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米国市場:4/15週の振返りと24年4/22週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4,967.23と前週比-3.05%で終了しました。NASDAQは15,282.01と前週比-5.52%で終了しました。

・主要株価指数が下落、中東の地政学リスクを懸念

 先週の株価は、複数の要因が重なり、S&P500種指数やナスダック総合指数が複数日にわたって下落しました。4月に入ってから市場は軟調となっており、19日時点でS&P500は前月末比-5.27%、NASDAQは-6.8%となっています。これは、中東の地政学リスクが大きく取り上げられるようになったことが大きく関係していることと考えています。特に先週はイスラエルとイランの緊張が緩和する可能性があるにもかかわらず、金曜日はハイテク株の売りが加速し、市場の圧迫感が増しました。このことは、Fear &Greed指数が先週の「ニュートラル」から「恐怖」へと継続的な下落に表れており、市場が神経質なムードになりつつあることを反映して居るかと思います。過去2週間で株式ファンドから211億ドルが流出し、S&P500種指数が今週50日移動平均線(5118.19)を下回ったことも相場を後押ししませんでした。台湾セミコンダクター(TSM)が2024年の半導体売上高見通しを引き下げたことも、Netflix(NFLX)のガイダンスも同様でした。

・市場心理が悪化

 4月はずるずると市場が下げてきており、不安が大きくなってきていますがこの下落は健全な出来事だと考えています。短期的には必ずしも気持ちがいいものではありませんが、23年10月以来大きく上げてきた相場にとって一定の休憩期間は必要だと思いますので、ちょうど休憩相場になっていると考えていいとおもいます。これまでに発表されている経済指標からは、米国経済は引続き好調を維持しております。先週、4月16日にIMFより発表されたWorld Economic Outlookからも2024年のアメリカのGDP成長率は2.7%と予想されており、これを裏付けるものであると考えています。また、FRBの金利政策も18日にも米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁からの発言からも利下げを急いでいないことが確認され、年内の利下げが1回~2回へと市場もさらに折込で来ており、金利がほぼ動かない状況に変化はありません。
 これらを考慮すると、金融相場ではなく、業績相場であることに変化はありません。従って、企業の業績成長性に注目して業績がよく今回の調整で下落した銘柄をPickする絶好の機会になっているのではないかと考えています。

・今週は決算発表がピーク、GAFAMが続々決算発表

 12日より本格的に始まった決算シーズンですが、今週がピークをむかえ約900社以上(内、S&P500構成銘柄は158社)が決算を発表します。これらの企業の業績を確認しながら、業績成長性が高く、チャート的にも崩れておらず、魅力的な価格で投資できるポジションの良い企業に資金を投入するよい機会と捉えています。
 先週の下落で米国市場としても割高感が消えましたので、今回の調整は一段落ついたのではないかと考えていますが、まだ底打ちが確認されていませんので、底をうったことを確認してから動くのがよいと思います。今週はGAFAMのうちMSFT、GOOG、METAが決算発表をします。特に大きな変化なく良い決算になると予想していますが、その結果を確認し、市場も上向きになることを確認する週になりそうです。
 ドル円も155円に迫った後、勢いがなくなりウダウダとなってきています。反発の円高になる可能性が高く、4月は米国市場の投資家にとっては、円高&株安のダブルパンチで終わりになりそうです。

株式

 4月19日時点では、S&P500種指数の第1四半期決算シーズンは好不調の混在したスタートとなっています。
 ポジティブな面としては、S&P500種指数構成企業のうち、予想を上回る好決算を発表した企業の割合と、その上振れ幅の大きさが共に10年平均と同等またはそれ以上になっている点です。
 ネガティブな面としては、ヘルスケアセクターの2社が大幅なEPS予想の下方修正を行ったことで、過去2週間で収益成長率が低下した点です。結果として、今週初めに発表された指数全体の第1四半期決算は前週末および前四半期末との比較で減少しています。しかしながら、指数は3四半期連続の(前年比)収益成長を報告しています。
 全体として、先週までにS&P500種指数構成企業の14%が2024年第1四半期の決算を発表しました。このうち、74%の企業が予想を上回るEPSを報告しています。これは5年平均の77%を下回っていますが、10年平均の74%と同等です。集計すると、予想を7.8%上回る収益を報告しており、これは5年平均(8.5%)を下回りますが、10年平均(6.7%)を上回っています。
 先週中、ヘルスケアセクターの企業のEPS予想の下方修正と、金融セクター企業の好決算による上振れが一部相殺され、指数全体の成長率が減少しました。 3月31日以降、2社のヘルスケア企業のEPS予想の下方修正と、金融セクターの決算上振れの一部相殺により、指数全体の収益成長率が低下しました。結果として、第1四半期の指数収益は、前週末および前四半期末と比較して低くなっています。 四半期の成長率 (ブレンド型:決算発表済み企業の実績と未発表企業の予想を組み合わせた値)は、前週の0.9%、前四半期末(3月31日)の3.4%と比較して、4月19日時点では0.5%となっています。
 0.5%が第1四半期の実際の成長率となった場合、指数は3四半期連続の(前年比)収益成長を達成することになります。
 11セクターのうち6セクターが(前年比)収益成長を報告しており、公益、情報技術、通信サービス、一般消費財セクターなどが好調です。 一方、ヘルスケア、素材、エネルギーセクターを中心に5つのセクターが(前年比)収益減を報告しています。
 売上高に関して、S&P500種指数構成企業の58%が予想を上回る売上高を報告しており、5年平均(69%)、10年平均(64%)を下回っています。 総じて、企業は予想を1.0%上回る売上を報告しており、これもまた5年平均(2.0%)、10 年平均(1.4%)を下回っています。
 先週、金融セクターの決算上振れが主な要因となり、指数全体の売上成長率はわずかながら上昇しました。3月31日以降、金融セクターの決算上振れは、エネルギー、一般消費財、産業セクターの収益予想の下方修正によって相殺されており、同期間中の売上高成長率に変化はありません。その結果、第1四半期の指数売上は前週末と比較してわずかに増加していますが、前四半期末との比較では横ばいです。四半期の売上高成長率(ブレンド型)は、前週の3.4%、前四半期末(3月31日)の3.5%と比較して、本日3.5%となっています。
 3.5%が実際の売上高成長率であった場合、この指数は売上高が14四半期連続で成長することになります。
 8セクターが(前年比)の売上成長を報告しており、通信サービスと情報技術セクターが好調です。 一方、エネルギー、素材セクターを中心に3セクターが(前年比)の売上減を報告(または予想)しています。
 今後の見通しとして、アナリストは2024年の第2四半期、第3四半期、第4四半期の(前年比)収益成長率をそれぞれ9.6%、8.7%、17.7%と予想しています。 2024年通期では、アナリストは10.7%の(前年比)収益成長を予想しています。
 フォワード12ヶ月P/Eレシオは19.9倍で、5年平均(19.1倍)、10年平均(17.8倍)を上回っています。 しかし、第1四半期末に記録された21.0倍よりは低くなっています。
 来週は、S&P500種指数構成企業158社(ダウ30構成銘柄11社を含む)が第1四半期の決算発表を予定しています。(Source:Fact Set)
 

