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ぽっちゃりマダムのお守り唐揚げ

ぽっちゃりマダムとは私の母のこと。
そんな私の母は昔からおいしい唐揚げを作ってくれる。

学生時代は小学校、中学校、高校と給食制度だったので
遠足や運動会などのイベントの日にしか食べられなかった。

以前一度、この唐揚げのレシピを聞いたことあるが
めんつゆに、すりおろした玉ねぎ、生姜、ニンニクをいれること。
そして片栗粉を使って揚げていくこと。
ぽっちゃりマダム的最大のポイントは【すべて目分量】でとのこと。

そんなぽっちゃりマダム特製の唐揚げについて
エピソードはたくさんあるが特に鮮明に覚えているのが

社会人になり初めて一人暮らしをしていたあの頃。
仕事が終わり家に着く時間は毎日22時をまわっていて
食事はというと、あえるパスタソースをまぜる気力しか残っていなかった。

ある日の休日。宅急便で母の唐揚げが届いた。
早速油をひいて片栗粉を塗して揚げていった。

ザクザクとした衣の食感を味わいつつも私の頭のなかは
仕事でしでかしたミスの事。
新しい環境で始まった攻略が難しい人間関係のことで忙しかった。

そういえば昔からクヨクヨしがちな私の悩みを
母はいつも【なるようになるよ】と豪快に笑いながら
吹き飛ばしてくれてたっけ。そんなことを思い出しながら
食べ終わる頃にはあんなに頭の中を忙しくさせていた悩みが遠ざかっていた。

ぽっちゃりマダムの唐揚げは昔から私のそばにあって
学生時代のイベントでは【怪我をしないように、楽しめるように】
そして社会にデビューしたてだった私には【元気が出るように、頑張れるように】とそんな母のあたたかい気持ちがたくさんつまった
まるで私を守るお守りのような唐揚げだった。


最近実家に帰省するたびに
【唐揚げくらいあなたも作れるでしょう】
とよく言われるが
わたしは毎回とぼけることを決めている。
なぜなら私はこれからもずっとぽっちゃりマダムの唐揚げが食べたいからだ。

#元気をもらったあの食事


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