人間とは何かを読みました
”人間とは何か”を読みました。
私は、特に病んでいるわけでもないのに「生きている意味がわからない」と日常的に感じるタイプの人間なので、本書のペシミズムな考えは割とすんなり入ってきました。
では適当に感想文を書いていきます。
出てくるのが
「人間は、自分の精神的安定を第一に考えて行動する。第一に自分のために動き、第二に他者のために動く」
「人間は外部からの影響を受けて動く」
「人間は機械である」
という主張です。
例えば、国のために出兵した臆病な男。
戦場へ行く恐怖と、出兵しないことによる周りからの評判を天平にかけた時、後者の方が自分にとって苦痛だから出兵します。
臆病な男が国のために勇気を出して出兵した、という風に見えますが、実は「周りから白い目で見られるのが嫌だから」という自分の都合で出兵しているのです。
一見利他的な行動でさえも、自分の精神的安定を第一に考えて人間は行動するというわけです。
他にもいうと、おばあちゃんを助ける、なけなしの金をホームレスにやるみたいな利他的な行動も、自分がそうせずにはいられない何かがあり、人を助けるよりもそれを満たすことが第一になっています。
自分がそうせずにはいられない何かというのは、幼い頃受けた教育や家庭環境によって形成された思想といったものです。
困っている人を見たら助けなさい、と親から言われていれば、そうせずにはいられない自分が出来上がります。
そして、次の主張に「人間は外部からの影響を受けて動く」というのがありますが、
上記の出兵の話で例えると臆病に育てば、兵士になることに臆病になるし、たくましく育てば、兵士になることになんら疑問を持ったりはしません。
決断というのは、自分で考え出したもののように思えるが、結局は外部から受けた影響の結果であり、自分で考えたものではないのです。
困った人を助けるというのは、困っているから助けるのではなく、「困っている人がいたら助けなさい」という教育を受けてきたから助けているのです。
これらをみると、人間は外部から受けた影響で機械的に動いていることになります。
では、人間は外部から受けた影響で機械的に動いているのならば、真の自分、真の自分の考えというのはどうやってわかるのかということになりますが、それは残念ながら本書には書いてありません。
「自分の考えなんてものはない、この人間社会事態が全て虚空のもの」と書いてあるような印象です。
まぁなので、自分が何をすべきか、自分は何がしたいのか、といったことは、いったん周りのいうこと(親、友人、家族、インフルエンサー、本に書いてることなど)全部抜きにして、自分で考えてみた方がいいみたいです。
そしてその考えはどこからきたのかをしっかり辿ったほうがいいですね。親が言っていたからとか、この人が言っているからとかそういうのが動機になっていたりしますので。本当に自分が考え出したものなのか、深掘りした方がいいということ。
長くなりましたが、「自分で考えていることは実は外部から受けた影響の産物であること」、「人間は自分の精神的安定を第一に行動すること」、などといった本書にある考えは今後の人生において、何か決断をするときなど、「まてよ」と一つ下がって自分を客観的に見るきっかけになるなと読んで思いました。
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