著の『うつヌケ』で出てくる「白い歯車」と「黒い歯車」の正体について、カウンセラー目線でお話ししようと思います。
田中圭一著『うつヌケ』概要
タイトル:うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち
著者:田中圭一
出版社:KADOKAWA
発行日:2017年1月19日
ジャンル:ドキュメンタリーコミック
白と黒の歯車って何?
2つのビリーフ(思い込み)
著書『うつヌケ』では、「白い歯車」と「黒い歯車」という2つの歯車が登場します。
”人の頭の中には「白い歯車」と「黒い歯車」があって、このうちの黒い歯車が、頭の中で悪さをする。”
著書内では2つの歯車のことを、このように描いています。
人の頭の中に存在するという、白と黒の2つの歯車。
悪さをすることは分かったけれど。
じゃあ、結局のところ、これって一体何なの?
皆さんの中にも、疑問に思われた方は多くおられるのではないでしょうか。
簡単に言うと、この2つの歯車は、僕たち誰もが持っている「思い込み」のことを指します。
人の頭の中には、ポジティブな影響を与えるものと、ネガティブな影響を与えるものの、2つの「思い込み」が存在します。
これら2つは心理学用語で「ビリーフ(信念・思い込み)」と呼ばれています。
白い歯車=エンパワメント・ビリーフ(力づけになる、思い込み)
黒い歯車=リミッティング・ビリーフ(制限する、思い込み)
白い歯車は「エンパワメント・ビリーフ」と言って、私たちを力づける信念や思い込みのことを指します。
エンパワメント・ビリーフは、物事の捉え方をポジティブな方向に傾けてくれます。
一方、黒い歯車は「リミッティング・ビリーフ」と言い、自分を制限する信念や思い込みのことを指します。
リミッティング・ビリーフは、物事の捉え方をネガティブな方向に傾けてしまいます。
黒い歯車の活動が強まると、心に悪影響を及ぼしてしまうため、僕たち心理カウンセラーは、主にこの「リミッティング・ビリーフ」に対してアプローチしていきます。
あなたの人生を制限するビリーフ「黒い歯車」
黒い歯車「リミッティング・ビリーフ」は、「リミッティング」と「ビリーフ」の2つの言葉から構成されています。
「リミッティング」とは「制限する」ということ。
「ビリーフ」とは「思い込み・信念」を意味します。
「制限する」対象は、たった一つ。あなたの人生です。
つまり、リミッティング・ビリーフとは、
あなたの人生を頭の中で制限している思い込み・信念
のことを指しているわけです。
この思い込み・信念の作用が強まると、物事をネガティブな方向に傾けて捉えるようになってしまいます。
このことからもお分かりいただけるように。
うつの原因は主に、この制限するビリーフ「黒い歯車」が頭の中で悪さをした結果なんですね。
逆に言えば、黒い歯車が頭の中で回らなくなると「うつヌケ」できるということになります。
そのためには、黒い歯車を白い歯車に変えていく必要があります。
黒い歯車(リミッティング・ビリーフ)を、白い歯車(エンパワメント・ビリーフ)に書き換えていく手法。
これが「ビリーフ・チェンジセラピー」です。
僕の心理カウンセリングでも、このビリーフ・チェンジセラピーを用いて、物事の捉え方をネガティブな方向からポジティブな方向へ変えていくお手伝いをしています。
黒い歯車がもたらす影響【例1】:8歳の少女と両親の離婚
先ほどもお伝えしましたが、黒い歯車が頭の中で活発に悪さをすることで、人はうつになります。
なので、黒い歯車が頭の中で回らないようにする必要があります。
これが、いわゆる「うつヌケ」です。
著書『うつヌケ』第5話(P35)の例を見てみると分かりやすいかもしれません。
8歳の女の子は、自分の両親が離婚の危機に瀕しているとき、こんな制限をするビリーフ(思い込み・信念)を身につけました。
「私さえいなくなれば、この場はうまくいく」
そうです。
自分自身の存在を否定してしまったんです。
ビリーフには色々な種類があります。
これは、その中の内の「存在するな」というビリーフになります。
また、8歳の女の子は、自分のこれからの人生について、無意識のうちに次のように決めてしまいます。
「状況が行き詰まったら、自分を引き算する」
このように、幼少期に決めた生き方のことを「人生脚本」と言います。
想像してみてください。
8歳の女の子にとって、お父さんお母さんの離婚というのはどれほどショックなことか。
たとえ、ご両親が「離婚はあなたのせいじゃないよ!」と伝えたとしても、子供は「私のせいで、離婚するんだ」と思い込んでしまうことがあります。
これは、容易に想像がつくのではないでしょうか?
