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【2万字】 ブランドをデザインする人が最初に読むnote 【保存版】

デザイナーにとって、「何がいいもので何がダメなものか」を決める基準を持つことはとても難しいと同時に重要であると思う。自分がいいと思うかどうかの一点に重きを置いても良いかもしれない。しかし、(特に筆者の場合)それでは「デザイナーとしての仕事」がうまくいかないことが多かった。

それは、デザイナーという仕事はクライアントとその向こうにいるカスタマーの両方に向けて「良いデザイン」をしなくてはいけない。クライアントとお客様がデザインに対して(あるいはそのセンスにおいて)別々の価値観を持っている場合さえある。

デザイナーは複数人の「センス」という至極ふわっとしたものを納得させなくてはいけない。

その時(制作段階からクライアントへのプレゼンテーションなど)において、これから書いていく事柄がデザイナーの役に立ち、クライアントの満足とカスタマーの感動へ繋がれば幸いだ。


はじめに 

この note の内容は筆者の偏見も多く含まれています。5年ほどの「デジタルマーケター」としての経験から筆を進めている部分が大半となっているため、学術的な正しさの考証は行なっておりません。「これからデザインを始める人のキャッチアップになれば幸いです」という思いから作成しています。

注意事項

挨拶

僕(筆者)は本屋に行くと必ずデザインの本を見る。「20XX年 クリエイターファイル」的な、多くのデザインがイメージとともに紹介されている本が大好きだ。見ているだけでモチベーションが湧いてくる。

もちろんデザインのセンスを上げるために、たくさんのデザインに触れることはとても大事だと思う。しかし、改めて考えると、デザインについて文章で学んだことがなかった。センスだけで、なんとなくで作っていた。

しかしそれでは、クライアントへのプレゼンテーションや「どうしてこのデザインがいいんですか?」「こっちだとダメですか?」などの質問の回答に困ることがあった。

そこで、一旦初心に戻って、「最低限(あるいは基本)」について考え直すことにした。この note はこれからブランディングデザインをするデザイナーに向けたものであると同時に、自分への教材でもある。

ブランディンデザインとは?

ひとえにデザインと言っても広すぎる。
パッと上げるだけでも、これだけ思いついく。

  1. グラフィックデザイン:ロゴ、ポスター、広告、ウェブサイトのデザインなど、視覚的なメディアの制作に関連。

  2. プロダクトデザイン:商品や製品の形状、機能、使い勝手などを設計する分野です。工業デザインとも呼ばれる。

  3. ウェブデザイン:ウェブページやアプリケーションのユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)をデザイン。

  4. アートディレクション:広告やメディアプロジェクトにおいて、ビジュアルな要素を統括し、コンセプトを確立する。

  5. パッケージデザイン:製品のパッケージやラベルのデザイン。商品の識別や消費者とのコミュニケーションを考慮します。

  6. イラストレーション:絵や図を描いて、情報を視覚的に伝えることを目的としたデザインの形態。

  7. 映像デザイン:モーショングラフィックス、映画、アニメーションなど、動画や映像に関連するデザイン。

その中でも、今回は「ブランディングデザイン」に焦点を当てたい。デジタル、非デジタル問わず、企業やプロジェクトを「デザイン」を通してより良くする為には「ブランディングデザイン」を作成する必要がある。

ブランンディングデザインとは何か。簡単にイメージするものでいうと、ロゴやwebサイト、キャッチコピーなど。お客さんがその企業名を聞いてイメージするもの、あるいはそのロゴを見てサービスを想起させるものである。

ブランディングデザインは、企業や製品、サービスなどのブランドに対して、一貫性のある視覚的なアイデンティティやイメージを創り出すプロセスおよびその結果を指します。ブランディングデザインは、企業や製品が市場で差別化され、消費者との強いつながりを築くために不可欠です。デザインの要素が統一され、戦略的に構築されたブランドイメージは、信頼感を生み出し、顧客忠誠度を高める役割を果たします。

ブランディングデザインとは?

