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治安の意識が、行動を変えていく。

 常夏の暑さが尾をひいていながらも、ヒグラシの声色とともに、風に秋の匂いを感じるようになってきた。

この夏、私はある出来事から、意識の旗色が変わった。

街の「治安」の格差に愕然とする。

 6月のある日、私は地元から3駅離れた緑豊かな公園へ、夏木立の憩いを求めて出掛けた。正午近い時分に、陽光がキラキラと煌めき、心地よい薫風を感じていたら、ベンチでこんなに明るいうちから、お酒を片手に酩酊している様相の男性のご老人に、忽然と絡まれた。

今冷静に思えば、すぐにスルーすればよかったのだが、その時の私は、お年寄りに対する孝行心から無下にすることができずに、内心は困惑していながら、体裁を取り繕っていると、初対面とは思えない発言を無遠慮にぶつけてきた。性的な凍り付くような言葉を、投げかけてきたのだった。

自分の親よりもずっと年配の男性だったので、現実として、とても受け止められず、ただただ、驚愕してしまい、顔面蒼白になって震えだした。なんとかその場を脱兎のごとく去り、急いで帰宅した。

それからというもの、当時の恐怖感が蘇ってきて、その公園には、足を踏み入れることが出来なくなってしまった。その公園に隣接している図書館でも、以前にお年寄りにしげしげと見られた経験も相重なって、足が竦むようになってしまった。

 この日本という国に生まれ育った私は、どこか「治安」というものの意識が欠けていたんだ・・・。海外であれば、女性ならもっと、出歩く場所も日常から気を付けているだろう。私は日本だからと胡坐をかいて、緩慢になっていたのかもしれない。

 それからというもの、私はより慎重に、街自体のカラーや特色・どういう人種が集まりやすいのかを意識して、出掛けるようになった。

出掛ける曜日や時間帯によっても、集まる人は変わってくる。ビジネス街や比較的生産人口の多い都市は、みんなそれぞれの日常が多忙なので、他人にあまり関心がなく、そういう街にある公園は、過ごしやすいと感じた。年齢層が幅広い街のほうが、バランスがとれていて、治安の良さにも繋がっている気がした。

ホッと一息にカフェに訪れても、読書や勉強・ビジネスのためにノートパソコンと相対している人たちが、四方八方に集まっている。
「私も、自分の成長のために時間を大切に遣おう。」という気持ちにさせてくれた。

 明るい時間帯であっても、余暇を持て余して、お酒やタバコなどで無聊を慰めている人たちが集まる場所は、治安がいいとは言えない。それが、一見子供たちもよく訪れるパブリックで安全に見える公園であったりするから、盲点だ・・・。

 改めて私は、「治安」の大切さを思い知らされた。


人間関係にも「治安」の意識を。

 またこの経験から、自分の廻りの人間関係の「治安」についても、深く掘り下げてみた。人間はどんなに気を付けていても、隣の席に座った人の影響を10%は受けてしまうというデータがあるそうだが、それだけ独りひとりが、廻りに与える影響は大きく、責任が伴うものだと思う。

私自身、プライベートであれば、次のことを意識するようにしている。

  • お互いに負担にならない距離感

  • お互いに成長している間柄であること

  • 信頼できる関係性であること

この3つを意識していれば、自然と自分と相手との「治安」が成り立ちやすいと思う。

 そして、お互いに負担にならないためには、人間関係の距離感に、自分のなかでメリハリをつけることも大切になってくる。心理学の本に書いてあったが、人間関係には3つのカテゴライズがあり、それは「経済空間」「友愛空間」「愛情空間」で成り立っているという考え方がある。

  • 愛情空間・・・家族・夫婦・兄弟・姉妹・恋人など

  • 友愛空間・・・友達・知人・親しい人など

  • 経済空間・・・会社の同僚や上司・お店の店員さん・すれ違う人

 まず、愛情空間が一番コアな関係であり、ここが良好なのか、それとも欠乏感を感じているかどうかが、友愛空間や経済空間に響いてくる。私自身、機能不全家族を経験しているので、この愛情空間で満たしきれない心を、学生時代の私は、友愛空間でずいぶん補ってきてしまったと、あとで気づかされた。あの時の友人たちには、こんな私を支えてくれて、感謝しかない。

 ポイントなのが、ほとんどの人間関係は、経済空間で成り立っているという現実だ。それは、お金を通しての繋がりなので、それ以上は踏み込まないと境界線を引くことが大切になってくる。これが、大人の人間関係の基本的姿勢であり、それを侵せば、相手に不快な思いをさせてしまったり、負担に感じさせてしまうことになりかねない。

 相手との関係性が、この3つのうち、どこに当てはまるのかを意識するだけでも、距離感においてミスしにくくなり、人間関係の「治安」が形成されやすくなると思う。私は、この事を学んでから、経済空間の相手に対して、期待しすぎたり、求めすぎることが減殺され、とても楽になった。


まとめ。

 私たちを取り巻いている地域性や人間関係が与える影響の大きさを考えると、自分の選択の責任の重さが、身に染みる。

 人生は、貴重な有限な時間を費やす繰り返しだから、自分がどんな影響を受けたい?または受けたくない?を把握して、自分にとっての治安のある空間を作り上げていくことが大切だと思う。

影響をどうせ受けるのなら、「受けたい」事柄や人を意識しながら、責任をもって選んでいこう。(*'▽')

これを読んで下さっている方の治安がどうか守られますように。

今日もお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

それではまた。


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