見出し画像

スペイン料理といえばパエジャでも生ハムでもなくトルティージャだと思う

美食の国なんて称されることの多いスペイン。食糧自給率もとても高く、スペイン産の美味しいものに出会えるので、食べることはスペイン滞在の大きな楽しみ。食いしん坊さんにはもってこいの国です。スペインは地方色がとても強いので、南に行けば南のお料理が、北に行けば北のお料理が楽しめます。

そんなスペインで、どこに行っても絶対に見かけるもの。それがTortilla(トルティージャ)。オーソドックスなものはTortilla de patata(トルティージャ・デ・パタタ)、または国の名前を冠してTortilla Española(トルティージャ・エスパニョーラ)と呼ばれるじゃがいもと玉ねぎの入ったオムレツです。

オムレツは別に日本でも食べられるやろと思うのですが、これがめっちゃ奥が深い!そしてスペイン人たちはこのトルティージャが大好きで、専門店はあるわコンテストはあるわ細かいこだわりはあるわで、トルティージャにかける情熱がヤバいんです。

トルティージャの歴史を調べてみた

あなたはいつ生まれたの?

どの地方のBar(バル)やRestaurante(レストラン)に入っても、高確率でカウンターに鎮座しているトルティージャ。一体いつから王として君臨しているのか気になったので、トルティージャの歴史を調べてみました。

1400年後半から1500年前半、スペインが現在のような「他の国のことは知らんがな」というマイペースな雰囲気ではなく、他国に攻め込み文明を滅ぼしまくっていたアグレッシブな国だった時代。いわゆる「大航海時代」には、すでに卵だけのオムレツは存在していたようです。スペインが征服したインカやアステカから金銀とともにじゃがいもがスペイン本土へ伝えられたことで、スペインの歴史にじゃがいもが登場します。

本土へ持ち込まれたじゃがいもはスペインを経由してヨーロッパ全土へ広がりました。戦争中に土地が荒れても収穫できたことからとても重宝されていたのだとか。トルティージャにいつじゃがいもが加えられるようになったのかは定かではないようですが、1767年に書かれた本に登場するのが最も古い記述なんですって。

1767年というと日本は江戸時代の真っ最中なので、かなり古くからある伝統料理ということが分かりますね。

スペインで繰り広げられるトルティージャ論争

おにぎりの具は何が好きですか?梅?鮭?昆布?ご飯は硬め?柔らかめ?のりは焼き海苔?味付け海苔?おにぎりの種類って数え切れないし、好みも千差万別ですよね。

スペインにおけるトルティージャも、同じくらい種類があり好みも分かれます。お店によって具の量や下ごしらえの仕方、塩加減、卵の焼き加減、アレンジを加えるか加えないかなど本当にさまざま!Xではよく現地民によるトルティージャ論争が繰り広げられています。

具材だらけでしっかり焼かれたトルティージャが好きな方もいれば、具は控えめで卵が半熟になったものが好きな方も。焼いた次の日のちょっと固くなったものが好きという意見も見かけました。私は断然半熟派です。柔らかい卵とじゃがいも玉ねぎの甘さがたまらんのです。玉ねぎ入れるななんて意見もあるけど。

唯一全スペイン人に許されているであろう具材、じゃがいもは茹でる派と揚げる派、炒める派がいるようです。玉ねぎも同じく揚げる派と炒める派が。シンプルなトルティージャだからこそ、具の下ごしらえが風味に大きく影響しているんですよね。奥が深い!

