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米国市場:3/25週の振返りと24年4/1週の予定

概略

先週の動き

  • 2024年第1四半期はS&P500指数が10.2%、ナスダック総合株価指数が9.1%上昇 PER倍率は過去24年間の平均を大きく上回る

  • 4月~6月は利確や様子見でS&P500指数は横ばいで推移か

  • エネルギー価格上昇によるインフレ率上昇のリスクも

今週の見通し

  • 経済指標は3月期の経済スピードとインフレの動きを示唆

  • 企業の決算発表は少ない

市場概況

 先週のS&P500指数は、5,254.35と前週比+0.39%で終了しました。NASDAQは16,379.46と前週比-0.30%で終了しました。
 先週で2024年の第1四半期が終了しました。その結果、年初来S&P500指数は10.2%の上昇、ナスダック総合株価指数は9.1%の上昇となりました。3月の最終取引日を終えて、S&P500の2024年のEPS予想のコンセンサのに対するPER倍率は21.6倍となり、ここ数年の市場のピークPER倍率に関連する水準となり、24年間のピークPER平均倍率19.5倍を大きく上回った状態となっています。2024年のコンセンサスEPSは10.6%成長し、現時点では2025年にさらに加速すると予想されています。S&P 500指数のEPSは3月期決算で大きく改善するのではなく、さらに後の6月期決算で上昇に転じると予想されています。既に、バリュエーションレベルは高い状態となっていますが、更にマルチエクスパンションが見られる可能性も高くなってきています。しかし、この上昇を維持するためには、原動力となるEPSの伸びが予想通り動いてくるかにかかっていると思います。経済指標は比較的良好な状態を保っていますので、今後数週間に発表される企業のガイダンスが、2024年第2四半期のS&P500指数のコンセンサスEPSを大きく上回らなくても、それに見合った結果になってこないと難しくなります。4月12日にあるJPMから1月~3月期に関する企業の決算発表が本格化しますので、それまでは今季の結果予想に右往左往する展開が続くと思います。
 4月~6月は、年初より大きく上がってきましたので一旦の利確オーダーが並び、これまでの勢いの癒し、後半戦の見極めが行われると思いますので、3月末の水準よりもS&P500は若干低くなりますがほぼ横ばいで推移するものと予想しています。更に、上述の通り割高感が解消されるほどの下落していませんので、伸びにくい要因になるかと思います。
 29日の休日にPCEが発表されました。PCE、PCEコアともに予想と一致していましたので、大きなインパクトはないと思います。ただ、PCEの数値も少しずつ値を下げてきてはいますがほぼ横ばいの状態が続いています。今週もISMなどの経済指標が発表されますので経済の状態が巡行状態を保っているかは引続き確認が必要だと思います。AAAレギュラーガソリン価格を確認すると徐々に価格を上げてきており、夏のドライブシーズンもあいまってまた8月ごろまでは高くなります。エネルギー価格があがることはインフレを引き上げる効果もありますので、この価格の推移も見守る必要があります。これまでのデータを見ている限り、今年の利下げ幅が従来予想よりも縮小する見込みであることは、明らかです。ただ、市場予想とはギャップがあり市場との会話に5月、6月が費やされると思います。利下げの方向性に変化はありませんが良好な経済データが続く限り大きな変化は臨みにくいのかなと思います。利下げ幅が少ないということが市場に織り込まれて来ることは、株式としては上がりにくい状況が続くと考えられます。
 本日より、4月が始まります。新しい月が始まれば投資家のマインドも変わりますので、予想とは全く違う動きになる可能性もありますので、4月最初の動きを観察して柔軟に動きたいと思います。