著書内の彼女は、大人になってから、不眠、早朝錯覚、じんましん、不安、胃潰瘍といったものに日々悩まされることとなります。
それでもなんとか、仕事や趣味の登山を通じて「うつヌケ」することができるわけですが。
実はこのうつヌケ、本質的な問題を脇に置いた状態のままなので、根本的解決には至っていません。
本質的な問題。
これこそが「黒い歯車」です。
黒い歯車の正体を見極め、解決しなければ、うつヌケが完全に成功したとは断言できません。
不眠、早朝錯覚、じんましん、不安、胃潰瘍など。
一見すると、てんでバラバラの原因によって引き起こされた症状のようにも思えます。
しかし、心理学的な背景を鑑みてみると。
これらの悩みはすべて、8歳のときに身につけた「存在するな」というビリーフが原因となって現れた症状であることが分かります。
「存在するな」というビリーフ。
これこそが、黒い歯車の正体です。
仕事や登山を通じて「うつヌケ」していくことは、ものすごく意味のあることであり、素晴らしい人生だと思います。
ただ、本質的な課題である黒い歯車は一旦横に置いている状態です。
自分にとっての黒い歯車を分かっていない状態の彼女。
うつヌケ状態は、一体いつまで維持できるのだろう?
今日明日にでも、再発してしまわないだろうか?
その点が、読んでいて凄く複雑な気持ちになりました。
黒い歯車がもたらす影響【例2】:自分の存在価値と仕事の実績
黒い歯車の例としては、次のようなものもあります。
本を書く仕事をしているAさん。
彼は、本が売れるときは調子が良いけれど、本が売れないと、途端にうつになってしまうと言います。
これは、彼自身の「存在価値」が「本の売れ行き」と連動しているために起きる現象です。
本が売れる自分は存在価値があるからオーケー!
本が売れない自分は存在価値がないからダメ!
この判断基準にもとづいた結果、本が売れないときは自分の存在価値が見い出せず、うつになるというわけです。
これが、彼にとっての黒い歯車(ビリーフ)です。
かつての僕も、彼と同じようになっていました。
黒い歯車が頭の中をグルグルと回っているときは辛くて仕方ありませんが、それさえ変えてしまえば、とっても楽になれるのも確かなので。
ゆっくりと、確実に。
そこを変えていけるといいですね。
うつの正体「黒い歯車」を「白い歯車」に書き換える
ビリーフ・チェンジセラピー
ビリーフは、変えることができます。
なぜなら、ビリーフは自分で作り出したものだからです。
自分で作り出したものは、自分で変えることができます。
先ほどの例1でお話した8歳の女の子の場合だと「私さえいなくなればこの場はうまくいく」と自分自身で決めたこと、これが、ビリーフの原点です。
「私さえいなくなれば良い」
自分の存在を否定するビリーフ。
ものすごく、辛い決断です。
でもそれは、自分で決めたことなので、ある意味において、決め事を自分で変えるのもまた、自由と言えます。
だからこそ、ビリーフ・チェンジ(信念を変える)をすることで、解決していくことができます。
おわりに
著者の田中圭一さんは、京都市左京区にお住まいなのだそうです。
今は、母校の精華大学で教鞭をとられているんだとか。
どこかでお話しできるタイミングを探してみようと思います!
『うつヌケ』シリーズ、これからも書いていきますね。
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ビリーフチェンジセラピー:
幼少期にできたネガティブな思い込みのブロックを外します。
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