例えば、

マクドナルドのロゴ

このロゴを見た多くの人は、油と塩っけのあるポテトの味を想起する。しかしもちろん、この画像には「赤い背景に黄色でMと書いてある」以外の情報はない。

これは、マクドナルドという企業が作った(あるいは人類のDNAに刻んだといってもいい)イメージなのだ。

効果的なブランドデザインを作り、時代に合わせて調整しながらも一貫して使用してきた結果、マクドナルドのアイデンティティとなったのだ。

デザイン一つで:
・ブランドのメッセージを人々に伝える(ブランド→人)
・デザインからブランドを想起させる(人→ブランド)
ことによって、アイデンティティを確立する。
それこそがブランディングデザインなのである。

ちなみに、マクドナルドの「M」は正確には英文字のMではないらしい。創業当時店舗に架かっていた2本のアーチ状のオブジェ(橋?)をイメージし、名称も「ゴールデンアーチ」らしい。

デザインとは:アートとデザインは違うのか

ここで一度、「アート」と「デザイン」の違いについて考えたい。
一言で言うと、
アートは主観的・非機能的であり、
デザインは客観的・機能的なものである。

もう少し詳しく言うと:
アート:
・主に表現と感情の追求に焦点を当て、主観的で個性的
・必ずしも目的や機能は必要ない
・受け取り手の解釈が自由であり、幅をもたせる

デザイン:
・問題解決や機能性に焦点を当て、客観的で目的がはっきりしている
・目的があり、そのための機能を備える
・受け取り手の解釈を制作側でコントロールしようとする

そして、ブランディングデザインは紛れもなく、「アート」ではなく「デザイン」である。

そう言った意味で、デザイナーのセンスを爆発させる場でも、独自性に走る場所でもない。クライアントと目的や利用用途を協議・合意し、狙った効果を受け取り手に与えるための活動なのだ。その部分を誤認していることで、痛い目にあった経験さえもある。(し、多くのデザイナーのジレンマもここから生まれるものが多いと思っている)

世の中のブランディングデザイン

ここで、いくつか世の中の成功しているデザインを紹介させて欲しい。
百聞は一件に如かず。

まずは、「こういうものを作っていくんだ」と言うイメージを持ってもらうために。

マクドナルド

主に店舗やテレビCMなどの広告を通して使用される。
赤をベースに黄色い「M」を見て、マクドナルド以外を想像する人類を私は知らない。
3分ほど見つめていると、体がポテトを求める魔法のデザイン。

マクドナルド
https://dailyportalz.jp/kiji/two-types-of-McDonalds-signs

ゴールデンアーチ: Golden Arches)は、世界的なファストフードレストランチェーンであるマクドナルドのロゴである[1]。はじめはアーチそのものがレストランのデザインの一部であった[2]。そのデザインは1962年にチェーンのロゴになり、店舗の形を模していた。そして現在の黄金のM型アーチのロゴは1968年に導入された。ゴールデンアーチは"McDonald's"の"M"を模しているのではなく、世界初のマクドナルド店舗にあった2つのアーチを重ねて模している。このように二つのアーチから構成されているため、ロゴの名称は英語ではゴールデンアーチーズ(Golden Arches)とアーチの複数形を使用した表現が使われているが[3][4]日本マクドナルドでは単数形の発音をカタカナ表記にしたゴールデンアーチの呼称を公式に採用している[1]

Wikipedia

adidas

三本のラインはもはやadidasの専売特許である。
ジャージや靴などの商品などへの取り入れやすさも抜群であり、後述するデザインする際の素材となる「アセット」を考える時にいつもaddidasに対する嫉妬を抱く。3本線をひくだけで、「あ、addidasだ」となるのはデザイナーを天才と呼ばざるを得ない。

アディダス;トレフォイルロゴ
アディダス;スポーツパフォーマスロゴ

3本線はアディダスの登録商標であるため[8]、ロゴ扱いとなり2000年代のある時期からテニス4大大会などにおいて、ウェアの3本線の大きさ(長さ)の制限がなされている[9][10]。この3本線は、1951年にフィンランドのスポーツブランドカルフから約1600ユーロとウィスキー2本で使用権を買ったもの。

