ねえ、かみさま

久々の投稿。

実に3ヶ月ぶりの投稿となるが、そもそも今年の夏は暑過ぎて何も手がつかなかった。私の住む街が全国でベスト3に入る程の気温に見舞われるなど、例外づくしの今年は、当地で老舗のスーパーマーケットの元役員が反社会勢力と関係を持って一緒にパクられたことを起因に民事再生に陥ったり、日本の芸能界を牛耳ってきた某事務所が元代表の性暴力に関わるニュースを海外メディアに取り上げられた結果廃業に追い込まれるなど、これまで当たり前にあったことが一瞬のうちに散っていく様を見掛ける年となった。時代は常に変化を遂げていくが、これほど目まぐるしく変わった年はない、と言えば多少大袈裟な話だが、2020年の新型コロナウイルス蔓延以降制限されてきたものが一気に吹き出したような感覚に見舞われている。

広い世界を見渡すと、2022年のロシアによるウクライナ侵攻などを皮切りに、歴史の教科書に掲載される級の出来事が増えつつある。遠い日本という小さな国の、しかも地方の田舎から見ると完全に他人事な話だが、実際に被害を受けた人たちにとっては、我々の「たかが最寄りのスーパーが潰れた話」みたいなのは鼻くそなぐらい困った話である。私はこれまで海外の渡航経験が小学生の時の一度だけで、その唯一の国がロシアだった。ベースキャンプみたいなところにスポーツ親善みたいな催しで訪れたのだが、思えばあの時親切にしてくれた現地の人たちも数名は現地に駆り出されているのかもしれない。ヌルくて危機感が無いなどと一部の人間はよくこの日本という国を批判することがあるが、ここ数年のこういった物騒な話題を頻繁に聞くと、日本に住んでて良かったと心から思ったりする。家族が居るとなおさらそう思う。

そして2ヶ月ちょっとで終わる2023年、常に揉めてる中東で今世紀最大と言っていいほど大規模に揉め始めた。イスラエルとパレスチナの問題私のような砂利が語れるほどの話ではなく、政治家、学者、有識者、ジャーナリスト、どんな奴が何を語ろうと正解がない難しい話である。小学生の頃から世界史(特に西洋史)が好きだった私の知識は正直中学レベルぐらいまで落ちたと思うが、とにかくあの辺の話はややこしいという認識だ。簡単に言うと双方、ではなく関わった奴の誰もが自分達が正義だと完全に思い込んだ人間の歴史が話をこじらせてきたというやつである。

そもそも戦争なんてお互い自分が正義だと思って相手を敵と見做して戦う話で、よく媒体で偉方が「人類の歴史は戦争の歴史」などかこつけて言うが、確かに人間の歴史を辿れば何かと理由をつけて戦争を繰り返してきた。根本的な一番の理由は「土地」というか「領土」だろう。かっこつけて言えば全部こじつけた上でひっくるめて「地政学」とか言うのだろうが、平たく砕いて言えば野生動物がやってる単なる縄張り争いみたいな話だ。我々のような一般レベルでも、例えば隣の土地の奴がいきなり塀を壊して自分ん家の庭に入ってきて所有権を主張してきたら、誰でも怒る話だと思う。更にその相手が自分と少しでも違うとなれば不信感しか抱けず、まずは係争処理が出来る機関とかに相談しようかと考えるだろう。しかし誰もがあやふやで、ましてや先方は話が通じず、拍車をかけて「この塀はそっちが勝手に作った話で、もともとここはうちのものだった」とか自分で納得がいかない主張をしてきたら、誰でも腹が立って埒開かないからブン殴ろうって思うかもしれない。

しかもそれを実はお互いに思っていて、昔からお互いがこの土地は自分のものだって意識が高いなか、そのうち勝手に係争処理機関気取りのやつがいきなり「そこが自分の土地だと取り決めてくれたから俺のものだ」と主張、一方では「勝手に決められた話だから待て待て腹立つわ」、ってのが今日までに至るあの辺の情勢の簡潔な要約である。究極の隣人トラブルを半世紀以上続けているといえば無礼かつ無知な話に聞こえるかもしれないが、イスラエルとパレスチナだけでなく、現在も戦争中のロシアとウクライナ、長年いがみ合っているインドとパキスタンなどは経緯や細かい理由までは違えど、根本的に何であろうが本質がなんであろうが、平たく言えばお隣同士で土地の話で揉めている、と言ってもいいだろう。ただこのイスラエルとパレスチナの話は単なる隣人トラブルで語れない因縁も根付いている。

