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米国市場:1/22週の振返りと24年1/29週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4,890.97と前週比+1.06%で終了しました。NASDAQは15,455.36と前週比+0.94%で終了しました。
 先週の株式市場は、良好な経済指標に支えられ上昇しました。S&P500株価指数は年初来+2.54%となり、年初にずるずる下げた4日間を払拭するような伸びを見せています。結果として、1月はプラスで終了する可能性が高くなり、今年1年も良い1年で終わる可能性が高くなってきました。NASDAQも年初来+2.96%となっており、ハイテクの方はAIに対する期待感からこちらも足元が改善されてきています。指数に占める割合の高いGAFAM+NVIDIAの伸びに大きく依存していることもあり、今週はGAFAMの決算発表が予定されているため、これらの起業の決算次第で大きく動く可能性があります。
 先週は、インテル(INTC)、KLAコーポレーション(KLAC)、テキサス・インスツルメンツ(TXN)、ウエスタン・デジタル(WDC)などが決算発表を行っていましたが、半導体産業全体が活況を呈しているのではなく、一部の半導体だけが相場になっていることを思わせるような決算でした。プロクター・アンド・ギャンブル(PG)やコルゲート・パルモリーブ(CL)のような消費財企業も、過去の値上げによって伸びてはいました。
 2023年第4四半期決算発表シーズンは約25%ぐらいの企業が決算発表を終えているが、EPSのポジティブサプライズ比率は 69%で、売上高のポジティブサプライズ比率は68%となっており、元気がないという印象があります。これは、銀行株決算が足を引っ張ってる面が大きいため、全体で見るとそれほどひどくはないと感じてはいます。しかし、上述したようにGAFAMが引っ張っている相場でもあるため、今週のGAFAMの決算が米国の雰囲気を決めると思われるため、今週は特に重要な週になると考えています。
 Fer&Greed指数はExtraGreed(極度の貪欲)となっていますので、GAFAMの決算次第で投資家の失望売りがでてくる可能性もあります。
 10年債金利は27日時点で4.16%となっており、前週末と比べて若干上昇してはいますが、落ち着きつつあるのかなという印象があります。今週にFOMCが開催されますが、これまでに発表されている経済指標からはFRBは利下げを急がないとの見方が強まっています。CME Fed Watchでも据え置きの可能性が96.9%となっております。これまでの動きをみていると3月も利下げをしないことが濃厚であり、金利はしばらく据え置かれると考えて相場を見ていくのがいいと思っています。従って、金利でのサポートがないため企業の業績によって、株式市場が動くことになるのかなと考えています。
 先週は経済指標の発表はそれほど多くなく、金曜日のコアPCE価格指数は+2.9%とインフレが下に向かっていくことが確認できました。しかし、FRBが目標とする2%にはまだ若干上で推移しています。2023年第4四半期GDPは3.3%と驚くほど好調でした。景気は好調で、インフレもおちついていることが再確認できています。

株式

 2023年第4四半期決算シーズンは、S&P500構成銘柄の全体的なパフォーマンスは引き続き低迷しています。S&P500構成企業のうち、好業績サプライズを発表した企業の割合は平均を下回っており、また実際の業績は全体として予想を下回っています。予想対比で平均を下回る業績は金融セクターが大半を占めています。先週1週間でこれらの決算数値は改善しており、その結果、同指数は先週末に比べ第4四半期のプラスになっていますが、四半期末の予想と比べるとマイナス担っています。前年同期比では、過去5四半期で4回目の減益となる様相です。
 全体として、S&P500構成企業のうち25%が2023年第4四半期の決算を発表しています。このうち、予想EPSを上回ったのは69%で、5年平均の77%、10年平均の74%を下回っています。企業が発表しているEPSはアナリスト予想の-5.3%となっており、5年平均の+8.5% 、10年平均の+6.7% を下回っています。その結果、同指数は先週末と比較すると本日の第4四半期決算はプラスとなっていますが、四半期末の予想と比較すると本日の第4四半期決算はマイナスとなっています。第4四半期のブレンデッド(報告済み企業の実績と未報告企業の推定を合算したもの)減益率は、先週の-1.8%、第4四半期末(12月31日)時点の増益率1.5%に対し、-1.4%となっています。
 先週は、複数のセクターの企業(資本財とハイテクセクターが牽引)によるポジティブな業績サプライズが、指数全体の増益に大きく貢献した。金融セクターの企業によるネガティブ・サプライズは、四半期末以降、指数全体の収益減少に大きく影響しています。仮に-1.4%が今四半期の実際の減益率であれば、過去5四半期で4度目の前年同期比減益となります。クター別では、通信サービス、公益事業、消費者裁量、情報技術セクターを筆頭に、11セクター中7セクターが前年同期比で増益となった。一方、前年同期比で減益となったセクターは4つ: エネルギー、素材、ヘルスケア、金融となっています。
 売上高に関しては、S&P500構成企業うち68%が予想売上高を上回り、これは5年平均の68%、10年平均の64%を上回っています。また、売上高の結果は予想の1%プラスとなっており、これは5年平均の2.0%、10年平均の1.3%を下回っています。第4四半期の混合売上成長率は3.2%と、先週の収益成長率2.9%、第4四半期末(12月31日)の収益成長率3.1%に比べて上がってきています。ヘルスケア、資本財、通信サービスの各セクターが発表したポジティブ・サプライズは、エネルギー、金融の各セクターが発表したネガティブ・サプライズや収益予想の下方修正によって一部相殺されたものの、四半期末以降、指数全体売上を押し上げています。仮に3.2%が当四半期の実際の増収率であれば、13四半期連続の増収となります。
 今後の見通しとして、アナリストは2024年第1四半期の(前年同期比)利益成長率を4.6%、第2四半期を9.4%と予想している。CY2024については、アナリストは(前年比)11.6%の増益を予想しています。
 12ヵ月予想PER は20.0 で、5 年平均(18.9)、10 年平均(17.6)を上回っており、第4四半期末(12月31日)の予想PER19.5も上回っています。