Wikipedia

Red Bull

あらゆるスポーツ大会で見かけるレッドブルのロゴ。
その覚えやすさや、インパクトもさることながら、
「翼を授ける」と言うキャッチコピーを知らない大学生(あるいはゲーマー)はいないだろう。
最近はMONSTERの方が売れていると言う噂だが、「エナジードリンク」と言う市場を作った王者を忘れる日はそう来ないだろう。

レッドブル

何を制作して行くのか?

ブランディングデザインの構成要素についておさらいをしたい。
構成要素?はぁ?とならず聞いていただきたい。

本noteで触れる「デザイナーとして最低限何を作ればブランディングデザインを作ると言えるか」である。

ブランディングデザインというとあまりに広すぎる。ロゴとキャッチコピーだけでもそう言えなくもないし、制作前のアンケートやリサーチ、カスタマージャーなどによるお客様の成功体験への動線づくりも含めてブランディングとも言える。そしてそれにかかる費用の相場も、数万から数千万円まで。

なので今回は「最低限の目安」よく言えば「基礎」として、本 note で触れるものを紹介する。

  1. ブランド名:

    • ブランド名は、そのブランドを識別し、他と区別するための基本的な要素。ブランド名は簡潔で覚えやすく、目標市場やブランドの価値観と一致している必要がある。適切なブランド名は、消費者に印象的で鮮明なイメージを伝える。

  2. ロゴ:

    • ロゴはブランドの視覚的な象徴であり、一般的には文字や図形、色彩などを組み合わせてデザインされる。ロゴはブランドのアイデンティティを強調し、視覚的な認識を高める重要な要素。成功したロゴは、ブランドを強化し、視覚的な一貫性を提供する。

  3. コピー:

    • ブランドのコピーは、言葉を使ってブランドメッセージを伝える手段である。これには広告、ウェブサイトのコンテンツ、商品説明などが含まれる。コピーはブランドのトーンやスタイルを反映し、目標市場に適した言葉でブランドのストーリーや価値観を伝える。

  4. ブランドカラー:

    • ブランドカラーはブランドの視覚的な一貫性を確立し、感情や印象を引き起こす重要な要素。特定の色がブランドと結びついていると、それが視覚的な識別子として機能する。ブランドカラーはロゴ、ウェブサイト、パッケージなどのデザイン全体に広がる。

  5. デザインの使用ルール:

    • ブランドデザインには一貫性が求められる。デザインの使用ルールは、ロゴの配置、フォントの使用、色の取り決めなど、デザイン要素に関する指針を定義する。これにより、異なるコンテキストで一貫性のあるブランドイメージを維持することができる。デザインの使用ルールはブランドガイドラインとして文書化され、関係者や制作チームに共有されることが一般的。

イメージとして、これから何を作成して行くのかの全体像を知りたい方は、以下のURLからNETFLIXのブランディングデザインを見てきて欲しい。これから紹介するプロセスを通して生まれるもの(みなさんがこれから作って行くもの)が綺麗にまとめられている。

https://brand.netflix.com/en/assets/logos

NETFLIX Brand Site
https://brand.netflix.com/en/assets/logos

デザインの魔法が効く相手は?

ブランディングデザインにはどんな力が秘められているのか。
デザインは時に魔法のような魅力を持つが、決して魔法ではない。
デザインというものができることと、できないことがある。

ここで、今回の note の場合、「クライアントに依頼を受けてデザインをする」ということを想定する。(自身がクライアントである場合でも良い)

そのとき、ほとんどの場合の目的は「利益を生み出すこと」であろう。それは、ブランディングデザインそのものが「広告」あるいは「マーケティング」の一部であるからだ。

例えば、お花屋さんを想定する。
お花を売りたいお花屋さんと、お客様を繋ぎ販売することを今回の目的とする場合、その間には(これもまた一例にすぎないが)以下のようなプロセスがある。

