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#157 修行者達の道【宮沢賢治とシャーマンと山 その30】

(続き)

話が脱線したので、再び出羽三山に戻る。

羽黒山麓の宿坊から羽黒山へと続く山門をくぐると、神社までの長い長い石段が続く。石段の脇には五重塔があるが、五重塔は仏教的な建築物であり、出羽ではかつて神と仏が一体となっていたことが想像できる。

約2500段と言われる石段は、修験者にとってはそれほど過酷ではないはずだが、一般の人々にとっては肉体的な苦痛や疲労を伴う長さである。

石段の先には、現在では三山の神々を併せて祈ることができる出羽三山神社が鎮座し、長い長い石段を登り切った達成感ともに、参拝者達は巨大な神殿を畏敬の念で見上げることとなる。なお、長い石段の脇にも数多くの神々が祀られ、さながら神社のテーマパークだ。

羽黒山頂から次なる目的地の月山方面へ下ると、修験者達の拠点でもある荒澤寺があり、その背後には月山が控えている。

現在は月山八号目まで車で行くことができ、そこから頂上までの登山だが、それでも片道3~4時間の道のりだ。今は車でショートカットできる八合目より下も、かつては足で登り、その道のりは想像を絶する長さだったはずだ。

月山八合目から先の山上の世界は、花畑も広がる一方で、初夏まで残雪が残る、下界と隔絶された世界。今なお、白い装束を身に着けた人々が、山頂を目指し登って行く、祈りの地でもある。

登山道から外れた場所には、修験道の行者達が修行を行う場も存在する。修験者達も一般の登山者達も、昔よりは楽になったとは言え、未だに厳しい山の道を踏みしめることによって、過去・現在・未来を体で感じながら、新たな命と生まれ変わると言われる。

【写真は、出羽三山 月山から湯殿山へ向かう道】

(続く)

2024(令和6)年3月20日(水)

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