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全公開!候補者中心の"入社オンボーディング”の心得

Asobicaでは12月に経営をはじめとした部門長のnoteリレーを行い、1月はメンバーによるnoteリレーを実施しています。(前日、前々日のnote)

今まで、公式のnoteアカウントで書くことが多かったですが、本日は自分自身の仕事の棚卸しをしてHRに関することを書こうと思います。


記事は、「候補者体験(Candidate Experience)の最大化」を主題に、具体テーマとして新入社員からよく「思っていた以上に手厚い」「スタートアップでここまでやってくれると思わなかった」といただくことの多い「入社オンボーディング」について触れられたらと思っています。(文章長めです。)

■話したいことの要諦
1. 採用して満足しない姿勢と入社時は最高の始まりを届けることが重要
2. 物事の価値基準は常に「候補者=新入社員」に置くことが体験向上の条件
3. 真似て成功するものでもなく、ユニークネスポイントの特定が鍵
4. やらなさ過ぎも悪で、やり過ぎも悪。ディレクションし続けること



自己紹介

新卒はマイナビに所属し、その後アイレップ(広告代理店)、ビジョナル(ビズリーチ)と経験し、スタートアップの一人目人事として2022年4月からAsobicaに参画し、人事と広報を担当させていただいています。
X:https://twitter.com/kim17sho
Facebook:https://www.facebook.com/shoo17goo/

以前、Asobicaに入社したときに書いたものがあったので、添付もします。


現在の採用市場の整理とAsobicaの組織の“核”

現在の採用活動は非常に多角化しており、人材獲得や繋ぎ止めに思考を巡らせている会社がほとんどかと思います。

面接面談の独自性、就業環境の整備、条件面の見直し・・・正直、この悩み話し始めたら、人事同士であれば話せる気がします。「これさえやれば採用できる」といった正攻法は無く、ノウハウ本も数多出ているが試したからといって成功確度が高まるわけでもないです。

結局大事なことは、いかに自社を理解し、共感共鳴した候補者を迎え入れ、ご活躍いただくかに尽きる。故にユニークネスさが求められます。

Asobicaは「遊びのような熱狂で、世界を彩る」を掲げ、社内でも「コキャチュウ」といったビジョンのキャッチワードやアイコンを作ったり、顧客(クライアントをはじめ関わるステークホルダー全て)を大切にする文化を持っている会社だと思います。

コキャチュウ

「コキャチュウ」を体現していくメンバーがより「コキャチュウ」できるような熱狂さを入り口から真っ直ぐに候補者に伝えることこそ、Asobicaらしさが出るなと思い、当時は「コキャチュウ」という言葉はなかったですが、入社後すぐにメスを入れていったのが入社オンボーディングでした。


入社時の候補者的違和感(≒入社時ギャップ)

採用活動においては全社採用で、一社の選考でも多数のメンバーにお会いできたり、ポジティブな印象を与えるような会社が増えているし、むしろやらないはただただマイナスになってしまうような市場になっているので、無意識に施策を投じることは少なくないと思います。

一方で案外ブラックボックスかつ表層化されていないのが、候補者→社員になる瞬間の入社時体験だなと。なぜ表層化されないのかというと、体験が良くても悪くても、その瞬間で退職する方は少ないから問題になりにくいと仮説を持っています。

ただはっきり断言すると、このタイミングのタッチポイントは一人の社員のエンゲージメントポイントのスタートラインを設定する事になるし、立ち上がりの速さに直結します。

過去私も自身の体験もですし、フリーランスで関わらせていただく企業もあったので三者三様だなと思いました。最も手厚かったのは、1ヶ月近くカリキュラムがセットされているようなトレーニング部隊が専属で存在し、知識を確実につけていくような会社でした。
一方、ほとんど何もしないで、椅子座ってみたけどやることわからない。みんな話しかけてもくれない。といった素っ気ない対応をされる現場もみたことがあります。これぞ最初に訪れる入社時ギャップですよね。これは会社単位だけでなくチームなどの規模を小さくした時も同様だと思います。

  • この会社に入るべきだったのかな?

