見出し画像

米国市場:3/18週の振返りと24年3/25週の予定

概略

先週の動き

  • 主要3指数が上昇し、S&P500指数のPER倍がピークに近づいている

  • FOMC:政策金利据え置き、QTペースの鈍化示唆

  • IPO市場:活況化の兆し

今週の見通し

  • 納税期入りによる株価下落の可能性。下落幅は数パーセント程度

  • 2月コアPCE価格指数:来週金曜日に発表

市場概況

 先週のS&P500指数は、5,234.18と前週比+2.29%で終了しました。NASDAQは16,428.82と前週比+2.85%で終了しました。
 先週の株価は、22日金曜日の主要株価指数はまちまちの結果となりましたが大きく下げることなく、よく伸びた一週間を締めくくりました。今週は29日金曜日がGood Fridayの祝日で株式市場は休場となりますので、第1四半期はあと4日間で取引が終了します。
 米国市場はS&P500指数をみると、ピークのPER倍に近づいています。S&P500の2024年のEPSコンセンサスが243.55(Source Fact Set)から算出すると約21.5倍となっており、若干買われすぎの状態となっています。第1四半期が終わりましたので、2025年のEPSコンセンサスも今後は考慮されてくると思いますが、現時点でのコンセンサスは275.97であり、PERは約19倍と許容できない範囲ではないかと思います。ただ、第2四半期、3四半期と進むに連れて2025年のEPSコンセンサスも下がってきますので、株価は上を見ていますが2024年の第1四半期ほどの早い上昇は見込みにくくなってきました。
 4月に入ると、アメリカは納税の季節に入ります。昨年度は株価が好調であったこともあり、納税のために株式は売られやすい状態になります。このため、今週、来週にかけて、数パーセント程度の下落があるかもしれません。ただ、相場のあやであり大きなトレンドに変化はないと考えています。
 先週は、住宅関連の経済指標が発表されました。住宅着工件数が1521千件と予想を大きく上回りました。引続き新築住宅についての需要があるということが確認されるとともに、中古住宅販売も4.4百万件と先月の4百万件から大きく上がりました。政策金利の利下げが予想される中、徐々に中宅市場もそれを見越して動き出して来ているのではないかなと思います。まだ、1ヶ月のデータですので今後修正される可能性もあり、引続き確認していきます。
 3月23日には、FOMCが開催されました。予想通り政策金利は据え置かれました。そして、パウエル議長から利下げの時期を明示するようなコメントは聞かれず、相変わらずデータを確認して検討するといった趣旨のコメントが出ていました。投資家の願望である6月ぐらいからの利下げスタートというという点が明示されませんでしたが、パウエルの記者会見中から株価は上昇を始めています。その要因としては、量的引き締め(QT)の政策の若干の変更があると思います。この件については、パウエル議長が時間をかけて説明しており、現在のペースを若干弱めるということをコメントしています。引き締めのペースの鈍化はある種の緩和であり、ソフトランディングという経済の軟着陸についてFRBが考慮している旨をシグナルしていたと思います。労働市場、インフレ指数が安定しているため、政策金利を動かすことが難しいため、QTの言及を行うことで、こちらを今後は主なトピックとして話がされるかもしれません。
 先週は、レディット(RDDT)とアステラ・ラボ(ALAB)がIPOされました。両方とも公募価格を上回った状態で週末を迎えました。IPOで痛んだ投資家が居ませんでしたのでIPO市場も今後活況となってくるかもしれません。とはいえ、IPO後の初の決算をきっちりとした数字を出してくるか確認していきたいです。

