さいごのひ。
しあわせ。
とある老舗の喫茶店でコーヒーを頼む。
目の前にあの人。
一番大切な人。
「この雰囲気いいよね」
外の世界とは違う、ゆっくりと時間の流れる店内。
揺れるたばこの煙。
流れるクラシック音楽。
「このコーヒーおいしい」
率直な感想。
おいしさを共有できて、さらにおいしくなるコーヒー。
「今日久々に暑いね」
たわいもない話。
楽しいひととき。
「ありがとう」
わかってた、さいごのじかん。
からっぽのコーヒーカップ。
扉の向こうに現実。
さようなら。
二度と帰ってこない時間。
しあわせでした。
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