見出し画像

ケー子先生 【詩/現代詩】

僕らの州都は
地面から
3メートルは低かった

晴れの日でもうす暗く
気温は
かがんだまま推移した

(あの夏の先生は変だった)

いつからか
モグラというあだ名がついた僕は
ダウンタウンで
気まぐれによじれていた
モグラのお腹は ずっしりと重く

(光よ)

先生は
気まぐれに
僕を踏みつけた
息子は 眼を瞑ったまま
地面を見上げていた

(1988年夏 あの頃のランチは
 毎日がハンバーグ
 テーブルに頬杖をつき
 なまめかしく灯台を見ていた)

《光あれよ》

チーズは
ほの暗い場所を好む
「君らはどんなにおいがしたの」
ハンバーガーは
建国のシンボル
バラされた肋骨がゴリゴリ
南部のパン工房に
転がされていくモグラたち
チーズが焦げるにおい

ああ 光よ

《神よ》

その毛だらけのふしだらけ

(ケー子先生は 偉大なる歯茎で
 チーズバーガーにかぶりつく)

数珠になったランチタイムの
モグラの艶めかしい腹部が
州都を揺らす

(メキシコ移民の歌をうたっていた
 ザンコクな英語教師)

僕=モグラは噛み砕かれていく

(2024.4.15 修正)

この記事が参加している募集

私の作品紹介

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?