株式

 アナリストによるS&P500種構成企業の第1四半期の業績予想修正幅は、最近の平均と比べてマイナス幅が少ない一方、企業の第1四半期の業績見通しは、最近の平均と比べて悲観的となっています。その結果、S&P500種構成企業の第1四半期の予想利益は、期初の予想に比べ、下方修正されています。しかし、前年同期比では3四半期連続の増益となる見込みです。
 S&P500構成企業の予想修正では、アナリストによる2024年第1四半期の業績予想の引き下げ幅は平均より小さく、1株当たりでは、第1四半期の予想利益は12月31日以来2.6%減少しています。この減少幅は5年平均(-3.7%)や10年平均(-3.4%)よりも小さい状況となっています。
 ガイダンスに関しては、S&P 500種構成企業のうち、2024年第1四半期のEPSガイダンスに否定的な見解を示した企業の数と割合は、いずれも平均を上回っている。このうち78社がマイナスのEPSガイダンスを、33社がプラスのEPSガイダンスを発表しています。ネガティブなEPSガイダンスを発表している企業数は5年平均(58社)、10年平均(62社)を上回っています。S&P500構成企業のうち、2024年第1四半期にマイナスのEPSガイダンスを発表した企業の割合は70%(111社中78社)で、これも5年平均の59%、10年平均の63%を上回っています。
 アナリストによる業績予想の下方修正と各社によるEPSガイダンスの下方修正により、2024年第1四半期の推定(前年同期比)利益成長率は第1四半期開始時点と比較して下方修正されています。12月31日時点の予想(前年同期比)利益成長率5.7%に対し、本日時点のS&P500の予想(前年同期比)利益成長率は3.4%です。仮に3.4%が実際の増益率となれば、S&P500種指数は3四半期連続で前年同期比増益となる。
 11セクター中6セクターが前年同期比で増益となる見通しで、その筆頭は公益事業、情報技術、通信サービス、消費財の各セクターがあげられます。一方、前年同期比で減益と予想されるセクターは4つで、エネルギーと素材セクターがあげられます。1セクター(工業)は前年比横ばい(0.0%)が予想されています。
 売上に関しても、アナリストは当四半期中に予想を下方修正しています。S&P500種指数は3.6%の増収(前年同期比)を予想しています。仮に3.6%が実際の増収率となった場合、S&P500種指数は14四半期連続の増収となります。
 前年同期比で増収が予想されるセクターは8つで、その筆頭は通信サービスセクターと情報技術セクターが筆頭になります。一方、前年同期比で減収となるのは、3セクターあり、素材セクターが一番大きいと予想されています。
 今後の見通しとして、アナリストは2024年第2四半期、2024年第3四半期、2024年第4四半期の収益成長率(前年同期比)をそれぞれ9.3%、8.4%、17.4%と予想している。CY2024については、アナリストは(前年比)10.9%の利益成長を予想しています。
 

来週の主な決算発表(予定)

3/25(月):
<寄付き前>-
<引け後>-
3/26(火):
<寄付き前>McCormick & Co. (MKC)
<引け後>
3/27(水):
<寄付き前>Cintas (CTAS), Paychex (PAYX)
<引け後>Sprinklr (CXM)
3/28(木):
<寄付き前>Walgreens Boots Alliance (WBA)
<引け後>Semtech (SMTC)
3/29(金):休場(Good Friday)

米国の主な経済指標

3/25(月):新築住宅販売件数
3/26(火):耐久財受注、S&Pケースシラー住宅価格、リッチモンド連銀製造業指数
3/27(水):
3/28(木):GDP、新規失業保険申請件数、ミシガン大学消費者信頼感指数
3/29(金):個人所得・支出、PCE

今週の着目点

3月29日(金)の米国株式市場はグッドフライデーの祝日で休場となりますので、今週は取引期間が4日間となります。しかも、重要なデータポイントの一つである2月コアPCE価格指数は、来週金曜日の市場休場中に発表されます。
 パウエルFRB議長は記者会見で、変わらず今後発表されるインフレ指標が、FRBが利下げサイクルの開始を検討する際の重要な要因になると話をしてますので、このPCEの結果によって連休から戻った4月1日の2024年第2四半期がどのようにスタートになるのかが4月相場の基調になるかもしれません。S&Pグローバルが発表した3月PMI速報値では、3月のインフレ指標が大きく軟化することはないととが示唆されており、インフレが大きく低下することはないと思います。
 また、今週、中国の習近平国家主席が政府主催のフォーラムの後、米国のビジネス・リーダーたちと会談する予定です。
 今週で2024年第1四半期が終了しますので、決算発表を行う企業は少ないです。数少ない決算発表を行う企業から得られる新たな知見は、第2四半期の決算発表の方向性を考える上でも大事だと思います。今週は、マコーミック・アンド・カンパニー(MKC)の投入コストと潜在的な値上げに関するコメントがでるか、また、食料品販売と家庭での食事に大きく依存する中核調味料事業の見通しにも注目してみたいです。ペイチェックス(PAYX)の四半期決算とガイダンスを検討する際には、雇用と雇用創出に関する洞察に注目したいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?