見出し画像

さよなら、おくすり〜お酒と私

「眠れないんです。」

内科で眠るためのお薬をもらっていた。
かれこれ2年にもなるだろうか。

眠れないという事実に気がついたのは
もう10年以上前のこと。

翌日も早出するために、日が変わる前にベッドに入ったはずなのに。
一晩中、目を閉じて時間のすぎるのを1時間ごとに確かめる。
起きているのか、眠っているのか。
焦りが押し寄せる。
このまま眠れないのか。

寝返りを何度も繰り返しているうちに、段々と空が白んでくる。
そのころには鳥がさえずり始め、目覚ましが鳴るまで
1時間を切っている。

”ああ、また今日も眠れない、、、”

頭の中央が、ジンと痺れるようにほのかに痛い。

どうしようどうしようどうしよう。

ぐるぐる繰り返し、答えの出ないまま起床時間になる。

それでも時間がくれば、1日がはじまっていく。
絶望的な気持ちのまま、1日がはじまるのだ。

そんな毎日に耐えきれず、お手軽に眠れるだろうと
安易な考えで、酒を飲んで眠ることを覚えた。

初めは帰宅してから、350ミリのチューハイを1、2本。
それで足りなくなるのに時間はかからなかった。
500ミリのチューハイが1本、2本。

家まで帰宅する我慢ができなくて、
会社を退社して、一番近い酒屋の自販機で酎ハイを1本。
家までの道々を酒を飲みながら帰るのだ。

最初に買った350ミリのチューハイはすぐに無くなるので、
途中途中のコンビニや、スーパーで買い足して。

会社から家までの40分、チューハイを片手に人気の少ない道を
隠れるようにして帰るのが日課になった。

500ミリのチューハイが3本の時もあったし、飲みすぎて
翌日に酒が残っていても、マスクをして酒臭さを誤魔化して
仕事はなんとかこなしていた。

それも限界が来て、会社を退職することになったけれど
酒の量は減ることはなく、

今日と明日の境目を無くすように誤魔化してその日その日を生きていた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?