王道のトルティージャは正直どこで食べてもおいしい

フォークがぶっ刺さって出てくることが多い

王道のじゃがいもと玉ねぎの入ったトルティージャ。正直まずいお店に当たったことがありません。皆さんあります?不幸にもまずいトルティージャに出会ったこと。まずくなりようがないと思うんですけど・・。まあ私は現地の方のように譲れないこだわりがないからかも。

スペインで絶対に食べてほしい王道のトルティージャ・エスパニョーラ。どのバルでも大体出会えますし、トルティージャを食べよう!と思って結局食べられないなんてこと、スペインではあり得ない。ケーキのようにカウンターに並んでいることが多いですよ。注文も簡単、これ!と指させば切り分けてくれます。フォークがトルティージャに刺さった状態で「ほいっ」と渡されると「スペインに来たなぁー!!」と感じます。

お魚、お肉とのバランスもよい

シンプルな具材のトルティージャは、お肉やお魚入りのものも多く見かけます。

お魚は焼いたり揚げたりしたメルルーサと呼ばれる白身魚や、バカラオ(たら)の身を崩して一緒に焼き上げます。お魚のトルティージャはとっても柔らかくジューシーなのが特徴。癖もなく優しいトルティージャです。バカラオの入ったトルティージャはバスク地方の名物料理で、おすすめのお店やコンテストのチャンピオンなどが地方の新聞記事に載っていたりもします。

お肉のトルティージャはチョリソと呼ばれるちょっと辛いソーセージを細かく切って加えたものや、ひき肉入りのジューシーなものも。ひき肉入りはちょっと珍しいかも。お肉入りは通常のトルティージャに比べて味が濃く食べごたえも抜群です。

カラフルな野菜入りも

トマトとかピーマンとか

じゃがいもと玉ねぎ以外に野菜の入ったトルティージャももちろん存在します。ピーマンやにんじん、ブロッコリーにズッキーニ、ナスなど何を入れてもおいしい。でも、どちらかというとバルで食べるというより家庭料理に近い気がします。

生の野菜がサンドイッチ状態の変わり種も

薄いトルティージャの上にレタスとトマトとハムと・・

ちょっと変わり種のトルティージャ。ホールケーキのようにまるまるカウンターに置いてありました。最初トルティージャだと分からず、「これなに?」と聞いたら「トルティージャよ!フレッシュの!」と言われました。

フレッシュって何と思いながら頼むとその場で切り分けてくれたのですが、中に生のレタスがたっぷり。切ってくれている最中に、レタスの切れるパリパリ音がしっかり聞こえました。

外の白いクリームはマヨネーズ!致死量ですが、スペインのマヨネーズって日本のよりあっさりしています。卵黄の割合が少ない気がする。この量でもぺろりといけました。ビトリア/ガステイスにあるお店情報、置いておきます。

ボリュームがやばいボカディージョ・デ・トルティージャ

このサイズ一般的

もう今めっちゃお腹空いた!という時におすすめなのがBocadillo de Tortilla(ボカディージョ・デ・トルティージャ)です。ボカディージョはスペインのサンドイッチのことで、これも種類豊富。トルティージャをサンドしたボカディージョも全土で見られます。

これね、おいしいしボリュームがすごい!私は「今日お金使いたくないわ」って時に一個買って、朝昼で食べたり友人と分けたりします。

マッシュポテトのトルティージャ

じゃがいもの形がほぼ残っていない

トルティージャのじゃがいもって普通形が残っているものなのですが、サラゴサで食べたこのトルティージャはなんとほぼマッシュポテト型!そんなことある?初めて出会いましたが、ほっくほくでとってもおいしかったです。

でもその時じゃがいもを加熱しすぎて図らずもマッシュポテト型になったのか、狙ってやっているのかは謎。いつか確認しに再度行きたいと思います。サラゴサのホテルに併設しているバルでした。

止まらないトルティージャ愛を見守りたい

家でも時々作っています

スペインを席巻しているトルティージャ。スペインを訪れる際には、ぜひトルティージャを食べることをやることプランに入れてください。本当、どこにでもありますので。何を食べようか迷ったらトルティージャにしとけば間違いございませんので。

私はこれからもスペインのトルティージャの進化を、国内で繰り広げられるトルティージャ論争を、第三者として見守って行きたいと思います。日本でもどこでも食べられるようになるといいね。分厚いトルティージャ。












この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?