  1. お花屋さんがお花を販売できる状態にする

  2. SNSを作る

  3. SNSに投稿をする

  4. お客様の目にとまる

  5. フォロー、サイトへ飛ぶ、リツイートなどのアクションを行う

  6. お客様がお花を買う

この時、ブランディングデザインの役割は何になるのか。ざっくりと当てはめると以下のようになる。

  1. お花屋さんがお花を販売できる状態にする

  2. SNSを作る

    1. ★デザイン:SNSのトプ画を作成する

    2. SNS戦略:誰に向けて、どのような投稿をどんな頻度で行うか、またフォロワー数の目標などを作る。また、動線を作成する。

  3. SNSに投稿をする

    1. ★デザイン:投稿を作成する

  4. お客様の目にとまる

  5. フォロー、サイトへ飛ぶ、リツイートなどのアクションを行う

  6. お客様がお花を買う

少々周りくどい説明にはなったが、ここでわかって欲しいのは、「デザインはデザインしただけでは本来の効果を発揮しない」ということだ。

SNS投稿一つをとっても、SNS戦略を立て、それに即したデザインにすることで効果を発揮する。これが例えば広告でも、同じである。

以下のプロセスがあったとして、デザインが(ほとんどの場合)力になれるのは、クリック・エンゲージメント・コンバージョンの「率」を上げることしかない。「どれだけクリックされやすいか」を改善するのであって、「どれだけ見られるか」の「絶対数」を増やすことは別の分野(広告など)の分野である

  1. インプレッション(Impression):

    1. 広告が表示または表示される回数を指します。これは、ユーザーが広告を見た回数を表す。インプレッション数は、広告の露出度を示す指標であり、広告が潜在的な受信者に届いた回数を測定する。

    2. SNS広告に費用をかけたり、バズったり。多くは戦略の部分に依存していて必ずしもデザインの魔法がかかる領域ではない。

  2. クリック(Click):

    1. 広告がユーザーによって実際にクリックされた回数を示す。クリックは、広告がユーザーに関心を引き起こし、進行可能な行動(たとえば、ウェブサイトへのリンクをクリック)につながったことを示す指標。

    2. ★投稿するバナーデザインによって効果を最大化することができる。

  3. エンゲージメント(Engagement):

    1. ユーザーが広告にどれだけ関与しているかを示す。これにはクリックだけでなく、ソーシャルメディアでの共有、コメント、いいねなどの活動も含まれる。エンゲージメントは、広告の受け入れ度や興味を測定する重要な指標。

    2. ★投稿するバナーデザインによって効果を最大化することができる。

  4. コンバージョン(Conversion):

    1. 広告の効果を最終的な目標に結びつける指標。これは、ユーザーが広告をクリックしてから、実際に望ましいアクション(購入、登録、フォーム送信など)を実行するまでのプロセスを指す。

    2. ★ランディングページのデザインによって効果を最大化することができる。

さらに平たく言おうと、「たくさんの人に買ってもらう」というゴールに対し、「より多くの人の目につくように」することは広告などの分野であり、「目についた人の中で、目を止めてもらう人を増やす」ことがデザインの最初のゴールなのである。その先に、よりわかりやすく、より魅力的に、より記憶に残るように、と続く。

