似た者同士になり始めたこうめとカカ。
自己主張としつけのせめぎ合いが続いている。毎日繰り広げられるこの日常が、最近妙に微笑ましい。
今回は、しつけの定番、「片付け」の一コマ。

まる、さんかく、しかく。
色は赤と青と緑と黄色。それに、黒と白も。
こうめが最近はまっているブロックは、
なんの脈絡もない自由な発想で、
毎回違った造形物に変わっていく。

これまで2、3分おもちゃで遊べば、
別のおもちゃに心変わりしていたこうめが、
このクリエイティブな遊びにだけは最低30分、
のめり込むようになった。

親バカのトトとしては、

トト(心の声)「いいぞいいぞ。このまま、何時間でも続けて、新世紀のエジソンに。。」

なんてことを考えたりしてみたりなんかするのだが、その妄想はあの声によってだいたい遮られる。

カカ「ほらー！もう10時！寝る時間！」

どんなにこうめが抵抗しても、
この声の前には無力。
この王の大号令による強制退去は
家庭内の絶対的なモノとなっている。

こうめ「ぎゃーーー！！め！！」

そんなことを言いながら、
寝る前のお片づけの時間が始まる。

1つ、2つ、3つ、カカの手からブロックが
箱に入っていく。

その死角になる。右腰付近。

1つ、2つと、
ブロックが箱から飛び出していく。
こうめだ。
カカの一瞬の隙をつく、見事な犯行。
気づかれるまでの10秒ほど、
大好きなブロック工事をカチャカチャカチャ。

カカ「もうー！さっき片付けたやつー」

そんなこんなでドタバタと片付けが進み、
2人はベッドに消えていった。。

ここで終わりならいいのだが、
トトはどうしても言いたいことがある。

トト「いやいやいや、カカ、お前もだー！」

2人が去ったリビングのテーブル。さっきトトがきれいに片付けておいたはずの場所には、

①スーパーカップバニラ味の殻
②アイスの実の小袋の殻２つ

それに、
③テーブルにそのまま置かれたスプーンと、
④一口分だけ残したジュース

もう一度言う。

「カカー！お前もかー！」

1人リビングに残り、
片付けのアディッショナルタイム。

カカに聞こえないように毒突きながら、
いつのまにか、顔がにやけていた。

片付けが苦手な似た者同士。

2人の本気のせめぎ合いのすき間に垣間見える、
かすかな気づきの中に、
幸せのカケラは転がっている。

そんなクサくてキザな考えを浮かべながら、
いつもより、
ちょっとだけ丁寧にテーブルを拭き、
少し遅れてベッドに向かった。

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