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米国市場:2/26週の振返りと24年3/4週の予定

概略

・米国株市場は2月好調な上昇を続け、3月も堅調なスタート

 ・2月:S&P500指数は5%以上、NASDAQは6%以上上昇
 ・3月:主要株価指数は全て上昇
  好調な滑り出しの要因:デル、HPのAI関連の明るいコメント、個人所得の予想上回る伸び

・今週の注目点

 ・雇用状況が良好であれば、FRBの利下げ期待は低下
 ・投資家心理は非常に強気だが、市場の好調維持できるか

市場概況

 先週のS&P500指数は、5,137.08と前週比+0.95%で終了しました。NASDAQは16,274.94と前週比+1.74%で終了しました。
 先週で2月が終了しました。2月1ヶ月だけでS&P500指数は5%以上、NASDAQは6%以上上昇しました。年初来ではS&P500指数は6.8%、NASDAQは7.2上昇しており、非常に好調な出足となっています。3月も好調な滑り出しとなり主要株価指数は全て上昇して金曜日を終了しました。
 3月の好調な滑り出しになった要因として、デル(DELL)、HPがAIについて明るいコメントを発表したことがあると思います。AI関連の恩恵のすそ野が広がってきたと考えてよいと思います。
 経済指標では、個人所得が予想を大きく上回りました。予想0.4%に対し1.0%の伸びとなっていますので、消費は好調が続くかもしれません。今週にコストコ、ターゲットが決算を発表しますので、彼らのコメントを確認してみたいです。また、ISMの2月製造業PMIは予想を下回りました。この結果はS&Pグローバルが発表した2月の製造業景気の見通しとは食い違っており、景気に対しての見方もまだ定まっていないことかもしれません。ただ、まだら模様ではあるが、全体として景気はいいと考えてよいと思います。
 ISMの結果はGDPモデルにも影響を与えるため、アトランタ連銀のローリングGDPNowモデルの1日(金)の更新で、3月期GDPは木曜日の3.0%予想に対し2.1%と低下しました。下方修正はされましたが、2%の拡大となっていますので通常運用とみてもよいと思います。これらの結果からFedWatchToolは若干利下げ可能性が増えていますが、ほぼ変わらないことを示唆しています。3月、5月はほぼ無風であるとして望んでいていいようです。
 先週は、CRM、ZS、DUOL等のSAAS企業の決算が発表されています。結果、ガイダンスはそれぞれまちまちでしたが、総じていい結果であったように思います。
 先週の堅強な結果を受けて、S&P500指数は再び買われすぎの領域に入っています。投資家の心理もExtreme Greedになっております。どこかで、休憩相場が来るかと思いますが、今年は遅いようです。何がきっかけで発生するかはわかりませんが。

株式

 S&P500構成企業のうち97%が2023年第4四半期の決算を発表しています。このうち73%は予想を上回るEPSを発表しており、5年平均の77%、10年平均の74%を下回っています。また、EPSもアナリスト予想の4.1%を上回る結果となっており、5年平均の8.5%、10年平均の6.7%を下回っています。しかし、同指数は本日、第4四半期の業績は前期末の予想と比較して高くなっています。第4四半期のブレンデッド(報告済み企業の実績と未報告企業の推定を合わせた)増益率は4.0%で、先週の増益率は3.9%、第4四半期末(12月31日)の増益率は1.5%でした。4.0%が当四半期の実際の増益率であれば、2四半期連続で前年同期比増益となります。
 11セクター中7セクターが前年同期比増益を報告(または報告済み)しており、その筆頭は通信サービス、消費財、公益事業、情報技術セクターです。一方、前年同期比で減益となった(もしくは減益であった)セクターは4つあり、エネルギー、素材、ヘルスケア、金融となっています。
 S&P500構成企業のうち64%が予想売上高を上回ったと報告しており、これは5年平均の68%を下回るものの、10年平均の64%と同じ値となっています。また、売上高はアナリスト予想の1.2%上回っていますが、これは5年平均の2.0%、10年平均の1.3%を下回っています。
 第4四半期の混合売上成長率は4.2%で、先週の売上成長率4.2%、第4四半期末(12月31日)の売上成長率3.1%でした。仮に4.2%が当四半期の実際の増収率であれば、13四半期連続の増収となります。
 不動産、通信サービス、金融セクターを筆頭に、8セクターが前年同期比増収を報告(または報告済み)。一方、前年同期比で減収となったのは、エネルギー・セクターを筆頭に3セクターであった。
今後の見通しとして、アナリストは2024年第1四半期の(前年同期比)利益成長率を3.6%、第2四半期を9.2%と予想している。CY2024については、アナリストは(前年比)11.0%の増益を予想している。

来週の主な決算発表(予定)

3/4(月):
<寄付き前>-
<引け後>-
3/5(火):
<寄付き前>Target (TGT)
<引け後> CrowdStrike (CRWD), Nordstrom (JWN), Ross Stores (ROST)
3/6(水):
<寄付き前>Abercrombie & Fitch (ANF), Campbell Soup (SPB), Foot Locker (FL)
<引け後>Victoria's Secret (VSCO)
3/7(木):
<寄付き前>American Eagle (AEO), BJ's Wholesale (BJ), Ciena (CIEN), Kroger (KR)
<引け後>Broadcom (AVGO), Costco (COST), Marvell Technology (MRVL)
3/8(金):
<寄付き前>-

米国の主な経済指標

3/4(月):
3/5(火):ISM非製造業景気指数、製造業新規受注、耐久財受注
3/6(水):ADP雇用者数
3/7(木):新規失業保険申請件数
3/8(金):失業率

今週の着目点

今週は、火曜日には、ISMとS&Pグローバルによる2月のサービス業PMIが発表され、水曜日のADPによる2月雇用変動報告もあり、雇用の状況が重要なトピックとなります。これらの結果を確認することで、金曜日に予定されている2月雇用統計の輪郭がはっきりとわかってくると思います。現在のコンセンサス予想では2月の雇用者数は18.8万人と予想されており、1月の35.3万人から減少している状況です。このほか、1月の消費者信用報告書と、各地域の連銀の経済活動をまとめたFRBベージュブックも確認していきます。
 今週、アトランタ連銀のGDPNowモデルは3.0%から2.1%に低下しました。今週の雇用の状況が良いものであった場合、また、上向くことも予想されFRBの利下げ期待は2024年度は行わない可能性も高くなります。GDPが上向くことは、経済が活況を呈するため、今後数四半期における収益改善の見通しを後押しするため、金利が動かないのであれば株価は上向くと考えられます。


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