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【子供を産みたい?産みたくない?】ノンバイナリーの妊活②

▼前回はこれを書きました

 今、自分の感覚はノンバイナリーというアイデンティティがいちばんしっくりきている。男・女という従来の二元的な枠組みに自分を当てはめたくない。「女らしく」と言われるのも、スカートを履くのも最近は嫌。性別関係なくただ自分という存在でいるだけ、という感覚が強い。

 子どもを産むには性行為が必要。でもその性行為をするには、あたしは挿れられるほうだから、自分を女だと強く認識しなければならない。母になるということは、女でいることになる。結婚する前はこんなこと思わなかったはずなのに、性行為も気味悪く思ってしまうようになった。

 まさかこんなふうになるなんて夢にも思っていなかったので、noteで気持ちを整理していく所存。今回は、自分の気持ちの整理を兼ねて時系列(26歳〜30歳)考えの変化をまとめていこうと思う。

■26歳〜27歳:子どもを産みたいピーク

 ピークだったと思う。当時結婚もしていないのに自分が妊娠をして出産するシーンを想像して、痛みや想像を感じて泣いたりしていた。Twitter上にある育児漫画などもたくさん見て子育てをイメトレしたりしていた。親にもそれを話したりして「まだ気が早いよ」などの冗談も言えていた。架空の自分たちの子どもに「ちびウルフ」というニックネーム(当時ギターウルフをよく聴いていたので)をつけ、もしこの場にちびウルフがいたらみたいな妄想も夫としていた。前向きだった。子育てをすることが正解のひとつに捉えていた。

 しかし、自分自身がほしいと思っているわけではなく、「そういうものだろう」という感覚が強かった。結婚するもの、子供は生むもの、幸せな家庭は築くもの。よく実母に「普通に幸せになる道もあるのよ」と言われていたが、ピンとこず。

■28歳:婚約をした

 恋人同士のときは(当たり前だが)避妊をしていたので、どこから避妊ナシOKにしようか?みたいな話し合いも夫婦でした。結局、入籍後から避妊しないことになった。結婚後、先輩に、避妊なしはどんなかんじなのかと聞いたら「精子を出されたらお腹が痛くなるよ笑」などと言われ、ふうんと思った。

 そして、結婚したのだからと出産することに義務感があった。

■28歳:結婚/嫌悪感初出

 2回ほど避妊なしの性行為をしたときに嫌悪感が出た。やってみたら急に怖くなった。この謎の構造で生命が誕生することへの責任が急に押し寄せてきた。射精後、しばらくしてから自分の膣から精子が織り物のように出てきたとき、自分をまるでただの入れ物のように感じ、自分が自分じゃなくなる感覚があった。この体は子どもを産めるんだ。そう思ってその夜に泣いた。避妊なしの性行為は中止。よくわからないが、めちゃくちゃ怖い。

■28歳:「女に生まれたから、子どもを産む経験をしたい、なんて思わない」

 そう今まで思っていたと言えば完全に嘘になるのに、そのようなことを口に出すようになった。男と女と分けられてきたのは、明らかな理由があって、こういう性別の役割が分けられているからなんだ。気持ち悪いなと思いはじめた。

ちょうどその頃、夫に「もしかしたら(そんなに嫌なのは)性別違和では?」と進言される。いやいやと思いつつ、anoneというサイトで診断をしてみると、今までもやもやしていた霧が晴れていく感覚に。

 そうか、これかも。ずっと今まで思ってきたもやもやは、自分を女じゃないって思えるだけでなくなるんだって気づいて楽になった。

■29歳〜30歳:結婚/とりあえず子供に関してはペンディング

 セックスしたくない。でも子供ほしくないわけではないのでは? 子供自体が嫌いではないのだ、道ですれ違う子供をすれ違いざまにあやしたりする。でももしも子供を持ったら自分はどうなるのか? 母になるのか? ジェンダーギャップ指数がぶっちぎりで低い日本ではきっと「お母さんがいちばんね」とか「ママが子育て…」とかいう謎の価値観を世間に押し付けられるだろう。何よりも、母乳が出るとか、乳房が膨らむとか、そういう体の変化に耐えられない。

 オットと話し合いを重ね、セックスは互いの気持ちがある時だけに限定。とりあえず向こう2年くらいは子供について考えるのはやめようということになった。

■30歳:揺れ動く気持ち

誰よりも性別にこだわるのは私がどちらでもいたくないからだ。女でいることを強要され、また女で生きるのがかなりハードモードのこの日本。以前読んだ本で(たしか韓国の翻訳本)「こんな世の中に子供を産めるはずなんてない」と言い切り、子供を持たない選択をしている女性著者がいた。半年前くらいに読んだときは100パー同意だったけど今はどうだろう。祖母に会い、死にかけの祖父に会い、子供が欲しいと言うオットのことを考えると子供を持ったほうがいいのだろうか。この地獄を子を持つ母親として、ノンバイナリーの私は生きられるのだろうか。
悩みはまだ終わらず、今年私は31歳になる。

今度一人暮らしするタイミングがあったら猫を飼いますね!!