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「0から1をつくる」 本橋麻里



「でも私たちは、楽しさを失うわけにはいかなかった。」



「0から1をつくる」 本橋麻里



北京オリンピック。ロコ・ソラーレ準決勝進出、よかった~!
自力ではなかったにせよ、運も実力のうち。とくにこのたびは、国内戦から「運」にフォーカスしてきた彼女たちの地道な努力の結晶なのでしょう。


絶対にこの本が語っているように楽しんで戦えば、勝利の女神は微笑むに違いないです。「ナイス~!」な残り2試合を期待しています。


平昌オリンピック・銅メダル ロコ・ソラーレの本橋麻里さんの著書「0から1をつくる」


とても読みやすく、チーム青森時代のことからロコ・ソラーレのメンバーのこと、他にもカーリングの魅力がいっぱい詰まった本でした。


僕はバンクーバーオリンピックからカーリングに興味を持ち、それ以来オリンピックはもちろんテレビでカーリングの放送があるときは、可能な限り見るようにしています。


本当におもしろい競技です。一度見出すと止まらなくなり、試合が終わるまでテレビの前から動けなくなります。


とくにロコ・ソラーレの試合を見ていると、チーム全員の笑顔と明るさとコミュニケーションにいろんな意味で救われました。勇気を頂きました。


4年前、僕は病気で入退院の繰り返し。心身ともに痩せ細ってしまいました。


退院して年が明けてからの、3ヶ月の自宅療養。


治療の後遺症で、普通に歩くこともままならず、「本当に社会に復帰できるだろうか?」と毎日思い悩んでいました。


そのときに始まった平昌オリンピック。とくに好きなカーリング。


ロコ・ソラーレの太陽のような明るさと笑顔と楽しんでプレイしている姿に、どれだけ勇気づけられたことでしょうか。


負けてはいられない!


頑張らなくては!


それもチーム全員が大変な苦労や、努力や、くやしさを経験している。その土壌の上に咲いた平昌オリンピックの銅メダル。


それが、笑顔の中に透き通って見えてきたんですね。


本橋さんは「0」 すなわち何も無いところからチームを創り、快挙を成し遂げました。


楽しむということ。


それが強さの一因であることが、この本を読んでよくわかります。


楽しむことが、最強なんです。


しかし


それは、楽(ラク)をすることでは決してありません。

しんどいことを自分の力で乗り越えてやっと「楽しい」と思える瞬間が来るのであって、楽をして手に入れたものにはあまり価値を感じません。


カーリングを好きでやり続けて世界のフィールドに立つということ。それは、とてつもない涙を流した上に成り立つんですね。


この本に流れている一貫している想いは

「楽しいカーリング」


でも


競技で「楽しい」を発言することは、誤解を受けることが多かったそうです。


本橋さんは、悩みます。
そして考え続けます。

「楽しいカーリング」って何だろう?


本橋さんは、譲れないことがありました。


それは


0からチームを創ったのは、世界で勝つため。自分の理想のチームを創るため。

でも私たちは、楽しさを失うわけにはいかなかった。


「楽しさ」が絶対に不可欠だったのです。


本橋さんの理想と信念と努力に、人と人とがつながりました。その引力に素晴らしい才能が集まりました。「楽しい」「好き」が「勝利」に変化しました。


人生で何かの岐路に立ったとき、選択肢があるのなら、絶対に「楽しい」が希望の光を灯すことになるんだとこの本に教えられます。


ラクな道ではないですが、きっと「充実した」「生きててよかった」と感じるに違いありません。


僕はあのとき、オリンピックがあったから、ロコ・ソラーレのカーリングがあったから、本当に本当に救われました。


今では社会にも復帰でき、何とか頑張れています。


これからもロコ・ソラーレ、日本のカーリングチームを応援し続けていきます。


最後の章のエクストラエンドでは、チームのみなさん(吉田夕梨花さん、鈴木夕湖さん、吉田知那美さん、藤澤五月さん)から本橋麻里さんへの愛の言葉が捧げられています。


そして


最後のページの旦那様から本橋さんへの言葉が、この本に流れる一貫した想いと愛の結晶だと感じました!

息子も、あなたみたいに自分の好きなことを続けてほしい。

(中略)

今後も自分が楽しいと感じる限り、好きなことを好きなだけやってほしい。


ロコ・ソラーレ銀メダル!おめでとう~!



【出典】

「0から1をつくる」 本橋麻里  講談社


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