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米国市場:3/4週の振返りと24年3/11週の予定

概略

・先週で一時的な休憩相場に入ったと思われる

 ・パウエル議長は年内に利下げの可能性を示唆。
 ・個別株には調整が入る可能性も

・今週の注目点

 ・2月ISMの結果を踏まえれば、2月CPIとPPIはほとんど上昇しない。
 ・2月の鉱工業生産・設備稼働率は、製造業の景気をより明確にするか。

市場概況

 先週のS&P500指数は、5,123.69と前週比-0.26%で終了しました。NASDAQは16,085.11と前週比-1.17%で終了しました。
 先週の株価は、3指数そろって下落しました。今年に入ってから大きな上昇、さらにさかのぼると23年10月下旬からの大きな上昇を続けてきましたが、先週で休憩期間に入ったようです。これまで上昇ペースが早かったため、相場が息切れを起こして上昇相場が終わってしまう可能性も高くなってきていました。この調整で少しペースを落とし、引き続き上昇相場が続いてくれることを望んでいます。Fear And Greed Indexを確認すると、Extreme Greedの期間が続いており、この期間で市場を冷やしてくれることを願っています。
 この休憩をはさんでも、企業業績や他の指標が好調を示してくれると再び上昇を続けると思います。
 2月のISM非製造業景気指数、最新のFRBベージュブック、ADPの2月雇用変動報告など、先週発表されたデータは予想とは異なっていたものの、好調を示していました。2月の雇用統計は、予想を大きく上回る結果となり、雇用は好調、実質賃金の上昇が続く健全な経済を示しているようでした。このことは多面的にプラスであり、景気刺激策や技術投資も相まって、収益拡大の見通しは引き続き良いように見えました。
 唯一気がかりなこととしては、1月の非農業部門雇用者数が35.3万人から22.9万人に大きく下げられており、また、平均時給の伸びも前月比+5セントと低いものでした。これまで大きな伸びを示しただけに、雇用市場が少し弱まっていることを感じさせられる状況でした。
 先週、パウエル議長が議会証言を行いましたが、その中のコメントでは、経済情勢を支持するものが多かったのですが、具体的な時期の明言は避け、年内に利下げの可能性についてもコメントしており、市場が一番知りたかったことについても発言されており、株式にとってはプラス要因に繋がってくると思います。
 利下げの時期については「データを見極めて」との従来の発言を繰り返しており、利下げがあったとしても大きな利下げではなく、少しの調整となり、その後は引き続き横ばいが続くのではないかなと考えています。
 上述の通り、3月11日(金)の雇用統計は好調な数字ではあったものの、陰りが少し見えた結果でした。そのため、6月に利下げを1回する可能性は出てきたと思います。ただ、この利下げも微調整と考えています。全体としてアメリカ経済は平常の経済を維持しているため、この後矢継ぎ早に利下げが繰り返されるような展開にはならないと思います。
 まとめると、金利は下の方向が確認され、株式市場にとっては明るいニュースではあるが、レートが維持される可能性が高く、大きなサポートとはならない。企業の決算発表もほぼできていることもあり、手掛かりに欠ける展開となると考えています。経済指標からは今のところ大きな変化は見られない。このため、市場は先週から休憩相場に入ったと思われ、勇み足となってしまった個別株には調整が入ると思います。ただ、全体として上を見ていますので、この期間を慌てることなく過ごせばよいと思ってます。