というかイスラエルとパレスチナの話になりがちな昨今の衝突ではあるが、今回の発端となった攻撃を始めた「ハマス」がイコールでパレスチナではないという認識だけは持っていた方が良い。パレスチナを掌握してる組織がハマスって話で、とりあえずハマスに奇襲された報復でハマス=パレスチナとしてイスラエルが躍起になってカエシをしてるわけだが、これまでの流れをみても毎度毎度パレスチナに住む一般の人たちは気の毒で仕方ない。長年抱え込まれて隔離されたような生活に永遠に光が指す気がしない。「天井のない監獄」とかどっかの奴が表現してるが、いわば生き地獄だ。もう20年近く妨げられてきた上に拍車をかけてまた無差別に爆撃されるなど、シンプルに悲惨でしかない。
かたやレイヴの最中に襲われたイスラエル側の人たちも災難で、最も戦争からかけ離れた享楽の頂点にあるサイケトランスの催しで襲撃されるなど予測出来るはずもない。そもそもイスラエルはテクノやトランスなどのダンスミュージックが盛んな場所であり、何となくその道を通った私としても、理由はどうであれこの催しの最中に仕掛けられたのはなかなか許しがたくハマス側には決して同情する余地もない。というかイスラエル側のモサドとかの優秀な諜報機関各位が何故この急襲を事前に察知せず、ガザから比較的近い場所でのレイヴパーティの開催を許可したのかは疑問だ。その辺に関する陰謀論をSNSで語ってる輩を事件以降目にすることが多かったが、私もその辺は同意見だったりする。陰謀論者ではないが、背後に何かが居てそうさせたと勘ぐりたくもなるぐらい悲惨な出来事だったと思う。

繰り返し言うが当然ハマスの急襲テロは非難すべきだし、これまでのイスラエルの強硬の歴史も許しがたい上に報復で無関係の人が死んでいくのは辛い光景だ。いずれにせよイスラエルもパレスチナも、どちらも長い人間の歴史の被害者だ。巷で19世紀の大英帝国二枚舌の話に遡ってイギリスのせいだという意見を目にするし、キングオブヤンキーことアメリカ様はいつだってギャングスタイルだ。その反対側で中露レッドリボン軍も何かを画策してるし、パレスチナの同胞というべきアラブ諸国としたらイスラエルや西側諸国が腹立たしい限りだと思うし、とにかく外野が騒がしい。

元を辿れば、めいめいの宗教がそこを聖地としてることに起因してるというか、そこに双方(+キリスト教)が信じる神が居て、、、というかその「神様」からすれば甚だいい迷惑な話で、勝手に信奉されて勝手に歪み合う感覚は、ドラえもんの映画「のび太の創世日記」の描写にもあるので、このご時世だからこそ全世界の人に観て欲しいくらいだ。

1995年公開。恐竜だのなんだのリメイクせず、これをリメイクして欲しい。

とはいえど、皆が信奉をやまない「神様」にその争いを止める力がないというのもおかしな話で、結局のところ自分達で改善策を導かなければ世界もろとも粉々になってしまう。神なんて、宗教なんてじゃがたら「もうがまんできない」ではないが心の持ちようである。人間という生き物は儚くて弱い。だから何かに縋る。ただ、長い歴史のどこかで人間が信奉や地政学観点など無しで冷静に考える時間があったら、このような結果にならなかったのかもしれない。逆を言えば、今こそ歪み合うタイミングではなく、冷静に改善策を考えるタイミングなのかもしれない。

但し、個人的にはその「神様」とやらに、来年の夏はもう少し涼しくしてくれないかと嘆願したい気がした。とりあえず一刻も早く世界が平和になればいい。

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