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願いをひとつだけ叶えてくれる

ひとつだけ願いが叶う神社がある。

以前からずっと、気になっていた看板がある。

一言さん(いちごんさん)。

和歌山向いて、葛城山を右手に走る奈良県道30号線、通称山麓線(さんろくせん)の道路脇にある。


長い春休み、息子を連れて行ってみた。未知なる世界といえば、たいそうに聞こえれるかもしれないが、見たことのないものをのぞくのは、大人でも子どもでもワクワクする。

山麓線を走り、看板の矢印の方向へ向かうと鳥居がみえた。

葛城一言主神社(かつらぎひとことぬしじんじゃ)だ。古事記に第21代天皇の雄略天皇が、葛城山で狩りをされていると、突然目の前に、自身と同じ姿をした人物が現れた。「吾(あ)は悪事(まがごと)も一言、善事(よごと)も一言、言離(ことさか)の神、葛城の一言主の大神なり」と言われ崇拝された。一言ならば、どんな願いも叶えると言われている。

「どれをお願いしようかなあ」


息子がつぶやいた。


「いくつお願いがあるねん」


「3つ」


「一番叶ってほしいことだけやで」


息子は悩みながら参道を歩いた。
石段を登りきると、左手に樹齢1200年ほどの乳銀杏が目にとまった。木というより、不思議な生き物みたいだ。子宝に恵まれる、お乳がよく出るご利益がある。
息子と手を合わせた。

「さあ、拝殿にお参りしよう」


「ちょっとまって。まだ決まってないから」


息子は少し考えて、うなずいた。
拝殿でお参りを済ませて、石段を降りながら息子が


「ここの神さまは、すごい」


「なんで」


「お願いしたら神さまが、わかった。って声がきこえた」


息子の一言さんも、すごかった。

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