見出し画像

普段の使い方を立ち止まって考えるデジタル・シティズンシップ授業

Google for Education認定トレーナーの笠原です。

年末が迫っていますが今年最後の単元としてデジタル・シティズンシップの授業に取り組んでいます。

今回はCommon Sense Educationの教材を翻訳してそのまま使っています。

ソーシャルメディアの年齢制限の話とターゲット広告の話です。

生徒にとっては馴染みの深いテーマですが、意外とどのような仕組みなのかを知識として持っていないポイントです。

こんな感じでスライドを全部翻訳しています

※著作権的に翻訳という翻案がOKなのかやや自信が無いところです。スライドのCCライセンスを見ると「改変不可」の表示はないので、営利目的ではないので大丈夫かな…と思っています。

生徒の実体験が発話される

このレッスンプランのワークは実際に生徒が直面したことがあるような内容になっているため、話を聞いてみると自然と生徒から「自分の体験」の話が出てきます。

レッスンプランの後半のターゲット広告については、普段からスマホなどを使っていると生徒たちの意識にもしっかりと記憶されていますし、実際に気になった広告をクリックしたことがあるという生徒も少なくないようです。

そのような体験で「どのようなことがあったか」「どのような気持ちになったか」ということが発言され、生徒同士で意見交換されていくことで「自分たちが普段見ている広告はこういうものなのか」という気づきを持つようです。

デジタル・シティズンシップの一つの目標は授業の結果、子どもたちの日常的なデジタル生活での行動の仕方が少しずつ変容していくことですが、こういう「実体験」の会話によって気づきを得ると、自分の行動を振り返ることにつながりやすいようです。

「使える」と「分かっていて使う」は違う

このレッスンプランの一つのポイントは「年齢確認の仕組みは簡単に誤魔化せてしまうけど、それでも使って良いの?」という投げかけにあるように感じます。

ソーシャルメディアの多くは13歳以上を利用条件としていますが、年齢確認自体は登録時にチェックボックスにチェックをいれるだけ……という場合が多いのが事実です。

そのため、子どもたちも本気でその「ソーシャルメディアを使いたい」と思えば簡単に年齢確認を誤魔化して使ってしまうことが出来るわけです。

しかし、ここで考えるべきことが「使えるからといって使ってしまう」ことの問題が何かということです。

この問題はこの「年齢制限」の話だけにとどまらず、結局、普段から使っている端末も「何歳からであれば使えるのか」という問題にもつながっていくと感じます。つまり、「機械の操作ができると、ちゃんと安全に管理して自律して使えるは違う」という気づきにつながると思います。

「こうすべき」「こうあるべき」という教訓としての授業や知識伝達ではなく、普段、何気なく使っているものの仕組みについての知識を与え、対話を促すことによってデジタル生活全般の振り返りにつながっていくのが、Common senseのレッスンプランがよく出来ているなぁと感じる点ですね。

社会参加という視点

もう一点、Common senseのレッスンプランの特徴として挙げておくべきこととして、スライドの中にある動画で「社会に参加する」ということが取り上げられている点でしょう。

デジタル・シティズンシップはシティズンシップでもあるため、「ICTを使ってどのように社会に参加するか」という視点は非常に重要です。

なかなか日本の事例でソーシャルメディアを用いて、子どもたちが社会参加をするという例はありませんが、このレッスンプランの中ではそのような事例をいくつか紹介しています。

生徒がそれらの事例を見ても「どこか遠いすごい人の話」という感覚があるようです。

ただ、ちょっと学校生活を振り返ってみると、探究学習で生徒たちが課題解決を考える時に、ソーシャルメディアの利用をアイデアとして挙げることは少なくありません。

生徒たちもソーシャルメディアが社会に与えるインパクトを理解しつつも、その使い方や活用例がまだまだ具体的なイメージを持てない状況……というのがリアルなところかもしれませんね。

Common senseの教材を体系的に取り組んでいけば、そのような活用の観点のどんどん成長できるのではないかと、期待感を持っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?