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【所感】5-猫と高校生

【所感】5-猫と高校生

やっぱり、猫が好きだと思う。
駅からだいたい10分くらい離れれば、だいたい猫の住む住宅地がある。
猫が野良犬と同じ扱いでないのは、不幸中の幸いである。
散歩しているとき、猫が通り過ぎた。
理由はなく、理由など要らず、ラッキーだと思う。

制服に着られている感じの、多分高校一年生の男子が走っていった。
モサっとした感じの彼は、顔を低くして膝の曲がった前屈みのフォームで走っていった。
怒ったような、で

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【所感】4

【所感】4

駅前地下街のクリスマスコーナーが撤去された。
いまだかつてないほど、速い時の流れを体感している。
正確には体感していない。
時の流れを正確に体感出来ていないから、速く感じるのだ。
もう年の瀬だなんて、信じられない。
この間夏が終わったばかりだったはずだ。
私は冬用の服を買うでもなく、有り余った服で師走をしのいだし、このまま厚手の布団を買うでもなく、服を着たまま1枚の毛布をかぶって冬を越すのだろう。

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【所感】3

【所感】3

ジブリで一番好きな映画は「おもひでぽろぽろ」だ。
子供の頃から飽きるほど見たものだが、最近気がついたことがある。
タエ子は27歳、トシオは25歳、私も25歳なのだ。
気がついたらアニメのキャラクターが年下になる、なんてことが増えた。

そろそろ、子供時代の答え合わせが始まってくる年齢なのだと思う。
最近は何を書いても過去のことばかり書いてしまうから、きっと27歳のタエ子も同じだったのだ。

私にも

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【所感】2

【所感】2

戦争犯罪という言葉が、あまり腑に落ちない。
殺人が犯罪であるならば、戦争そのものが犯罪になるような気がする。
争いに法があるだなんて馬鹿馬鹿しい。
命の大切さなど声高に叫んだところで、法によって命は相対化されるのだ。
やるせないと思う。

薄情な私はあまりこの手の話に悲しみを感じる人間ではなかった。
結局は知らない他人の話だからだ。
しかし近頃悲しみを覚えるのは、身内が戦争に巻きこまれた時を想像す

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【所感】1

【所感】1

空の天井が開いた。
夏の間、私たちを覆っていた透明の膜がすっかり無くなったようで、空が少し高くなった。
落ち葉の匂いを運んでくる風は驚くほど澄んでいて、思わず空の奥を眺めた。
また冬がやって来るのだ。

いつからか夏は特別なものではなくなったので、仕事ばかりしていた。
秋に産まれた私は誕生日すらも特別ではなくなり、ハーゲンダッツだけは食らって、ただ寝てしまった。
十五夜すら見忘れてしまった。
多分

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