株式

 アナリストによるS&P500種構成企業の第1四半期の業績予想修正幅は、最近の平均と比べて悲観的でない一方、企業の第1四半期の業績見通しは、最近の平均と比べて悲観的でとなっています。S&P500種構成企業の第1四半期の予想利益は、期初の予想に比べ、現在は減少していますが、前年同期比では3四半期連続の増益となる見込みとなっています。
 アナリストによるS&P500構成企業の予想収益の引き下げ幅は平均より小さい状況です。1株当たりでは、第1四半期の予想利益は12月31日以来2.5%減少しています。この減少幅は5年平均(-3.7%)や10年平均(-3.4%)よりも小さい状況です。
 ガイダンスに関しては、S&P 500構成企業のうち2024年第1四半期のEPSガイダンスに否定的な見解を発表した企業の数と割合は、いずれも平均を上回っています。このうち79社がマイナスのEPSガイダンスを、33社がプラスのEPSガイダンスを発表しています。ネガティブなEPSガイダンスを発表している企業数は5年平均(58社)、10年平均(62社)を上回っています。S&P500構成企業のうち、2024年第1四半期にマイナスのEPSガイダンスを発表した企業の割合は71%(112社中79社)で、これも5年平均の59%、10年平均の63%を上回っています。
 アナリストによる業績予想の下方修正と各社によるEPSガイダンスの下方修正により、2024年第1四半期の推定(前年同期比)利益成長率は第1四半期開始時点と比較して現象しています。12月31日時点の予想(前年同期比)利益成長率5.8%に対し、本日時点のS&P500の予想(前年同期比)利益成長率は3.6%です。仮に3.6%が実際の増益率となれば、S&P500種指数は3四半期連続で前年同期比増益となります。
 セクター別では、公益、情報技術、通信サービス、消費財を筆頭に、11セクター中7セクターで前年同期比増益が見込まれています。一方、前年同期比で減益と予想されるセクターは、エネルギー、素材セクター等になります。
 売上の面でも、アナリストは当四半期中に予想を下方修正しています。S&P500指数は、12月31日時点では4.4%の増収予想だったのに対し、今日時点では3.5%の増収予想となっています。仮に3.5%の増収となれば、S&P500種指数は14四半期連続の増収となります。
 前年同期比で増収が予想されるセクターは8つで、その筆頭は通信サービスセクターと情報技術セクターとなります。。一方、前年同期比で減収となるセクターは、素材とエネルギーセクターを中心に主に3セクターと予測されています。
 今後の見通しとして、アナリストは2024年第2四半期、2024年第3四半期、2024年第4四半期の収益成長率(前年同期比)をそれぞれ9.4%、8.5%、17.6%と予想しています。CY2024については、アナリストは(前年比)11.0%の利益成長を予想しています。
 12ヵ月物予想PER は20.9 で、5 年平均(19.1)、10 年平均(17.7)を上回っています。第4四半期末(12月31日)の予想PER19.5も上回っています。

来週の主な決算発表(予定)

4/1(月):
<寄付き前>
<引け後>PVH (PVH)
4/2(火):
<寄付き前>Paychex (PAYX)
<引け後>Dave & Buster’s (PLAY)
4/3(水):
<寄付き前>
<引け後>Levi Strauss (LEVI), Sportsman’s Warehouse (SPWH)
4/4(木):
<寄付き前>Lamb Weston (LW)
<引け後>Conagra (CAG)
4/5(金):
<寄付き前>

米国の主な経済指標

4/1(月):ISM製造業景気指数
4/2(火):製造業新規受注、耐久財受注
4/3(水):ADP雇用者数、ISM非製造業景気指数
4/4(木):新規失業保険申請件数
4/5(金):失業率

今週の着目点

 2月のヘッドラインPCEとコアPCEのデータは市場予想通りでしたが、ここ数ヶ月のデータを詳しく見ると、これらのインフレ指標は徐々にでは下がってきてはいますが、下げ幅は縮小してきています。エネルギー価格がプラスに転じていることもあり、横這いの動きが続く可能性があります。2月PCEの結果は、ウォーラーFRB総裁が「最近のデータを総合すると、FRBが利下げを急ぐ必要はない」という先週初めにコメントしていますが、それを裏付ける結果であったと思います。FRBが一つの統計指標で全てを決めているとは思えませんので、引続き今後発表される経済指標をみながら予想していく必要があると思います。
 今週発表予定の経済データは、3月期の経済のスピードとインフレの動きについてさらなる示唆を与えてくれると思います。12月期GDPの3.4%という発表がありましたが、3月期はもう少し鈍化すると思われますが、この結果が2%以上であれば、金融政策はますます動かなくなるかもしれません。
 今年は大統領選挙の年ですので、FRBとしても現職の大統領に肩入れしていると取られるような政策はやらないと思います。従って、利下げが6月までに行われないと、大統領選後まで金利は動かないそんな状況が生まれるかもしれません。


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