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探究の問いを考える

Google for Education認定トレーナー/コーチの笠原です。

まずは余談ですが軽井沢風越学園のプロジェクトの学びに関する本が発売になるようですね。

本書は、軽井沢風越学園がどのように探究の学びやプロジェクト学習をとらえ、どんなツールや仕組みで設計しているか、教師(風越学園ではスタッフ)はどんなことを考え、子どもたちはどのように受け取っているかを伝える試みです。

https://www.valuebooks.jp/bp/VS0058752706より。2024/02/23確認

自分はすぐに予約しました。予約のチャンスを逃すのは勿体ないですから興味のある方はぜひ!

※追記:完売してしまいましたね…。

さて、今日はそれに関連して探究の問いについて少し考えてみようと思います。

探究は問いが大切だと分かっているけど…

探究の学びにおいては「問い」が命だということは、様々なところで強調されているので、だいぶ世の中の共通認識になってきているように感じています。

そのため例えばQFT(質問づくり)のような方法もかなり多く実践されるようになってきました。

「問う」ということ自体が子どもたちの体験として、まだまだ少ないからこそ「問う」ということの経験を増やしていかなければいけない段階であると感じています。継続的に教科の中でも、探究の授業の中でも、「問う」ための訓練はこれからも必要になるでしょう。

ただ、「問う」訓練が出来てきても、その先がまた少しハードルがあるように感じます。

つまり、探究の学びを実践するための「問い」としてどのようなものがよいかということが、簡単にはつかめないということです。

探究のための二種類の問い

大雑把に捉えるならば、「探究の問い」と一言に言っても、二種類あると思っています。そして、その二種類を上手く分別しないと、子どもたちも先生も苦しくなると思うのです。

その二種類の問いとは「その人の価値観や思いに直結する生き方に関わる問い」と「目の前のアクションのための問い」の二種類のことです。

一般的な言い方をするならば、「リサーチクエスチョン」を探究では扱いましょうということになります。

つまり、素朴に思いついた「問い」や本当に強く思い入れのある「問い」は、どうしても抽象的で壮大になりがちで、どうすれば良いのかというところから学ぶ段階に取り組む問いとしては扱いにくいということです。だから、「目の前のアクション」をはっきりとさせるような問いへと、変形させていくことが大切になるのだろうと考えています。

前者の「価値観や思い」に直結する問いを捨てなさいということではありません。そのような問いは、探究という手間のかかる学びを駆動するエネルギーになります。ただ、一方で自分のエネルギーを集中するための方向性を持つための問いとして、リサーチクエスチョンとなる問いをしっかりと作ることが大切になるのです。

問いの間を行ったり来たり

抽象的で壮大な問いに向き合い続けていると、割と早い段階でしんどくなります。子どもたちも先生たちも。アクションできないで固まってしまう時間は探究の時間においては結構つらいものです。

だからこそ、リサーチクエスチョンとしての問いを持ち、まずは手を動かしてみる、体験してみるということで、自分の取り組みたいことの感覚をつかむことが大切になります。

一方で、リサーチクエスチョンのようなものを矢継ぎ早に乱発してしまい、何だか作業ばかりしているというのも、探究としてはやや物足りなさを感じてしまうところです。また、おそらく自分が大切にしたかったことを見失ってしまうのだろうとも思います。

探究を進めていこうとするときに、二種類の問いのどちらも欠けてしまったらいけないのだろうと感じます。「価値観や思い」に関わる、自分の本当に大切にしたい問いと、目の前の課題に取り組むために立てた問いとの間を何度も往復することで、徐々に自分を探究に向けていくことができるのだろうと思います。

【総合的な探究の時間編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説より

探究を説明するときに、この図は色々なところで引用されていますが、自分が思うに、一つ一つのサイクルを回すときに必要になる問いと、図で言うと右上の方へと自分を引き上げていくための大きな問いを、しっかりと区別しておくことが大切になるのでしょう。

この図のように探究のサイクルが何周も回るということは、まだあまり上手くいっていないように感じています。

それはもしかすると、問いの立て方が大きいものばかりで、リサーチクエスチョンにあたるものを上手く作れていないかもしれませんね。

自分を動かす大きな問いと、今すぐ取り組むべき問いを区別しながら、探究については考えられるとよいかもしれませんね。


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