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栄養素じゃないのに【酸素】が栄養素クラスに重要な理由|ビタミンB1についても少し触れます

こんにちはSHOです。僕のnoteを読んで頂きありがとうございます。

生きていく上で必要なこと、それは【呼吸】です。

○呼吸によるエネルギー生成

息を吐いて〜
息を吸って〜

呼吸をしないと生きていくことができません。呼吸をすることで体内で生成された二酸化炭素を排出して酸素を取り入れています。

これは子どもの頃から当たり前に行っていることなので、特別に意識したことはないはずです。

・生きていく上では酸素は絶対に必要なんだ
・体内で酸素がなくなることはないんだ

この2つは無意識に思っている人がほとんどでしょう。


ここから少し面倒くさい話をしていきます。


「なんで生きていく上で酸素が必要なのか?」という話です。こんなこと考えなくても生きていくことはできるので、興味がある人だけ読み進めて頂きたいです。


これは糖質代謝の話を学べば「ああ!なるほど!」と思うことができます。

これは「異化」という反応なのですが、体内ではエネルギーの素になるもの(この場合はグルコース)を分解して二酸化炭素を作り出しています。全てではないですが、多くの場合この過程には酸素が必要なのです。これを体内で行っている呼吸ということで内呼吸、普段私たちが行なっている呼吸のことを外呼吸と呼んだりもしています。

エネルギーはATP(アデノシン三リン酸)という形で保存されますが、糖質代謝でエネルギー生成する経路は主に2つ。

・解糖系
・ミトコンドリア系

です。

解糖系は細胞質基質で行われ、酸素を必要としないエネルギー生成で、嫌気呼吸とも呼ばれます。ミトコンドリアで行われるエネルギー生成(クエン酸回路・電子伝達系)には酸素が必要で、好気呼吸とも呼ばれます。これを行うために酸素が必要なのです。

あれ、でも解糖系でエネルギー生成できるから、別に酸素なくても良いのでは?と思った方もいらっしゃるかもしれません。これの説明には生命誕生の歴史から考える必要があります。

○生命体の誕生

遠い昔の話。

地球の大気中の酸素濃度はゼロで、私たちの先祖である単細胞生物(原核細胞)は、無酸素の世界で活発に細胞分裂し増殖できる不老不死の解糖系生命体でした。

その後地球上に葉緑体が登場します。植物なので光合成が行われ、その結果副産物として酸素が発生しました。大気中の酸素濃度は2%程度になり、酸素を使ってエネルギーを作るミトコンドリアが登場します。

長く無酸素の世界で生息してきた酸素嫌いの生物にとって、大気中に漂う酸素は猛毒でした。そこで、ミトコンドリアと合体することによって酸素濃度が上昇しても生き残ることになったのです。

その後、私たちの直接の先祖にあたる真核細胞が出現します。先祖細胞が生き残りをかけて合体を図った結果、私たちはエネルギーを2系統で作るようになったと言われているのです。


というわけで、細胞小器官の中でもミトコンドリアって特別なんです。独自のDNAを持っているとも言われていますから。酸素が必要なのは細胞がミトコンドリアと共生しているからなのです。

○ミトコンドリアでエネルギーを生成するにあたり特に必要な栄養素

ミトコンドリアでエネルギー生成をするにあたっては、酸素が必要なのは言うまでもないのですが、他にもさまざまな栄養素が必要となります。

その中でも特に糖質代謝に必要な栄養素を1つピックアップして今回の話をおしまいにいたします。

それはビタミンB1です。

解糖系で作られたピルビン酸は好気呼吸としてはクエン酸回路に入っていくのでした。

クエン酸回路に入っていく前に、ピルビン酸は活性酢酸(アセチルCoA)になります。

その際に起こる酵素反応の1つで「酸化的脱炭酸反応」というものがあります。これはピルビン酸から二酸化炭素が離れる反応のことです。これには様々な酵素が関与しているのですが、その際に使われる様々な酵素の総称を「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体」といいます。ただ、そのこの酵素を活性化させるためには「チアミンピロリン酸」という補酵素が必要です。


なんか一気に難しいこと言ってしまいましたが、整理してお伝えいたします。

・酸化的脱炭酸反応
・ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体
・チアミンピロリン酸

この3つの名称は覚える必要はありません。あぁそうですかでOKです。

ただし、補酵素は重要です。酵素の働きを助けるために無くてはならない存在なのが補酵素です。

身体の中には酵素単体で働くことができるものもありますが、補酵素がないと働くことができない酵素も存在するのです。

そして、酵素はたんぱく質からできていますが、補酵素はビタミンやミネラルから出来ています。そして補酵素として働く主なビタミンが【ビタミンB群】なんです。 ちなみにさっき書いた「チアミンピロリン酸」のチアミンとはビタミンB1のことをいいます。チアミンピロリン酸とはビタミンB1の活性型なんです。


今度は逆から説明いたします。


チアミンピロリン酸はビタミンB1の活性型。
 ↓
チアミンピロリン酸がないとピルビン酸ゲヒドロゲナーゼ複合体は活性化しない。
 ↓
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体が活性化しないと酸化的脱炭酸反応が起きない。
 ↓
活性酢酸に変換されないからクエン酸回路が回らない。
 ↓
クエン酸回路が回らないってことはエネルギー生成効率が悪い

こんな感じになります。ビタミンB1が多く含まれるのは豚肉、玄米、うなぎ、大豆類などです。なので糖質を多く摂取する人はビタミンB1をたくさん摂取する必要があるのです。


というわけで、今回は栄養素じゃないのに【酸素】が栄養素クラスに重要な理由とビタミンB1についても少し触れてお伝えしてきました。

ここまで読んで頂きありがとうございました。


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