「バトル・オブ・ジユー・ガ・オーカ #06」 タピ子 Queen of the Sweets
「おい……」
タピ子は地面に横たわるパン斗に声をかけた。
「死にたくなければ……跳べ!」
その直後であった!
「がははっ! てめぇら全員、消毒だぁ!」
雄叫びとともに火炎が辺りを包み込んだ!
「うぉぉおっ!?」ホユンは高速回転し、炎からその身を守る。「ふっはは! 誰かは知らんけど舐めんなよっ」冷気を噴き上げ炎をかき消すかき子!
さらに! 上空から襲いくる影あり!
「たたっ斬る!」刃光を煌めかせ、宙に躍り出たのは野武士風のスイーツ妖精。かるかんのかる左衛門!
「オラオラオラァっ!」凶暴な面構えの少女が拳を振り上げている! 堅焼きせんべいのかたや萌だ!
「うふふふふ……」妖艶な笑みを浮かべ宙で奇妙な構えをとるのは、ねりきりのねり魅!
強力な和スイーツ妖精たちの奇襲! しかし、上空を見上げながらホユンは笑っていた。
「さすがっすよ。姐さん」
辺りに漂う麗しい茶葉の香り。「なんだと!?」かる左衛門は宙で身を捻り、そして見た。宙に躍り出た三人のさらに上空! 満月の光を背にして、華麗に舞うタピ子の姿を!
「タピオカミルクティー……爆裂拳っ!」
かる左衛門の顔面にタピ子の拳が炸裂した! 「ぐはぁっ!?」タピ子はさらに身を捻り、強烈な蹴りをかたや萌に放つ! 「バカなっ!?」かたや萌を蹴った勢いでタピ子はさらに跳ぶ! 「あぁっ」驚愕に目を見開き、切ない声を漏らしたねり魅に、激烈なかかと落とし!
スタリっ
タピ子は大地に降りたった。直後。その背後でかる左衛門とねり魅が爆散! そして激突するように大地に落ちたのは、かたや萌。
「てめぇっ!」ただ独りダメージを負いながらも生き延びた、かたや萌が激昂しながら立ち上がる! タピ子はふふっと笑った。「固いな、お前。でも……」挑発するように腕を組み、言い放った。「ただそれだけだ」
「強い……」そう呟くパン斗は焦げていた。しかし、タピ子を見つめるパン斗の眼差し。そこには以前とは異なる、確かな変化が訪れようとしていた……。
「ヤバっ! 強い……どうしよ……どうしよぅ!」
タピ子たちを見下ろす建物の屋根の上。指を咥えて焦る、白玉あんみつのしら代。
「(ばーか)焦る必要なんてないじゃん」
余裕の表情は羽二重餅のはぶ文。
「そう……私たちには……タピオカに対抗する……秘密兵器がある……」
冷静に応えるくつわのくつ和。
「そーいうこと。ねぇ、まちゃこちゃん!」
はぶ文が振り返る。そこには腕を組んで佇む少女がいた。まるでタピ子のように。その全身は緑色の肌に覆われている。漂うただならぬ雰囲気。射抜くような鋭い眼光。
彼女の名はまちゃこ。わらび抹茶ラテのまちゃこである!
【続く】
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