  • 仲良くできそうにない。

  • ミスった、辞めたいな。

その瞬間に新入社員側が思うことは残酷ですし、採用した瞬間の喜ばしさはもちろんありますが、その一人が入社して立ち上がるまでが採用であり、活躍まで見ていくことがCXに値するなと常々思っております。


入社オンボーディングで抑えるべきポイント

まず大前提、 オンボーディングは発射台の役割を担うものと捉えています。具体的に申し上げると、組織の共通理解としてオンボーディングを通じて、新入社員となるメンバーが、良いスタートを切っていただくための場所であることが重要であると考えています。

❶主語は「新入社員(=候補者)」とし続ける

会社と候補者のキーファクターの設定を誤るケース。どういうことかというと、会社は採用数を追いかけることが多いため、いかにいいタレントを自社に加えるかに注目してしまいます。
もちろん候補者にとっても決断するフェーズは重要であるが、それ以上に、新しい場所に入る瞬間に高揚と不安が入り混じることは当たり前。候補者のエフィカシーをどれだけ挙げられるかがかかっています。ここをミスしてしまうと、Negative Joinとなり、リテンションに影響してしまいます。

だからこそ、会社側の鉄則は「主語をブラさないこと」であると言えます。

社内の資料で1年前くらいに掲げていたスローガン

このスライドは1年以上前に候補者に対し、どんな「はじまり」を作れるといいかを考えた時に書いたアウトプットです。
コンテンツは後回しでも、まずは会社のスタンスを設定し、新入社員へ届けることがオンボーディング成功への第一歩です。

そして忘れてはいけないのが、人は節目を忘れないということ。新入社員の入社式や最終出社はもちろん、プライベートでの結婚や出産といった節目は良くも悪くも覚えていることがほとんどです。つまり、入社を彩ることは、その会社で働く満足度にも起因していくと考えています。

❷社内のステークホルダーへの共感を作り出すこと

組織が拡大していくと必ず訪れる壁の一つです。現在のAsobicaのオンボーディングは人事だけでなく、経営、コーポレート全方位、フロント、エンジニアとほとんどの職種の方に関わっていただいています。(これは感謝でしかないです)ここでも大事なポイントは❶に書いたポイントをブラさないことにあると思っています。正直、ここがハッキリすれば意思決定はスムーズです。

そもそも、私が入社したときは当たり前ですが、オンボーディングというカチッとプログラム化されたものはございませんでした。(もちろんあることを望んで入ったこともなかったので当時は気にしませんでしたが。)

ただいつまでも「スタートアップだから仕方ないよね〜」「整っていないことが美学」といった世界は通用しないし、それももうじきやってくることを当時悟り、早期から着手してきました。どの部門のメンバーも共感してくれるし、先日経営会議でも大幅アップデートにも満場一致してくれる組織にはただただ感謝でしかないし、それがあるから出来ていると思っています。まさにここが組織の色が出るところだと思います。

❸運用フローは体系化

オンボーディング自体は入社時からですが、候補者(新入社員)とのやりとりは採用から続いています。採用〜入社を設計し、モメンタムを作り出した上で、オンボーディングに参加いただき、現場に入っていただく。これがオンボーディングの役割で、リンクマンの役割だと思います。

少し前に整理した時の裏側の運用フロー

運用フローが見えてくると、どの程度候補者側とのタッチポイントが作り出せているのかが見えてきます。当時、コミュニケーション量の担保は出来ていたものの、同一した相談が多く上がってきていたので、Notionページで入社エントランスとして不安の払拭や入社までに起きうること、準備しておくことなどを1つの場所にまとめたものを用意しました。

内定承諾後にお渡ししているEntranceページ

よくある質問もだいぶ減り、本来取るべきコミュニケーションに集中できるので、今やNotionで数時間あれば作成できてしまうので、早めに作っておくことをお勧めします。

❹フェーズごとで必ずアップデートし続けること

型が出来上がると、それを長年運用してしまうケースが見受けられることもオンボーディングあるあるですが、オンボーディングは生モノだと思っています。時期や会社のフェーズで伝えるべき内容は異なりますし、入社してくるメンバーのインサイトも異なります。

なので、常にミニマムアップデートしながら前に進めていくのがいいと思います。個人的な感覚は四半期に一回は見直すことを意識しています。
毎月入社者がいるスタートアップでも、PDCAを回す回数は月に1~2回程度だと思います。その機会を無駄にすることなく、実施した際に入社者のコメントを回収するのは当たり前。それをどう反映するのか。ビジネスと同じだと思います。

❺節目(≒イニシエーション)を作り出すこと

節目(≒イニシエーション)というのは入学式、卒業式、結婚式のような人生の転機のことです。オンボーディングでも同様に、イニシエーションを作り出すことは重要です。例えばマネージャーの役割を組織から預かったとした時、その日まではマネージャーという存在や役割に対して無意識だったことが、拝命された瞬間からマネージャーという存在を強烈に脳は意識し始めます。自覚が生まれ、意識的に行動を変えていくというふうにその人の中での重要性が変化するというカラクリが働きます。

なので、その会社に入社をした時も長年いた前職から大きな転機が変わる事になりますので、イニシエーションの場を生み出し、その会社に入ったと脳を書き換えるような機会を生み出すことをお勧めします。


