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【徹底解説】何もないのに触れられる?触覚技術「ハプティクス」の仕組みとは。


Meta(旧Facebook)が仮想空間で触った感覚を再現できるグローブ型デバイスの情報を公開しました。

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この触覚の技術はハプティクスと呼ばれ、視覚、聴覚に後を追う形で研究が進められている分野です。

今回は、そもそもハプティクスとは?という問いから、現在進められているハプティクス技術に関するニュースを解説していきたいと思います!

これを読めば、少し先の未来のトレンドとなるかもしれない「ハプティクスの今」に詳しくなれるかも?

今回のニュースはこちら👇


ハプティクスとは?

ハプティクスとは、振動や動きなど、人間の触覚を刺激する情報です。
そこに何もないのに触ったように感じるような重みや刺激をアクチュエータと呼ばれる電気信号の変換器を使って実現する技術です。

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実は、身の回りで使われています。例えば、WiiやPlay Stationといったゲーム機や、スマホでも映像や音に合わせて振動する機能(バイブレーター)が備わっており、これもハプティクスの一種です。

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近年では、VR(仮想現実)技術の発展と普及とともに、より精度の高い触覚再現が研究されています。

人は五感で世界を認識するとされており、VRや音声と組み合わせて、触覚を含めたすべてを再現してしまえば、現実と仮想世界の見分けがつかなくなってしまう日も近いかもしれません。

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このように見分けがつかなくなってしまうことから、私たちが生まれてから経験するすべての感覚はコンピューターで再現された世界であるとするシミュレーション仮説も語られ始めました。


Metaのハプティクスグローブ


2021年の11月にMeta(旧Facebook)のAR(拡張現実)やVR(仮想現実)の研究を行うFacebook Reality Labs (FRL)が、7年前から開発していた触覚グローブを公開しました。

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Metaは2014年にVRゴーグルを開発するOculusを買収するなど、古くから仮想現実技術に力を入れており、近年はメタバースに注力するために社名を変更するなど、表立って事業の方向性を示し始めました。

そして、このメタバースと相性がいいのがハプティクスです。これにより仮想世界で本物の世界のような体験ができるようになります。

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今回は、積み木遊びやジェンガ、仮想空間で離れた人との握手など、より現実に近い触覚体験を実現する映像を公開し、注目を集めました。

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この触覚グローブには、手のひら側に数百のセンサーと、触覚を伝えるために、空気圧で引っ張られてる感覚を生み出すアクチュエータが備わっています。

大量生産を目指し、VRヘッドセットやARメガネとともに売り出していくそうです。


超音波による空中触覚

ハプティクスを実現するのは、アクチュエータを使ったものばかりではありません。他の方法の一つが「超音波」です。

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この超音波を使ったハプティクスは空中ハプティクスと呼ばれ、イギリスのUltraleap社が有名です。

超音波スピーカーから様々なタイミングの波を出し、その波が干渉して強めあう部分で触覚を感じることができるというものです。

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そして、Urtraleapは2019年に、手の動きをとらえるセンサーを開発するLeap Motionを買収し、ハンドトラッキングと空中ハプティクスを組み合わせて新たな技術を開発しています。

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例えば、車の空調操作やVR、エレベーター操作など、直接触れていないのに、触れた感覚があるボタンやリモコンとして使用されていくとしています。


「のどごし」ハプティクス

今までは手の触覚を再現するハプティクスでしたが、これは「のど」に着目したものです。

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電気通信大学の研究チームは、喉の皮膚を引っ張ることで何も食べていないのに「食べ物を飲み込んだ感覚」を再現する嚥下(えんげ)感提示装置を開発しました。

食事の再現を目指す研究として、電気信号で味蕾を刺激することで味覚を再現するものはありましたが、食べ物を飲み込む動作=嚥下を再現する研究はほとんどされていないそうです。

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物を飲み込むという行為は、我々が思っているより筋力と頭を使う動作であり、脳性麻痺、ダウン症、そして成人でも脳血管疾患、神経・筋疾患の患者、また老化による筋力低下により嚥下障害になる方はたくさんいます。

そのような方のリハビリや嚥下の助けとなるかもしれないこの「のどごしハプティクス」の研究には期待です。


「リアル」ハプティクス

ハプティクスは、架空の触覚を再現するだけではありません。
慶應義塾大学が特許を持つ「リアルハプティクス」では、ロボットが離れたところ触ったものの硬さや感触を人間に伝えるというものです。

つまり、電話が本物の人の声を伝達するように、本物の「触覚」を伝達する技術です。

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人間が作業できない環境で、人間の繊細な感覚が必要な作業には適しています。また、人の感覚を保存することで、より人間に近い繊細な触覚を持つやさしいロボットも実現できます。

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このリアルハプティクスは職人技や、医療・看護・介護・動植物関連業など、リアルな触覚が必要な分野に応用が期待されています。


おわりに

今回は触覚技術ハプティクスについて解説していきました。

この触覚再現が普及していけば、人間のすべての感覚が機械で再現され、現実と変わらない体験を仮想世界できる時代は近いかもしれません。

日々の「触覚」体験を大切にして、見分けがつくうちに「本物」の手触りを楽しんでおきましょう!

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