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草原のマッチポンプ-モンゴル旅トイレ事情

2023年の夏は1週間ほどモンゴルへ。遊牧民のゲルにホームステイして、実際の暮らしを体験させていただいた。その内容はまた記事にするとして、忘れてしまいそうな小さなことを帰りの飛行機で書く。

草原のトイレ事情

昔、ある人は言った。「はぁーテレビも無ェ、ラジオも無ェ、くるまもそれほど走って無ェ」と。モンゴルの遊牧民の方々は、草原にゲルという伝統的な家(大型テントのようなもの、移動可能)を建てて暮らしている。意外にもテレビがあり、車もあり、4G電波もあり、ソーラーパネルで発電した電気も活用して、遊牧生活を現代的にアップデートしていた。

そんな中、存在しなかったのがトイレである。みんな周りの茂みに隠れながら、用を足しているとのことだった。じゃあ茂みを探すか、ゲルの外に出てみると…

はぁー茂みが無ェ!
と心の中の吉幾三が歌い始める。近場にちょうどいい茂みが見つけづらく、昼間だと人目に付くので、ちょっとトイレしづらい。

ハルガイという罠 

それでも徒歩5分弱でこういった小さな茂みまでたどり着ける。ただ、この小さな茂みにも敵が潜んでいる。「ハルガイ」という毒草である。

今回ステイした地域では、目隠しになる茂みのほとんどは、このヨモギのような葉をした「ハルガイ」という植物だった。なんとこの植物、触れた途端にピリッと激痛が走り、その後腫れてくるのだ。

かくいう筆者も、草原の茂みで用を足していたところ、前方から少年が馬に乗って駆けてきたため、あわてて見えない位置に移動しようとして、腰にハルガイが接触しダメージを負った。馬、早すぎ。

草原のマッチポンプ

このハルガイという毒草に触れてしまった場合、多くのモンゴル人がこんなアドバイスをくれる。「その腫れはオシッコをかければ治るよ」と。そもそも用を足しに茂みに行っているのに、治すのにまた茂みに用を足しに行かなくてはならない。そうするとまた腫れる。草原のマッチポンプだ。腫れたから用を足す、用を足すから腫れる。

個人的には茂みとの距離感が分かりづらいものの、そもそも灯りが一切ないので人目につかない夜間よりも、圧倒的に昼間の方が接触リスクが高い気がした。 モンゴルの夏は涼しく、満点の星空の下でトイレするのはかなり快適だった。

自然と一体になってる感

草原からは天の川が見えた

野外でのトイレには、自分が草原における生命のサイクルの中のひとつになっているような感覚があった。壮大な草原の一員として受け入れられる。自分を受け止めてくれる懐の広さを、モンゴルの雄大な景色に思った。

ちなみにオシッコをかけなくても、ハルガイによる腫れはすぐ引いたのでご安心ください。

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