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#映画感想文⑨宮部みゆき原作/目撃証言のインタビュー形式サスペンス『理由(わけ)』/大林宣彦監督

『理由(わけ)』

ジャンル

サスペンス/複数の目撃証言/非日常が発生した時の不安感

あらすじ

バブル崩壊後の東京下町のタワマンで嵐の夜に若い男性の飛び降り遺体が発見された。マンション住民の複数の目撃証言を基に、ある一室でさらに3人の遺体が発見される。はじめはその部屋の住民一家が殺害されたとして捜査・報道されるが・・・?

感想

面白かった!

まず高層タワマンで嵐の夜に起きた殺人事件で、
複数のマンション住民からそれぞれの目撃証言を聴き取りしていくスタイルに惹き込まれた。

フィクションのようでもしかしてリアルにありそうな不安な雰囲気。

嵐の夜に住民たち(管理人や事件部屋の隣室住民)がそれぞれインタビューに答えていく感じが「どういう事件なんだろう?」と興味がそそられた。

正直、まず最初の縦書きの字幕がザーッと流れるところ(東京下町の今昔住宅事情の説明)は早すぎて読めないし、原作小説の文章の部分をそのまま映画で流してる(?)演出は辟易したけど、それ以降は惹き込まれた!

大林宣彦監督の作品。

殺人事件の関係者のカメラ目線のインタビュー形式の演出で、
どうしても説明的になりがちな小説の地の文のところを自然に映画として視聴者に説明できてて(何時に起こったとか)、
発見だと思った。

それが演出がかり過ぎてて映画として嫌な人もいるかもしれないけど、私はいいと思った!

事件の背景も時代的に悪いことしてると思わずに本当にやってしまいそうな設定で、その部分リアルに感じた。

おすすめポイント

ちょっとしたところも完璧な布陣の豪華キャスト

ただとにかく人気俳優!って感じじゃなくて、すべてのキャスティングが役にマッチしていた。

主役(?)の岸部一徳さんがまず嵐の夜の不気味な雰囲気にマッチしていたし(この人悪い人なん?普通の人なん!?感)、

「雨かぁ。いやだなぁ、早くやまないかな」みたいな日常の中。

マンション住民役の人たちも絶妙だし、

若者役とかも今になってみると有名俳優の人たちが。
(多部未華子/加瀬亮/宮崎あおいなど)

あと、本当にワンポイントだけのキャストがすごい豪華!

「この人出てたんだ」

というような普段役者のイメージがない人(芸人さんや有名声優さんなど)や、大御所の俳優さんが本当にワンポイントで出演されていたりする。

少し目を離していたら本当に見逃すようなすれ違いとかちょっとしたところで。

その使い方が贅沢で面白かった。

しかもみんなハマり役だった。
こういうのって今かなり難しいんだろうなって思う。

ぜひ実際に誰が出ていたかチェックしてみて下さい!


宮部みゆきさんの原作小説

有名なのに、なぜか今まで読んだことがなかった。

なので、宮部みゆきさんの作品のうち、今回の『理由(わけ)』と『模倣犯』をAudibleで読んでもらった。

正直、個人的にはどちらも結末の犯人の人物像が「う~ん・・・」と思ってしまったけど、それは自分がこの時代の雰囲気を知らないからだろうなとも思う。

結末に至る物語背景の設定とかはすごいリアルだった!
こういう事態が問題視された時代なんだろうな~と思った。

たぶんこの時代は、それまでの時代では想定もしていなかったような、新たな問題や犯人像が現実に現れ出して、実際に世間に衝撃を与えたからなのかな。

きっと今の時代の価値観で物語を書いて、今の時代にありえそうな犯人像とか登場人物設定にしたら同じようになる。
今の時代の世間には「こういう人いそう」とか「ありえそう」とかがちょうどしっくりくるけど、
少しのちの時代の人たちが見たら、時代劇とかほどじゃないけど、なんか若干の違和感があるのかも。

でもそれこそが ”時代の感覚を切り取った小説” としてのちに残るべきかも。

スピーカーでAudible

家事をしながらEcho show5Audibleを流してると、TVをチラ見しながら家事するよりもなんか家事に集中できるし、よりスッと物語世界に入れる感じがした。

特に田舎のばあちゃん家で雨の夕方にご飯を作りながら聴いていたら、めっちゃ物語の雰囲気というか、気分が盛り上がった!!

