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「ファクトフルネス」 ハンス・ロスリング

「世界はどんどん悪くなっている」と考えれば不安になり、希望も失いがちになる。でも、それは思い込みにすぎない。」



「ファクトフルネス」 ハンス・ロスリング



あなたは今、世界が良い方向に向かっていると思いますか?


それとも


悪い方向に向かっていると思いますか?


僕はこの本を読むまで、悪い方向に向かっていると思っていました。それもかなり悪い方向に。


新聞やテレビやインターネットを見れば見るほど、落ち込んでいました。


しかし


この本を読んでから、考え方が一気に大きく変わりました。良い方向に。「読んで良かった」と心から思いました。


なぜ、悪い方向に考えていたのか?


それは


データや事実に基づいて、世界を読み解くことができていなかったからです。


でもそれは


私たちだけではないのです。


世界の優秀な人たちでさえ、できていないのです。


医学生、教師、大学教授、著名な科学者、投資銀行のエリート、多国籍企業の役員、ジャーナリスト、活動家、そして政界のトップまで。


はじめにクイズが13問出されています。そのクイズの正解率が前述の人たちも含めて平均15%だったそうです。


ひとつだけ取り上げてみると


世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう? 

A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 半分になった


いかがでしょうか?


この質問は、正解率が平均で7%だったそうです。


答えは





データにもとづいて世界を見ると、良くなってきているのですね。


もちろん、さまざまな問題や不幸な事件・事故、戦争、自然災害は
必ずどこかで起こっています。


でも、事実にもとづいて見ると、過去よりも良くなってきているのです。


この本は多くのデータとともに、それらを証明してくれています。


しかしなぜ、私たちは勘違いしているのでしょうか?


不安になっているのでしょうか?


未来に怯えているのでしょうか?


著者のハンス・ロスリングさんは、事実を妨げる10個の本能・思い込みがあると語っています。


分断本能

「世界は分断されている」という思い込み


ネガティブ本能

「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み


直線本能

「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み


恐怖本能

危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み


過大視本能

「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み


パターン化本能

「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み


宿命本能

「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み


単純化本能

「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み


犯人探し本能

「だれかを責めれば物事は解決する」という思い込み


焦り本能

「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み


これらの本能のことを、データと著者の体験をもとに詳しく解説されています。いかに私たちはこれらによって、事実とは違う思い込みをしていたかということに気づかされます。


そして


知らなかったことがあまりにも多かったと思い知らされました。


ファクトフルネス

「事実に基づく世界の見方」


この本は世界の本当の姿についての本でもあり、あなたについての本でもある。

あなたや、わたしが出会うほとんどの人がありのままに世界を見ることができないのはなぜだろう。

どうすれば世界を正しくみられるのだろう。

そんな疑問にこの本は答えてくれる。


僕はこんな先入観がありました。


「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。

金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう」


これはハンス・ロスリングさん曰く、「ドラマチックすぎる世界の見方」と呼んでいます。


まさに僕は、この「ドラマチックすぎる世界の見方」をしていました。これは精神衛生上よくないし、正しくないそうです。


ドラマチックな本能は、抑えないとドラマチックなものを求めすぎるあまりに、ありのままの世界を見ることができなくて、何が正しいのかもわからなくなるということです。


一番陥っていたのがネガティブ本能。「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み。


意識しなければいけないのは偏った報道でした。

戦争、飢饉、自然災害、失政、腐敗、予算削減、難病、大規模リストラ、テロ事件。世界はいつだって悪いニュースのオンパレードだ。

反対に、ゆっくりとした進歩は、どれほど大規模であっても、何百万という人に影響を与えたとしても、新聞の一面に載ることはない。

もしも記者が「航空機、無事着陸」「農作物の収穫、また成功」といった記事を書こうものなら、すぐに会社をクビになるだろう。

(中略)

いま起きている悪い出来事に人々の目を絶え間なく惹きつけるのがニュースというものだが、悪い出来事ばかり目にしていれば、誰でも悲観的になる。

加えて、思い出や歴史は美化されやすい。だからみんな、1年前にも、5年前にも、50年前にも、いま以上に悪い出来事が起きたことを忘れてしまう。

「世界はどんどん悪くなっている」と考えれば不安になり、希望も失いがちになる。でも、それは思い込みにすぎない。


事実として世界は良くなっているのですが、「世界について心配する必要がない」というわけではないのです。


悪いことと良いことは両立しているということを理解することが、とても重要なことなんですね。


ネガティブなニュースや悪い出来事のほうが耳に入りやすく、ゆっくりとした進歩や良い出来事はニュースになりにくいと気づくこと。このことを常に意識していなければならない。


また以下のことを、本能として人々に美しく印象づけられることを危惧しないといけないと思考の中に留めました。


人々は過去を美化したがり、
国家は歴史を美化したがる。





【出典】

「ファクトフルネス」 ハンス・ロスリングオーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド  日経BP社


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