来週の主な決算発表(予定)

4/22(月):
<寄付き前>Albertsons (ACI), SAP SE (SAP), Verizon (VZ)
<引け後>Ameriprise Financial (AMP), Nucor (NUE)
4/23(火):
<寄付き前>General Motors (GM), JetBlue Airways (JBLU) Kimberly-Clark (KMB), Lockheed Martin (LMT), Logitech International (LOGI), PepsiCo (PEP), PulteGroup (PHM), UPS (UPS).
<引け後>Steel Dynamics (STLD), Tesla (TSLA), Texas Instruments (TXN), Visa (V)
4/24(水):
<寄付き前>Boeing (BA), General Dynamics (GD), Helen of Troy (HELE), Hilton (HLT), Masco (MAS), Silicon Labs (SLAB),
<引け後>Ford Motor (F), IBM (IBM), Lam Research (LRCX), Meritage (MTH), Meta Platforms (META), ServiceNow (NOW), United Rentals (URI), Waste Management (WM)
4/25(木):
<寄付き前>ADT (ADT), American Airlines (AAL), Caterpillar (CAT), Comcast (CMCSA), Keurig Dr. Pepper (KDP), Labcorp (LH), Lazard (LAZ),
<引け後>Alphabet (GOOGL), Intel (INTC), Juniper Networks (JNPR), KLA Corp (KLAC), Microsoft (MSFT), Snap (SNAP), Terex (TEX)
4/26(金):
<寄付き前>Abbvie (ABBV), Charter Communications (CHTR), Chevron (CVX), Colgate Palmolive (CL), Exxon Mobil (XOM), Piper Sandler (PIPR),

米国の主な経済指標

4/22(月):
4/23(火):新築住宅販売件数、リッチモンド連銀製造業指数
4/24(水):耐久財受注
4/25(木):GDP、新規失業保険申請件数
4/26(金):個人所得・支出、PCE、

今週の着目点

・決算発表の内容が株価を左右

 上述していますが、今週は900社以上の企業が四半期決算の発表を行います。MFST、META、GOOG等の大型IT企業の決算も発表されますので、決算書を確認する忙しい一週間になると思います。業績相場であると考えると企業の決算発表によって大きく株価が動くことが予想されます。各企業の発表は、競合他社、顧客、サプライヤーにも影響がありますので、ポートフォリオを構成している企業の今後の成長可能性についても考察する場にもなるかなと考えています。

・インフレと利下げが焦点

 アメリカの経済は好調を維持しており、アトランタ連銀のGDPNOWでは、24年1QのGDP成長率は2.9%となっています。アメリカの経済規模を考えると高い成長率となっています。今週も維持されていくのかを確認することになります。
 また、週末には3月のPCEが発表されますので再度インフレと利下げの話題が注目されることになると思います。コアPCE物価指数は前年比で、3月の2.8%から2.7%に低下すると予想されていますが、もしこの結果になれば、再び利下げに関する期待が高まる可能性もあります。しかし、FRBは一つの指標だけでなく、様々な指標でインフレの2%目標に向けた進捗を図っていると考えており金利がすぐに動くとは考えない方が良いと思います

・4月のPMI速報データにも注目

 4月のPMI速報データが何を示すかはわかりませんが、2024年のこれまでの状況を考えると、利下げがさらに少なくなる可能性は、利下げが多くなる可能性よりもはるかに高いと考えながら結果を確認することになるのかなと思います。

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