見出し画像

決断で疲れないために

有名な、スティーブ・ジョブズの服の話。

彼は毎日同じ服を着て出社していたという。

それは、小さな決断のせいで大きな決断の精度を下げないため、と伝えられている。

服を選んでいたら、毎日のように決断を下さなければならない。ジョブズからすれば、それはささいな決断で、優先順位はグッと下がる。生き馬の抜くビジネスシーンでは、もっと大きくて正確性も求められる決断が待っているのだ。大事の前の小事に貴重な時間を使うわけにはいかない。

重要な決断の精度を下げないために、ジョブズは毎日同じ服を着ることで余計な決断場面を減らしていた、ということか。

ジョブズほど偉大な人物ではなくても、人はいろいろな場面で決断や判断を迫られる。

たとえ取るに足らない決断でも、「うーん、何にしようかな、悩むなあ……」とうんうん唸った時間は、神経を多少なりともすり減らす。

それが毎日のように続けば、知らない間に摩耗がどんどん広がっていくということも、確かに言えるかもしれない。

そういえば、ぼくもたいていは同じ服を着ていた。が、それはジョブズのような透徹な哲学や高尚な目的があるわけでもなく、レパートリーが貧困でファッションに重きを置いていないからに過ぎない。

何を着るかで悩むことはあまりないけど、何を食べるかではけっこう悩む。とくに晩ご飯。

一日のフィナーレを飾るうえでふさわしいメニューと場所を、とか考えると、「あそこは昨日行ったし」とか「牛丼チェーン店はつまらんし」とか「高いだけでボリュームに欠けるところはもったいないし」とか、ぐだぐだとお店の周りをうろうろ。気がつけば徘徊だけで5分10分使っている。

ここにしようと決めたお店でも、こんどは何を頼むかでまた考える。お昼と被らないように、栄養バランスなども考えて、じゃあこれにするかでもちと高いな……といろいろ考えた挙句、結局昨日と同じ定食を頼んだりする。さっき悩んだ時間を返してくれと自分に言いたくなる。

こんなことでは、M&Aやヘッドハンティングの誘いで決断を誤ってしまうではないか!(ないない)

昨日のnoteでミニマリストについて思うことを書いたけど、決断の時間も必要最小限にとどめるというのがたぶん理想なんだよな、と思う。

何を選ぼうが結果に大きな差がない案件で時間を取られるのは惜しいし、そんなことで脳のエネルギーを消費するのももったいない。

何が重要で何を重要でないと捉えるか、このあたりも日々よく考えて取捨選択することが大切ではなかろうか。

限られているのは、寿命だけではない。

思考の回数も、決断の回数も、人と出会う回数も、心臓の鼓動の数だって、限りがある。もしかするとそれは、最初から決まった数が設定されているのかもしれない。だとすればあと何回、これらの数が許されているのだろうか。どうでもよい思考、決断、出会い、アクションは極力減らしていかねば、となる。

ここぞという場面のために、残っている決断力はとっておかねばならない。何かで悩むことがあったら、「これは悩む価値のあることか?」と振り返って考えることにしよう。


#ライター #エッセイ #コラム #スティーブ・ジョブス #日常 #仕事 #服 #決断 #毎日投稿 #毎日更新 #日記 #ミニマリスト







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?