デザインの最初の狙いは、「目を止める」ことなのである。

▼ デザインプロセス

これまで、「そもそもブランディングデザインとは何か」や「その効果範囲」について見てきた。

ここからは、実際のクライアントと制作を始めるデザイナーが意識するべきことや、そのプロセスなどに触れていく。

「この通りやれば必ず成功する」というものではないが、「最低限ここは抑えないとクライアントもデザイナーも怪我をする」ものである。

最も重要な事項と注意すべき落とし穴

「不思議な勝ちはあれど、不思議な負けはなし」

まずは、僕自身がこの5年間ほどで最大の敵となった敵の正体を明かす。それは、最初にも言った通り、「デザイン」と「アート」の違いによるものである。

デザインは、「特定の誰かに狙った効果」を出さないといけない。
「不特定多数に自由な解釈を持たせる」アートとは根本的に違うのだ。

つまり、
・クライアントの満足を得ないといけない
・クライアントの求める効果を出さないといけない

まずはその2点をクリアするのに、最低限これはやらないといけないということを交えながら、実際のデザインプロセスを紹介する。

1)ブランドの方向性の定義

ブランディングデザインは、(ほとんどの場合で)アートではなく、産業的なデザインである。目的と機能性を持ち合わせていなければいけない。もう少し具体的にいうのであれば、クライアントの目的を達成する(あるいはそのための追い風となる)デザインをしなければいけない。

例えば、高級なお酒を売っている会社なのに子供向けのデザインをしていたら、それはチグハグである。そのために、最低限以下の項目はクライアントとの協議の中で決めなければいけない。

まずはクライアントとデザインに関するディスカッションを始める前に、以下の情報を共有する(あるいはしていただく)必要がある。

1.1) デザインに必要な基礎情報

  1. ブランドの理解:

    • ブランディングデザインは、単なるロゴやビジュアルデザインだけでなく、企業や製品のアイデンティティや価値観を表現するもの。まず初めに、クライアントやプロジェクトに関する深い理解を得ることが重要。

  2. ターゲットオーディエンスの把握:

    • デザインは対象となる観客に訴える必要がある。誰に向けてデザインしているのか、その人たちの好みや期待について十分なリサーチを行行う。

    • 対象とする主要な受益者や利用者のグループを指す。これには、特定の年齢層、性別、地域、趣味、関心事などが含まれる。デザインが成功するためには、これらのターゲットの特性やニーズを理解し、彼らの期待に応えるように調整する必要がある。

  3. 競合の分析:

    • 同じ市場や業界で競合する他のブランドのデザインを調査し、差別化ポイントを見つける。他社との違いを強調することが、ブランドの特異性を高める助けになる。

  4. コンセプトの明確化:

    • プロジェクトに対する基本的なコンセプトや目的など、そもそもなぜデザインを(あるいはこのプロジェクトを)行うかのゴールを共有する。

上記をクライアントと共有したのち、デザインに関して以下を決めよう。

競合の分析

競合調査の目的は、他社のブランド戦略やデザインアプローチを理解し、差別化のポイントを見つけ出すこと。以下は、ブランディングデザインの競合調査で行うべき主要なポイントである。

  1. 競合他社のブランディング戦略の理解:

    • 同業他社や競合相手のブランディング戦略を徹底的に調査し、それぞれのブランドがどのような価値観やメッセージを強調しているかを理解する。

  2. ロゴとビジュアルアイデンティティの分析:

    • 競合他社のロゴやビジュアルアイデンティティを詳細に分析する。色の使い方、デザインの特徴、視覚的な要素などに焦点を当て、共通点や差異を把握する。

  3. コミュニケーション戦略の調査:

    • (必要であれば)競合他社がどのように顧客とコミュニケーションをとっているかを調査する。広告キャンペーン、ソーシャルメディア活用、イベント参加などのアプローチを把握する。

  4. ターゲットオーディエンスの特定:

    • 競合他社がどのようなターゲットオーディエンスを対象にしているかを理解する。彼らがどのような顧客層に焦点を当てているかを把握することで、自社のターゲット設定に影響を与えることができる。

  5. ウェブサイトとデジタルプレゼンスの評価:

    • 競合他社のウェブサイトやオンラインプレゼンスを調査し、デジタル体験を分析する。ユーザーエクスペリエンスやコンテンツ戦略に焦点を当てる。

  6. 消費者のフィードバックの収集:

    • (可能であれば)ソーシャルメディアやオンラインレビューを通じて、競合他社の製品やブランドに対する消費者の意見やフィードバックを収集する。

  7. 新たなトレンドや動向の追跡:

    • ブランディングデザインの分野での新しいトレンドや動向を把握し、競合他社がこれにどのように対応しているかを確認する。

  8. 強みと弱みの洗い出し:

