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#小説の中みたいな幸福感 をシェアできる友達




肌寒くなった10月半ばの金曜日。



仕事を終えて、あの子がおすすめしてくれた喫茶店に寄ろうとふと思った。



職場の最寄駅、ついでに言えばわたしたちの出身大学の最寄駅から徒歩1分。



流行りのカフェとは違い、でも古めかしい感じでもなく、"きちんとなされた"雰囲気のその店に入る時は少し緊張した。



でも、社交的なご主人が明るい笑顔で迎えてくださったのですぐに解けた。











***






"近い将来、海外に行くことになるかもしれない。"




そのことをやっと彼女に伝えられたのは、去年から行きたいと思っていた尾瀬ヶ原に到着してからだった。



秋を迎えた湿原には無数の色が広がっていて、とても気持ちがよくて開放感があった。



強く緊張していたわたしを見て、彼女はふふっと吹き出したように笑ってくれた。





"わたしは待っているから、大丈夫よ。"





大自然に包み込まれるような感覚


柔らかくてまっすぐな声


お互いに分け合ったおやつの味


湿り気のある空気の匂い


汗を冷やすひんやりとした風




その全てを心に残したいと思った。










***






そんな週末を明けて、トラブルが続いた日常を不思議なくらいに上手く回せた1週間だった。



と、喫茶店のピザトーストとカフェオレを味わいながら振り返る。




どれもこれも彼女のおかげである気がした。




中学時代に通った塾、大学、巡り巡って福祉の仕事をするところまで同じなので、そういう運命だったと納得感さえ生まれる。



彼女の専門は臨床心理学で、子どもや心の発達についての研究を経て、今の仕事にも真摯に向き合っている。



未だに北欧へ憧れているわたしの話にも耳を傾けてくれるのは、きっと専門性とご縁と山好きが重なり合ってのことじゃないかなと思う。



だから、彼女と共有できる、このファンタジーなほどの思い出たちには #小説の中みたいな幸福感 と名前をつけた。













また、いつものように、巡り巡って、お互いにまっすぐ進んだ道の先で…





ゆっくりと語り合える時間を楽しみにしているね。









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