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「セブン セブン セブン アンヌ再び・・・」 ひし美ゆり子


「女優・ひし美ゆり子の中には、あの〝アンヌ″が住んでいます。そして、これからもずっと・・・・・・。」



「セブン セブン セブン アンヌ再び・・・」 ひし美ゆり子




僕が子供のころ、ウルトラマンや仮面ライダーが2大ヒーローでした。


その中でもウルトラセブンは特にかっこよくて、とても神秘的で〝大人〟な感じを抱いていました。


ウルトラセブンは子供番組ではあったのですが、人間の心の闇を浮き彫りにしたかのようなメッセージが根底に流れていました。


子供心に少し難解だと感じていたのですが、自分が大人になり、息子ともう一度セブンを見返したときに「何と深くて、考えさせられる」作品であると驚きました!


当時は近未来的で斬新、実験的映像が神秘的に感じていましたが、今は過去の過ぎ去ったレトロな郷愁と、その中にある神秘性が、あの時の実験的映像と融合して、恐ろしいほどの不思議空間とウルトラセブンの宇宙感覚的世界感を感じさせる映像として再現されているのです。


長年愛されている「ウルトラセブン」の主人公モロボシ・ダンと同じように愛され続けているのが、ウルトラ警備隊の女性隊員である、ひし美ゆり子さん扮する友里アンヌ隊員です。


僕が子供の時のアンヌ隊員はとてもお姉さんで、大人の女性に感じていました。今、映像を見返すと、とてもチャーミングでキュートで、大人と少女が混在した、とても魅力的な女性に感じます。この魅力が長年愛されている理由なんでしょうね。


この本の解説に「ウルトラセブン」の音楽を作曲した冬木透さんが、ひし美さんのことをこう語っています。

この人は、巧まずして、人から暖かさを引き出す人なのである。


この言葉のとおり、本の文面からもひし美さんのあたたかさと人柄が滲み出ています。


ひし美さんは昭和39年の東京オリンピックがあった年、友人のちょっとしたいたずら心のために、女優の道へと進んでいくのです。


クラスメートの1人が、ひし美さんに内緒であるコンテストに応募しました。


そのコンテストに入賞したひし美さんは、その後行われたカメラテストから東宝のニューフェースに選ばれます。


東宝に入社してからの話もこの本に書かれていますが、やはりひし美さんの運命的な出演は「ウルトラセブン」。


ひし美ゆり子さん=アンヌ隊員


と言ってもいいくらい、僕はこの本を読んでアンヌ隊員とひし美さんは本当に一体化しているというか、似通っているんですね。

女優・ひし美ゆり子の中には、
あの〝アンヌ″が住んでいます。
そして、これからもずっと・・・・・・。


この本には、ウルトラセブンに対する情熱・出演者やスタッフに愛されている様子がひしひしと伝わってきます。


また


出演者やスタッフひとり、ひとりに対しての想いが語られています。


そして


ウルトラセブンファンには大変うれしい、1話、1話の解説や裏話が書かれています。


これはすごくアンヌが身近に感じられるし、もっとアンヌ隊員やセブンが好きになること間違いなしです。


僕が好きな話は「メトロン星人」や「ガッツ星人」が出てきた話、神戸が舞台になった「キングジョー」が出てきた話です。また最終回のダンとアンヌのラストシーンは忘れられないです。


それから大人になってDVDを見てからは、ひし美さんも一番好きだと言っている話「ノンマルトの使者」です。


このお話はアンヌ隊員がメインで出演されていますし、すごく深くて考えさせられるお話なんです。


これが、昭和42年くらいに作られていたなんて・・・


それも子供向け番組で作られていたということに「ウルトラセブン」のすごさを改めて感じました。ぜひとも映像でご覧ください。


ひし美さんはファンをとても大切にされていますし、そんなあたたかい人だから、これだけ長年人の記憶に残っているのだと思います。

とにかく、私にとってただひとつ、永久に不滅なのは、それは巨人軍ではなくて『ウルトラセブン』なのです。

駆け出しの女優だった時代に、アンヌ隊員という記憶に残る役を演じきることができた私は、幸せというか、なんとついている女なんだろうナ、と思います。

作品では、マドンナ的存在のアンヌ隊員も、毎日が失敗失敗の連続。何をやってもとんちんかんで、それは破天荒な私の青春そのものでした。



【出典】

「セブン セブン セブン アンヌ再び・・・」 ひし美ゆり子 小学館


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