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直焚きでつくる あさりの佃煮

これは「いかなごの直焚き」という方法で作るレシピです。脂がきつく、すぐに腐ってしまうような足の速い魚や海鮮を食べるときに使われるやりかたで、神戸では家それぞれに配合があり、作り方があります。それももう廃れてしまいそう。あさりは普通に佃煮にしてもおいしいのですが、技術の伝承という意味で直焚きしました。

<材料> できあがり80gぐらい
あさりむきみ 100g
しょうゆ 52g
さとう 55g
しょうが 10g

<作り方>
1 しょうがはうすく切る(お好みで千切り)
2 小鍋にしょうゆ、さとうを入れて沸かし、沸いたらしょうが、あさりを入れて混ぜ、煮立てる

3 沸きあがってきたらこぼれない程度に火を弱めるが、強めの火で炊く

4 汁が少なくなってきたらザルにあげて、煮汁とあさりに分け、冷めたら出来上がり

いかなご1kgで作るときの分量をそのまま10分の1にしただけなので非常に変な材料表記になっています。ざっくりしょうゆ50gとさとう50gで構いません。また本来はザラメとよばれる砂糖でつくります。春の時期に神戸のスーパーに来たら、いかなごのコーナーがあります。たとえ本体のいかなごが無くても、ザラメ、水あめ、ハチミツ、みりんといった甘み類、濃い口薄口の醤油類、根ショウガ、山椒といった香辛料、酒、くるみなどナッツ類、タッパーを集めたコーナーが必ずあります。これもあまりにも不漁が続くと無くなっていくでしょう。いかなごのコーナーができると、「お、もうそんな時期か!」と春を実感するのです。

私はくるみを入れるのも好きで、煮汁と分けたところでいれます。ご家庭によりいろんな作り方がありますが、大体の材料は先ほどの「いかなごのコーナー」にあげたものです。
作り方としては、調味液を煮たてるまではほぼどこも同じですが、「ちょっとずつ分けて入れるレシピ」と「一気に入れるレシピ」が存在します。我が家は一気にすべてを入れる式です。
そして「強火で一気に炊き上げる」「底が焦げる・魚が壊れるので、道具で混ぜてはいけない」は各家庭同じです。
どんな調味料を入れるのか、どこまで煮詰めるのかによって、千差万別、友達同士交換もしました。何せキロ単位で売られており、シーズン中はひと家庭で毎日炊いて合計30~40kg炊くという家もめずらしくはありませんでしたから。今はもう昔の話になってしまいました。レモンを入れたり、本当の飴(カンロ飴)で炊くおうちもありました。醤油の甘い匂いで町中が染まりした。我が家も子どものころは一週間は炊いて、30kgぐらいを作って1年じゅう食べていました。お弁当の具はだいたい、いかなごのくぎ煮でした。

さて、この佃煮の煮汁は我が家では「(いかなごの)あめ」と呼び、煮た素材の旨味がたっぷり入っています。甘じょっぱいのでモチや団子につけたり、おにぎりにつけて食べたり、水で伸ばして煮つけの汁などに使えます。あなごの寿司につけることもありました。

小さい貝、小さい魚、冷凍のイカ、シーフードミックスが余って何か作らないと、と言うときに是非お試しください。調味料の自分流アレンジもおすすめ!酒やみりんがはいると柔らかくなります。水あめや飴は照りを出します。しっかり煮詰めた方が照りはでやすいのですが、硬くなりやすいので、照りが出て柔らかいのがいい人は水あめを使います。

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