    • 競合他社のブランディングデザインの強みと弱みを洗い出し、これに対抗できる戦略を考える。

1.2) デザインの方向性の定義

  1. 目指す方向性:

    • 目指す方向性は、デザインが達成しようとするゴールや意図を示す。これは、特定の感情を引き起こす、特定の情報を伝える、ユーザー体験を向上させる、ブランドの価値観を反映するなど、具体的で明確な目標を含む。目指す方向性を明確に定義することで、デザインの方針や進行方向を確立しやすくなる。

  2. 避ける方向性:

    • 避ける方向性は、デザインが避けるべき特定のスタイル、トーン、あるいはメッセージを指す。これには、特定の否定的な感情を引き起こすデザイン、ブランドイメージに合わない要素、法的または倫理的な制約がかかる可能性のある要素などが含まれる。避ける方向性を明確にすることで、意図しない誤解や問題を未然に防ぐことができる。

無限にあるデザインのパターンのなかで、「どれが正解か」はない。ただ、以下が達成できていないブランディングデザインは失敗だと言える。
・クライアントが満足している
・クライアントの求めるターゲットに狙った効果がある

そのいずれに対しても、上記を決めることはほとんどマストである。

決して、デザイナーの趣味嗜好を爆発させる場所ではない。最も難しい点として、他者や社会の受け取り方を想定してデザインしなければいけない。そのために、クライアント(できたらアンケートなどにより第三者の)意見や意向をデザインに反映させなければいけないのだ。

1.3) ブランド名

ブランドの方向性について、足並みをクライアントと揃えた後に、ブランド名(あるいはその表記について)を決める。

多くの場合、これはすでに決まっているとは思う。
しかし、ブランドの方向性と明らかにそぐわない場合は変更を必要とする場面があるかもしれない。

また、例えば同じ社名でも、英語で表記するかあるいは日本語で表記するかが定まっていない場合などもある。

例えば「Happy Flower」という空想のお花屋さんがあったとして、想定するお客様がほとんど高齢者の場合「ハッピーフラワー」として表記した方が適しているかもしれない。もし、(そんなことはないと思うが)多くの取引がお葬式などへのお花の販売であれば、そもそも名前があっていない。

ここで決めたブランド名、表記方法がロゴになるため最初の段階で決めておく必要性は大いにある。

参考までに、意外と意識していない「英語にするか」「日本語にするか」のメリットデメリットを以下に記載しておく。

ちなみに、筆者はロゴの表記を「日本語にするか」「英語にするか」を最初にクライアントと決めていなかったせいで途中で変更したりで工数が爆増した経験がある。

ひとこと

【英語でのロゴ制作】
メリット:
国際的なアプローチ: 英語は国際的に広く使用される言語であり、グローバルな市場にアプローチするのに適しています。
視認性: アルファベットは比較的シンプルで、多くの国で理解されやすいです。
デメリット:
文化の違い: 英語は文化的に異なる地域で異なる意味を持つことがあり、適切なメッセージが伝わるかどうか注意が必要です。
競争が激しい: 英語で広告やブランドを展開する場合、競争が激しくなりやすいです。
【日本語でのロゴ制作】
メリット:
地域特化: 日本語を使用することで、日本の市場や文化に特化したメッセージを効果的に伝えることができます。
ローカルな信頼性: 日本語を使用することで、ローカルな市場での信頼性や親しみやすさを高めることができます。
英語への馴染みのない層へのアプローチ:英語への馴染みがない年齢層へ効果的にアプローチが可能です
デメリット:
国際的な展開の制約: 日本語は日本以外での理解が限定的であるため、国際的な展開には課題が生じる可能性があります。
文字が複雑: 日本語の漢字や仮名はアルファベットよりも複雑で、視認性に影響を与える可能性があります。

英語・日本語での表記

1.3) ブランドコピー

ブランドコピーは、デザインではなく言葉でそのブランドのメッセージを伝えられるという点では、よりダイレクトにアピールするツールとなっている。

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