映画ゴジラと聞いて、私が思い浮かべるのは2016年に公開された『シン・ゴジラ』と2021年に公開された『ゴジラvsコング』だ。
というか、その二つしか見たことがおそらく無い。もしかしたらあるのかもしれないが、自主的に観ようと思って観たのはその二つなのである。別にこの二つが特徴的だったからとかそういう話では無い。勿体ぶった話の入り方をしておいてなんだが、その二つしか見たことがなく思い浮かべられないことには何の意味もない。
まあ、その流れで、今回の映画『ゴジラ-1.0』も観に行くことにした。舞台は戦後日本とも聞いて、より興味深く思ったことだし。

この先、バンバンネタバレがあるのでまだ観ていない人は読むことをお勧めしません。

まず端的に感想を言うと、もうぼろっぼろ泣いた。私って、戦争が関係する話にこれほど感情移入するタイプだったのか…と、初めて知った。特攻に怯えて逃げた敷島のその気持ちを思って涙腺が緩みっぱなしになったし、それを知って激昂した澄子さんの気持ちもわかる。
しかし澄子さんの子供が亡くなったのは直接的な敷島の責任ではない…というか最早その責任の所在を問う方が…この話はセンシティブになってしまうし、こんなところで話すべきでは無いからもう何も言わない。

最初、敷島に恨みつらみをぶつけていた澄子さんだったけれど、敷島の家に転がり込んできた典子とアキコの事情を知るや否や文句を言いながらも貴重な白米を譲ってくれたりして、そこにもほろり。
アキコという子どもの存在によって、ゆっくりゆっくり張り詰めた糸が緩んでいく様を見るのは非常に暖かい気持ちになった。
子どもを亡くした心の空白を埋めるとまではいかないが、その辛さを和らげる力に少しでもなっていたんじゃ無いかなと感じた。
そして時が流れるにつれて、格好が荒れていた澄子さんの身なりが整っていくことにも、復興の兆しと澄子さんの心が前へ向かっていこうとするのを感じて泣けた。

典子や、大天使典子や。
私は浜辺美波が好きなので、だいぶ感想が贔屓になってしまうとは思うが………典子や………。
そもそも浜辺美波のお顔立ちが1945年あたりを生きる役を演じるにあたってかなり適しているのでは無いかと私は思っていて、今回の映画に浜辺美波が出ると知って思わずガッツポーズを決めた。映画『アルキメデスの大戦』も良かったよね……あの映画超好きなんだよな。
己の弱さを口にして吐き出して敷島を豪快に、そしてあたたかく包み支えようとするシーンは典子の敷島の力になりたいと言う気持ちが眼前に迫ってくるかのようですごく良かった。
そんな典子が吹っ飛ばされた時にはもう私の顔色は真っ青になった。

の、のりこ〜〜〜〜〜〜！！！！！！！！！！
ってか、みなみ〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！！(私情)

テメェ！脚本家！許さねえ！と憤慨した。
私の美波を…………ワ〜〜〜〜〜！！！
案の定敷島もそのショッキングな出来事に遭ってゾンビみたいなモチベーションで生きる感じになってしまうし、散々だ。
最終的にそれもバネにして、敷島は「戦争を終わらせに」行くわけだが…………お前は強い男だね。

「終わらせに」行く敷島、あの日あの時できなかったことを、今度こそやり遂げようとする様は本当にかっこよかった。
というか最終局面、敷島笑ってたしちょっと楽しげだったよな。個人的に複雑な心境になった。
今度こそ役に立てていると思えたからこその笑顔なのかもしれないけど、そうではなく本能的な笑みとも捉えられたから。私は大きなスクリーンの前でそれを観た時、まず後者だと思って鳥肌が立った。本当に、文字通り戦争なんだと思った。相手がゴジラという怪物に変わっただけ。怖い、そう感じた。
この映画は人と一緒に観に行ったのだが、そのシーンについて言及すると相手は「怖い？そうかな…」と言っていたから、もしかしたら私の方が深く考えすぎなのかもしれない。

ゴジラが深海へと去り、平穏が訪れる。
終わったんだな、と思っていたら最後にまさかの展開。なんと典子、生きていた。

典子〜〜〜？！流石に嘘〜〜〜？！

いや、正直この展開あり得ないだろ‥‥と思った。あんな爆風の中、人も瓦礫も全て吹っ飛ばされた中で…それにしては滅茶苦茶綺麗な状態での典子の復活……いやどんなご都合主義…………とちょっと冷めた心地がした。
しかしその後、息も詰まるような場面が映し出される。

アレ……………典子………その首のあざ………な、なにかなあ…………？

ナアナアナア〜ッ、私の美波に何をした〜〜〜ッ？！
え、これ……これ何……？な、なんですか………ゴジラの過去作全部見たらわかりますか…？これなんですか…？
顔面蒼白になって終映後にその件についてパブリックサーチした。なんか嫌な考察ばっかりだった。
観なかったことにした。

エ〜〜〜でももしかして、続編とかある感じなの？そういうつもりで観てなかったよ………。あったとして、くどい感じになったりしませんか…ならないのかな…。あるなら観ますけど……。私の美波が……………。こんなんじゃ終われねえ…。

完璧なハッピーエンドで終わって欲しかったんですけど……最終的な感想、美波？！？！？！になっちゃった………………。

ぼろっぼろ泣いたし、良い映画だったと思う。一つ、不穏な波を立てて、幕を下ろしたこと以外は。
多分叶わないというか、結局面倒くさくなって実行に移さないだろうとは思うのだが、4DXとやらがあるらしいのでそれで今回の映画を観てみたいなという欲求が少しある。あるだけです。