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米国市場:1/2週の振返りと24年1/8週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4,697.24と前週比-1.52%で終了しました。NASDAQは14,524.07と前週比-3.25%で終了しました。
 2024年の最初の週となった先週の株価は、2023年末の数週間とは様相が異なりました。23年10月末寄り続いてきた過去20年近くで最も長い連騰の1つに終止符が打たれた週となりました。
 新年の初日から3連続立会日で下げ、5日の金曜日は少し持ち直しましたが、年初から気分の重い展開になりました。Fear&Greed指数はExtraGreedを示しており市場は買われ過ぎの状態でしたので、どこかで一服おかれるのは時間の問題だとみていましたがそのタイミングが新年早々出てしまいました。この結果、1月の最初の5立会日のインディケーターがマイナスで終わることがほぼ確実になってきました。5立会日となると1月8日の立会日も含めないといけませんが、昨年末の終値である4,769.83まで1日で回復する可能性は非常に低いため、インディケーターによると今年はちょっと苦しい年になりそうです。とはいえ、大統領選の年でもありますので、大統領選挙がある年は総じてマーケットは上です。既存政党が負ける場合であっても、4.5%程度のパフォーマンスが出ていますので、24年末までを考えると基本は上を見ていていいと思います。
 ただ、最初の3日立会日が下でしたので、通常のリズムとは異なってしまっていると思います。従って、1月~3月は苦しい局面になるとおもいます。過去の大統領選のS&P500の動きは統計上、3月中ごろに‐6.5%程度のダウンになる可能性が高いです。その後、マーケットは切り返して8月末までに大きく上げた後、9月、10月にもう一度ダウンを経験し、10月末にボトム(年初来マイナス1.5%ぐらい)をいれて、12月末には年初来+4.5%で終了するという動きをすることになるようです。過去の経験則からのリズムですのでこの通りになるとは限りませんが、現職の大統領の苦戦が予想される本年はマーケットもこのシナリオで動く可能性が高いです。
 1月~3月が苦しい要因としてもう一つ考えられるのが、長期金利の動きです。今年に入って長期金利は上昇しており、景気が強いということを示唆しています。実際に5日に発表された失業率も予想3.8%に対して、3.7%であり、雇用者数も21.6万人と予想16.8万人を上回っていました。従って、景気はまだしっかりしており、ソフトランディングを織り込みに行ってるということかと思います。しかし、CME FedWatchツールを見ると市場の予想は、3月に0.25%の利下げがあり、5月、6月にも0.25%の利下げが行われ、12月までにはFFレートは3.75-4%になることが一番多い予想となっています。FRBが経済予想サマリーで示したシナリオは1年間で3回の利下げであり、市場参加者の予想と乖離が激しくなっています。つまり、倍のペースで利下げされることを市場は織り込んでおり、それが株式にも織り込まれていますが、昨日の雇用統計とかを鑑みると景気はしっかりしていることから、3回も利下げを行うのも厳しい数字ではないかと思います。このあたりは、1月30日のFOMCでもはっきりしてくると思いますが、その手掛かりを来週以降にあるFRB高官の講演での発言によって市場に動きがあるかもしれません。
 また、S&P500の24年度のアナリスト予想EPSも下がってきています。これは、年中行事ですので年初の予想の下げはあまり気にしなくてもいいのですが、24年度の見通しも12月時点の11.5%成長から11.3%に下がってきており、24年1Q、2Qも下方修正されていることから更なる下方修正も予想されます。23年4Qの決算が今週末より本格化しますがこの結果で若干の動きがあるかもしれません。
 今年は、昨年ほどの好調な年にはならなそうですが、引き続き上は期待できそうです。ただ、一本調子に上げていくのではなく、投資家の不安を掻き立てながら最終的にはプラスで着地するという年というシナリオで望んでいこうと思います。

