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本の降る街

こんにちは、フリー編集の元塚Bです。
今回は私が出版社に入社した若い頃に住んでいた街の思い出を、中年らしい感傷にたっぷりと浸りながら綴りたいと思います。

家の隣に古本屋

私は大学卒業後に出版社に入社。
間もなく、学生時代から付き合っていた方と結婚したので、ビンボーな新社会人&新婚生活が始まりました。
家は古くて安いアパート。
しかし、すぐ隣に古本屋があることが気に入っていました。
選書にこだわりがあって、古いファッション雑誌や洋書など、見ているだけでも楽しい空間でした。

帰り道には図書館

駅から自宅への帰路には図書館もありました。
出版社に勤めている者としては、なるべく新刊本を購入したいところ。
しかし新人の私には、金銭的になかなか厳しいものがありました。
新人だからこそ、たくさんの本を読んで先輩たちに追いつきたい。
そんな思いもあって、図書館には毎週末通って本を借りたものです。

小さな新刊書店で

自宅の裏手には、小さな新刊書店もあって、もちろんそこにもよく通いました。
当時の私は営業で、新刊の配本を担当していました。
なので、自分が担当する本が、その近所の本屋に配本されるようにこっそり手配して、後日、本当に並んでいるかを確かめに行く……なんていうこともしていました。
(もう時効、ということで……)

本に追われて

今とは少し、社会事情もことなりました。
当時はとにかく仕事がハードで……
それでも若くて気力も溢れていたので、夜も、休日も、たくさんの本やゲラを自宅に持ち帰り、常に読んでいました。

読んでも読んでも終わらない……豪雨のなかにいるように、次々と本が降ってくる。
ほんの少しの外出の時にも、必ず何か読むものを携帯して、買い物のレジ待ちの時間も惜しんで活字を読む日々でした。
あれから十数年。
様々な事情があって、何度も引っ越し、いろいろな街に住みました。
世の中も、私の暮らしもどんどんと移ろっていきます。
けれど、多くの本に触れたあの街が、シュッパン人生の起点として私のなかに刻まれています。

(文・イラスト◎元塚B)

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