見出し画像

読書記録「きみ江さん ハンセン病を生きて」

こんばんは。最初このnoteを開設したのは、Postcrossingの記録をつけるとか、どんなものか知ってもらいたいかを書くためでしたが、絵はがきを書くのが日常になっているとはいえ、反応はよいとはいえません。同業者?もあまり変わらないんじゃないかと思います。

切手や絵はがきが好きな人がやってるって感じで、英語が上手になりたいと考えてる人は少数なのかもしれません。

さて本題。地域図書館で今日ご紹介する本を見つけました。

片野田斉「きみ江さん ハンセン病を生きて」(偕成社)

数年前に、国立療養所多摩全生園に行ったことがあります。
最初は違う動機でしたが、せっかくなので散策しました。子ども向け資料もあり、読んでみて自分の無知を恥じたものです。それまでは新聞で記事になってたなあ~程度の認識だった。

本は元ハンセン病患者のきみ江さんの半生が書かれています。小学校時代から病気の兆候があるのなら、診てもらえばいいのに、なんていうのは甘すぎる。当時は別の呼び名(差別用語)で、感染してることがわかったら、本人は勿論家族まで差別される時代。

結局きみ江さんは戦争が終わってから、病院に見せたら「感染してますね」となる。家族と離されて、東京郊外の多摩全生園で生活することになった。生活なんてものじゃないなあ。一生そこから出られないってことだから。

ハンセン病は感染力が弱いというのは今の認識で、薬を服用すれば治るらしい。でも昔から差別はあって、特効薬ができてもそれは終わらなかった。普通にしてれば感染しない。

きみ江さんは負けず嫌いで、何事もできるようになるまで努力する。手足の感覚が麻痺してたり、指がほとんどなかったりするのに、である。それも治療を放置していたために起こってしまった症状。

園内で知り合った男性と結婚したのも、そういう気持ちがあったからだと思う。でも子を儲けることはかなわなかった。遺伝する病気だと思われてたからだ(後に養女を迎える)。

多摩全生園に行ったとき(まだコロナ前)、「ここで生活をしている人はかなりの高齢だから、いずれこの施設はどうなるのだろう? しかも薬もあるから、治ってるはずだよね」と思ったのを覚えています。
きみ江さんと同様に、家族と離されて帰る場所がないのです。

大半の人は一生そこから出られないという人生を強いられたわけで、人権問題にも関わってきます。こういう本を読んで、発信することも多少の勇気がいります。戦争の話と同じくらいセンシティブに感じられ、書いてもいいのかためらってしまう。正しく伝える必要があると思います。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?