株式

 S&P500構成企業のEPS予想は、アナリストは2023年第4四半期の予想を下方修正しています。1株当たりでは、第4四半期の推定利益は9月30日から12月31日までに6.8%減少しています。この減少は5年平均(-3.5%)、10年平均(-3.3%)よりも大きいです。また、四半期の予想EPSの減少幅としては、2022年第3四半期(同じく-6.8%)以来の大きさとなります。
 ガイダンスの面では、S&P500構成企業のうち、2023年第4四半期のEPSガイダンスに否定的な見解を示した企業の数、割合ともに平均を上回っています。このうち72社がマイナスのEPSガイダンスを、39社がプラスのEPSガイダンスを発表しています。ネガティブなEPSガイダンスを発表している企業数は5年平均(57社)、10年平均(62社)を上回っています。S&P500種構成企業のうち、2023年第4四半期のEPSガイダンスがマイナスの企業の割合は65%(111社中72社)で、これも5年平均の59%、10年平均の63%を上回っています。
 アナリストによる業績予想の下方修正と各社によるEPSガイダンスの下方修正により、2023年第4四半期の推定(前年同期比)利益成長率は9月30日時点の予想(前年同期比)増益率8.0%に対し、本日時点では1.3%の増益を予想となっています。仮に1.3%が実際の増益率となれば、S&P500種指数は2四半期連続で前年同期比増益となります。しかし、第3四半期(4.9%)より低い成長率となります。11セクター中5セクターが前年同期比で増益となる見通しです。
 収益の面でも、アナリストは当四半期中に予想を下方修正しています。9月30日時点では3.9%の増収予想だったのに対し、今日時点では3.1%の増収予想となっています。仮に3.1%が実際の増収率であれば、12四半期連続の増収となります。前年同期比で増収が見込まれるセクターは、金融セクターを筆頭に8セクターとなっています。
 今後の見通しとして、アナリストは2024年第1四半期の収益成長率(前年同期比)を6.0%、第2四半期を10.6%と予想している。CY2024については、アナリストは(前年比)11.8%の増益を予想している。
 12ヵ月予想PER は19.2となっており、5 年平均(18.9)、10 年平均(17.6)を上回り、第3四半期末(9月30日)の予想PER17.8も上回っています。(Source  FactSet)

来週の主な決算発表(予定)

1/8(月):
<寄付き前>Helen of Troy (HELE)
<引け後>Jefferies (JEF)
1/9(火):
<寄付き前>Albertsons (ACI), MSC Industrial (MSM)
<引け後>PriceSmart (PSMT), WD-40 (WDFC)
1/10(水):
<寄付き前>
<引け後>KB Home (KBH)
1/11(木):
<寄付き前>Taiwan Semiconductor (TSM)
<引け後>
1/12(金):
<寄付き前>Bank of America (BAC), BlackRock (BLK), BNY Mellon (BK), Citigroup (C), Delta. Air Lines (DAL), JP Morgan Chase (JPM), United Health (UNH), Wells Fargo (WFC).

米国の主な経済指標

1/8 (月):
1/9 (火):
1/10(水):
1/11(木):消費者物価指数(CPI)、新規失業保険申請件数
1/12(金):生産者物価指数(PPI)

今週の着目点

 12月のCPIが今週は発表されます。先週は、上述していますが今年6回の利下げを見込んでいた市場の予想を大きく後退させる失業率のデータが発表されていますので、月曜日と水曜日に行われるFRBの講演では、FRBが今年利下げを急ぐ必要がないことをあらためて強調するのではないかとの見方が強いです。また、木曜日と金曜日にはそれぞれ12月のCPIとPPIが発表されますので、これらの指標の発表とともに、利下げの回数を市場参加者がどのように変化するかも確認していきたいです。米国経済は問題ないという状況ですので、それを示すデータが出続ける限り、利下げの回数は減ってくると思います。
 また、株価は1月のFirst-Five-Daysがどのように終わるかを確認後、1月という月がどのような形で終了するかを見るためにも今週の株価の動きは確認しておきたいです。まだ過熱感が少し残る中、今週も調整し1月は大きく下で終わる可能性が高いのか、それともプラスで終了するような気配が見えてくるのか、それによってまたシナリオを少し考え直さないといけないかもしれません。
 決算は12日に大手銀行が決算を発表しますので、消費者の変調についてのコメントがあるかどうかも確認していきたいです。


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