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海の憧憬


海は地球の本当のかたちを象徴する。
ガイコクというのは存在しない空想世界のように思えて、実はこの大量の水を辿っていけば、全てのガイコクに行き着くのだ。
星が本当は丸いことを認識する。
真夜中の黒い海では、世界の監視員は眠っている。
ガイコクへ行けるかもしれない。

我々は地表で偽物の地球に暮らしている。
私は偽物の哺乳類である。
偽物の太陽と偽物の月に従い、偽物の水を飲んで暮らしている。
なにも本物ではないかもしれないと懐疑する
何をしているのだろうか?

海と陸の境目に波が打ちつけて、地表の砂に水滴が染みる時、境界線が滲む。
砂は個体であろうか。
私は液体であろうか。
境界は信仰に過ぎなかったようである。
何をしていたのだろうか?

孤独の向こう側を空想する。
分解された私は海となり、風となり、土や草木になり得るのである。
夜風が服と肌の間に入り込んで、優しく撫でて誘惑している。
宇宙から見れば国境はないらしいのだ。
ガイコクへ行こうか。
そこはきっと無であり、全てであり、楽園の美しさが備わっている筈である。
偽物は皆、眠っている。


体を海に浮かべる
海に浸かった私の髪や体
おおきな魚たちが私を食べている
私の体は砂になる
黒い海へ溶けている
暗闇の中で光るつぶつぶが散らばる
波打つしましまの光
星空は海に滲んだ
恒星の死骸みたいな白い骨
光に浮かんでいる
きらきらしている

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