オンボーディングがもたらす効用

あくまで私が考えるオンボーディングがもたらす効用を書きますが、いくつか挙げられると思います。

■対新入社員
・入社時のモメンタムが承諾時を超え、不安→自信(能力に対する自己評価)に変わる
・話せる仲間が一人でも多く入社のタイミングで増やすことができる
・入社していてありがちな疑問を未然に解消。仮に発生しても聞きやすい関係性構築が可能

ここまで書いてきたことなので基本的には割愛しますが、新たなチャレンジはわからないことだらけなので、ワクワクしている面もあれば、必ず不安な面もあります。転職においての不安は新たな環境で自分はやれるのかといったことが多いです。コンフォートゾーンをずらそうとしているので当たり前の話です。心地が悪いのです。

一方的に会社が数ヶ月後に「◯◯さんは活躍してるね/あまり活躍できてないね」と判断するのではなく、それ以前に活躍できる状態を作ってあげることは会社の責務だと思います。そのとき大事なのはスタートアップだからと雲隠れしないこと。

■対社内
・どんな人が入社されたかがわかる
・常にベクトルを同一方向に揃えることができる
・コミュニケーション機会の増加
・社内文化の形成

当たり前ですが、ここまで話してきたオンボーディングは全社で実施しているものであって、その後に各部門でも実施いただくので、トータルするとボリュームが多いです。

一部重複したり、もっと簡素化しても?という声をいただくこともありましたが、敢えて工数がかかってでも、肉厚に実施することを選択しています。実はテクノロジー化を推進することのほうが簡単で、ツール入れて新入社員に内定承諾時に渡してということもできると思っています。

しかし、冒頭に申し上げたAsobicaの文化形成を入り口から染み渡らせる方法の最善を考えたときにまさに代表の今田がよく話す「心の豊かさを満たす」ことを第一優先すると、私自身はコンセプトに合った従業員体験を彩る第一歩を「組織の温かみ」や「体温」に触れる機会とし実施することで文化を作ることができると信じています。

実際に今月入社されたメンバーにオンボーディング実施後アンケート調査を行いました。

こういったアンケートコメント一つ一つは改善における“宝”です。すべてを導入するかどうかは議論の余地はあれど、例えば上記にあるような「メンター」などはまさに今後議論を進めていきたいと思うような意見であったりもするので、必ずコメントを拾います。

その悩みの払拭は入ってからでないと出来ないとした時に、最も最初にその払拭をしてあげられる場所だと思っています。むしろ一気に「入ってよかった」と言ってもらえる場所であるとも思っています。

このタイミングで何をしてあげられるかで、その後のリテンション及び活躍度合いのレバレッジは大きいです。


オンボーディング3.0と今後に向けて

オンボーディング3.0

入社して1年半で3回ほど大きなアップデートをしており、現在オンボーディング3.0です。ちょうど2024年1月からも大幅にアップデートしました。

3.0へのバージョンアップを検討した際に、実はもう少しプログラムを用意する予定でした。ただ合間にはウェルカムランチを絶対に実施していただいたり、研修を入れていたりもしている関係で、逆に盛り込みすぎることによる体験悪化も起きうると感じ、最新はこういった感じで運用しています。

全社オンボーディング公開(3.0)

また、普段リモートのメンバーにも初日だけは出社をお願いするようになりました。むしろ、リモートのメンバーにこそ来てもらいたいと思っています。日常だとどうしてもオンライン上のコミュニケーションとなってしまいノンバーバルな面が見えづらく、コミュニケーションのズレを生み出してしまったりするケースが多いですが、初日に会社やメンバーに触れ合っていただく機会を作り出すことができるだけで、ラポール空間を形成できると考えています。

2024年からスタートしたDAY ONE

他にもフライングになるので詳細は言えませんが、DAY ONEの中でも新たな取り組みをスタートさせていたりもしています。(また別の機会に)

今後のオンボーディングを考える

今後はよりオファー承諾〜入社の最も溝となりうる部分に滲み出ていきます。既に構想はスタートしており、数ヶ月後にはバージョンアップを試みる予定です。この数ヶ月後もポイントで、運用が慣れていないのにも関わらずアップデートを試みるのは却って危険です。
協力してくれている社内メンバーのモメンタムが今度下がってしまうからです。

候補者体験は常に改善が求められますし、会社のフェーズや採用人数、何よりスタンスが問われるものだと思っています。
経営をはじめ、受け入れる側のスタンスを決めること。その上で設計〜運用までディレクションしていくことも人事としての組織に対する価値発揮ポイントだと考えています。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

2023年にはAsobicaのVP陣によるnoteリレーを実施しました。

また年明けより自社プロダクトである「coorum(コーラム)」を用いたメディア「Hey!Asobica」をスタートしました。

現在、Asobicaでは全方位採用活動を積極的に実施しています。カジュアル面談も積極的に実施させていただいておりますので、ぜひご連絡ください!

まだまだnoteリレー続きますので、引き続き宜しくお願いいたします!


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