来週の主な決算発表(予定)

1/29(月):
<寄付き前>
<引け後>F5 (FFIV), Nucor (NUE), Super Micro Computer (SMCI)
1/30(火):
<寄付き前>Corning (GLW), Danaher (DHR), General Motors (GM) JetBlue (JBLU), Pfizer (PFE), UPS (UPS)
<引け後>AMD (AMD), Alphabet (GOOG), Electronic Arts (EA), Juniper Networks (JNPR), Lending Tree (LC), Microsoft (MSFT), Mondelez International (MDLZ), Skyworks (SWKS), Starbucks (SBUX)
1/31(水):
<寄付き前>Boeing (BA), Boston Scientific (BSX), Hess (HES), Mastercard (MA), Rockwell Automation (ROK)
<引け後> Qorvo (QRVO), Qualcomm (QCOM)
2/1(木):
<寄付き前>Eaton (ETN), Ferrari (RACE), Honeywell (HON), Merck (MRK), Quest Diagnostics (DGX), Stanley Black Decker (SWK)
<引け後>Amazon (AMZN), Apple (AAPL), Beazer Homes (BZH), Hologic (HOLX), Meta (META)
2/2(金):
<寄付き前>AbbVie (ABBV), Chevron (CHV), Church & Dwight (CHD), Exxon (XOM), Bristol-Myers (BMY), Regeneron Pharmaceuticals (REGN) 

米国の主な経済指標

1/29(月):
1/30(火):
1/31(水):FOMC、ADP雇用者数(前月比)
2/1(木):新規失業保険申請件数、非農業部門労働生産性指数
2/2(金):ISM製造業景気指数、失業率、製造業新規受注、耐久財受注

今週の着目点

今週は、企業の決算発表が大量に予定されています。約650社が決算発表をします。中でも1月31日にマイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOG)、2月1日のアップル(AAPL)、アマゾン(AMZN)、メタ(META)の決算発表は非常に重要です。この企業の以上の決算報告次第によっては、1月のS&P500指数が今までの貯金をなくす可能性もあります。これらの企業はAIの先行投資も大きく発表していますが、同時にリストラも発表しており、売上高はそれほど伸びないがEPSがどのような数字になってくるかに注目があつまると思います。大きな失望決算にはならないと思いますが、注目していきたいです。
 今週の決算発表によって、S&P500のコンセンサスEPSの見通しも変化してくると思います。S&P500の2024年EPS予想について、一部のストラテジストから下方修正が出始めており、今週の結果によってはさらに下がる可能性もあるため、全体概況を把握していきたいです。
 1月30日、31日とFOMCが開催されます。この会合では、金利の引き下げはないとの見方が優勢です。24年12月時点までに6回の利下げが行われると市場参加者はまだみており、3月の利下げの可能性について注目が集まると思います。ただ、金利は据え置き、今後はデータドリブンということを繰り返すのかなと考えています。インフレ指標が全てクリアになったことを確認したうえでFRBは動き出すのかなと思います。
 


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