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不定期夢日記

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永遠の夏の夢

チューペットをくわえながらクーラーのよくきいた部屋でテレビゲームをしていた。
窓のカーテンは開かれていて、澄んだ水色に大きな入道雲の夏の空が広がっていた。
僕のいる洋室のフローリングにも強い日差しが入り、日向のところだけ光の模様がもやもやしている。
埃が薄く舞い上がり、きらきらと時間が堆積していくのを眺めるようだ。

テレビゲームにも飽きて、椅子にあおむけにだらんと身体を引っかからせて、逆さの視線

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鯨の胃袋でできたクラブの夢

そのクラブはなんでも鯨の胃袋や肺を壁材にあしらっているらしく、低音が響くたび異様にたわんだり膨らんだりする。
おれはそのクラブでおおっとか、わっ、とかいいながら蛍光グリーンの炭酸飲料をおおかたこぼしながら中二階にあがろうとする。
耳の可聴範囲ギリギリのど低音に一音ごとにニュアンスが変わってゆく異常に輪郭のはっきりしたハイハットの音。
それに清潔な声質なのだがそれがやたらに猥褻に聞こえる女のささやき

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ぶどうの夢

深夜、ふいに目を覚ました。
ふと気になってキッチンのテーブルに置いておいていた葡萄を眺めた。
葡萄からはちりちりと小さな光が蒸発するように立ち上っており、葡萄の生命が少しずつひかりとなって失われてゆくようであった。
私の家は、都心の交通量の多い高層マンションの中層階である。
窓から漏れてくる光が、部屋中を赤や青、黄から紫へと様々な色に柔らかく照らし出す。
ふいにこの葡萄が、この世にある物質で唯一、

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