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松本ことから田中まつへの明治35年5月の手紙

日本橋田所町の松本ことから佐々木家に奉公している田中まつ(祖母の姉)に出した手紙だが、本文は以下のように完結していない。前略の箇所か2度あり、最後も途中で終わっているので、下書きのようである。明治35年は、祖母が17歳であり、幼なじみの松本ことも同じ年頃だろう。

何故下書きが封に入ったか不明。筆跡から松本ことのものと思われるので、それを前提に考えると、文中に「私の体についていろいろと御心配くださりありがとうございます」とある。5月に書かれたものなら、その頃には松本ことは、脳病(神経症等)を患っていたことになる。自身の病については、その年の夏から秋にかけての祖母宛の手紙に自分の病気について言及している。残されたいくつかの手紙を読むと人に気づかいをする心やさしい人柄だったようで、世間に出て心を病んでしまったのではと推測している。

「明治35年10月の祖母への幼なじみからの手紙」https://note.com/sinke/n/na974415c01c6

「祖母への明治時代の残暑見舞い」https://note.com/sinke/n/nb318feb08f05

(仮訳)
【宛先】
神田区西小川町一丁目三番地
佐々木様御内ニテ おまつさん江 
消印35.5.14 
【差出】
(日本橋区)田所丁 松本ことより
五月十四日
【本文】
前略御免被下度候 さて当方より御たより致すべきはずのところ姉上様より

前略御免被下度候 さて当方より御たより致すべきはずのところ姉上様よりこまこまもの御品給はりいとうれしく拝し上奉候拝
私事も参上致し皆々様に御目もじし度存じ候へ共 何分にも無人ゆへ心ならずもいつゝ何方様へも御ふ沙汰致し誠に申訳御座なく候 
就ては私事の体に付ていろいろと御心配被下御厚意のほど有がたく御礼申上候 御蔭様にて


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