株式

 アナリストによるS&P500種構成企業の第1四半期の業績予想修正幅は、最近の平均と比べて悲観的でない一方、企業側の第1四半期の業績見通しは、最近の平均と比べて悲観的である。その結果、S&P500種構成企業の第1四半期の予想利益は、期初の予想に比べ、現在は減少しています。しかし、前年同期比では3四半期連続の増益となる見込みです。
 S&P500構成企業のアナリストによる2024年第1四半期の業績予想の引き下げ幅は平均より小さいです。1株当たりでは、第1四半期の予想利益は12月31日以来2.2%減少していますが、この減少は5年平均(-3.7%)や10年平均(-3.4%)よりも小さいです。
 ガイダンスに関しては、S&P 500構成企業のうち、2024年第1四半期のEPSガイダンスに否定的な見解を示した企業の数、割合ともに平均を上回っています。74社がマイナスのEPSガイダンスを、32社がプラスのEPSガイダンスを発表しています。ネガティブなEPSガイダンスを発表している企業の数は5年平均(58社)、10年平均(62社)を上回っています。S&P500構成企業のうち、2024年第1四半期にマイナスのEPSガイダンスを発表した企業の割合は70%(106社中74社)で、これも5年平均の59%、10年平均の63%を上回っていますこの結果、2024年第1四半期の予想利益成長率(前年同期比)は第1四半期開始時点に比べて低下しており、12月31日時点の予想(前年同期比)利益成長率5.6%に対し、本日時点のS&P500の予想(前年同期比)利益成長率は3.4%です。仮に3.4%が実際の増益率となれば、S&P500種指数は3四半期連続で前年同期比増益となります。
 収益の面でも、アナリストは当四半期中に予想を下方修正している。S&P500種指数は、12月31日時点では4.3%の増収予想だったのに対し、今日時点では3.5%の増収予想となっています。仮に3.5%が実際の増収率となれば、S&P500種指数は14四半期連続で増収となります。
 今後の見通しとして、アナリストは2024年第2四半期、2024年第3四半期、2024年第4四半期の収益成長率(前年同期比)をそれぞれ9.0%、8.2%、17.2%と予想している。CY2024については、アナリストは(前年比)11.0%の利益成長を予想しています。

来週の主な決算発表(予定)

3/11(月):
<引け後>Calavo Growers (CVGW), Mission Produce (AVO), Oracle (ORCL)
3/12(火):
<寄付き前>Kohl's (KSS)
<引け後>
3/13(水):
<寄付き前>Dollar Tree (DLTR)
<引け後>Lennar (LEN), SentinelOne (S)
3/14(木):
<寄付き前>Dick's Sporting Goods (DKS), Dollar General (DG)
<引け後>Adobe (ADBE), Ulta Beauty (ULTA)
3/15(金):
<寄付き前>Buckle (BKE), Jabil (JBL)

米国の主な経済指標

3/11(月):
3/12(火):消費者物価指数(CPI)
3/13(水):
3/14(木):小売売上高、生産者物価指数(PPI)、新規失業保険申請件数
3/15(金):設備稼働率、鉱工業生産指数

今週の着目点

 先週末、アトランタ連銀のGDPNowによる今期見通しは+2.5%だったが、この数字は金曜日の2月雇用統計を反映されていませんでした。3月14日まで更新されないため、今後の修正は金曜日の雇用統計だけでなく、来週の2月CPI、PPI、小売売上高の結果も含めたものとなりますが、好調を維持している結果となると思います。
 2月ISMの結果を踏まえれば、2月CPIとPPIはほとんど上昇しない可能性があります。消費者物価指数(CPI)は、1月の0.3%から0.5%に上昇すると予想されていますが、しかし、注目されるコアCPIは1月の0.4%から0.3%に低下すると予想されています。この結果次第では、FRBの利下げ時期が遅くなる可能性もあります。
 2月の小売売上高には、外食支出やデジタル・ショッピングなど、バレンタイン・デーの休暇が寄与するカテゴリーもあります。ユナイテッド・ナチュラル・フーズ(UNFI)、フット・ロッカー(FL)、バックル(BKE)の最近の指摘は、消費者が依然として支出を選別していることを裏付けるものでした。小売の企業は今後も良いものと悪いものがはっきりとする選別が進んでいくものかと思います。
 今週後半には、2月の鉱工業生産・設備稼働率が発表されます。ISMの2月製造業PMIとS&Pグローバルの2月製造業PMIでは、データの見解が食い違っているため、製造業の景気をより明確にするために、製造業の項目に注目したい。製造業活動が上向くことは、物が動いているともいえますので、経済が好調であるとも考えて良いと思います。


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