これじゃなくてもいいんですけど、スマホじゃなくてスピーカーでAudibleを流すっていう点が重要で、スピーカーだと家事で水音がすごくても朗読の音声が聴き取りやすい

スピーカーで聴くのがおすすめです。

Bluetoothイヤホンとかでもいいけど、

それだと外音がスピーカーより遮断されちゃうので、私的に家事中はちょっと(結局私は片耳だけで聴いたりします)。

↑ これなどは防水なので、風呂で聴くのにはBluetoothイヤホンいいと思う!

ちなみにAudibleというのは、小説など活字の本を俳優さんや声優さんが朗読してくれているAmazonの音声サブスクで、

プライム会費と別に月額1,500円です。
初めての場合、2ヶ月くらいの無料体験期間があります(※時期によって期間が異なるかも)。

Audible内でさらに個別に本を購入しなくても、
聴き放題に入っているタイトルはすべて聴けるので
(2023年5月1日現在、12万冊聴き放題で、『理由』や『模倣犯』もAudible会員聴き放題タイトルです)
紙の本をハードカバーで買うと1冊約1,500円とかくらいですし、たくさん数を聴きたい人には割がいいと思います。
(※「これ!」っていうタイトルがAudibleにないかもしれません。こだわりなく有名タイトルの本をたくさん数聴きたい場合は良い)

本が読めない人におすすめ

普段読書習慣がなかったり、ずっと本を読みたいとは思っているけど、長い文章を読めない(何度も同じところを繰り返し読んでしまったり、読んでも読んでも内容が全然頭に入って来ない)人にはAudible体験おすすめです。


なんか昔ピアノが弾ける子って、つっかえても楽譜を読みながらとりあえずどんどん先に進めていく子が多かった気がするんですけど、
本が読める人ってそれに近い気がする(そして頭もいい)。

逆にピアノでつっかえた所にこだわって止まってしまって、そこがちゃんと弾けるまでは次にいけないタイプの人が、
本の内容が頭に入ってくるまで何度も同じところを読み返しちゃうタイプの人に近いと感じる。

それで結局、1冊も読み切れない。
(それは私のことです)

自分で能動的に文章を読んでいたら固執して止まってしまうところでも、Audibleだとサラっと読み流してくれて、しかも意外とそこ読み飛ばして先に行っても全体の内容って把握できるんだなぁと気がつかせてくれる。

全然読まなかったらサブスク解除すればいいし。

色んな有名タイトルなどの本の内容をとりあえず頭に入れていきたい人には便利。

ちょっと脱線しますが、このAudibleの朗読を収録する仕事って大変そうだなぁと想像しました。
ハリーポッターとか『罪と罰』とか(Audibleにあるかは知らない)長いタイトルの場合、一体何回に分けて録るんですかね?

しかもカット割らずに結構長めに朗読していて、それでもしも噛んじゃったらすべて最初からやり直しですもんね。

一生終わらない気がしてしまいそう。

録り終わったら達成感がすごそうです。

AI音声で録ればそんなの関係ないけど、でもやっぱり小説の場合は俳優さんや声優さんの演技もその本が面白いかどうかにプラスで乗っかってくるので、今のところ大変そうですね。

後半ほぼ大林宣彦監督の映画『理由(わけ)』の感想というよりも、Audibleの宣伝みたいになっちゃいましたが。

とにかく、嵐の夜のちょっと昔のタワマンで住民たちのそれぞれの目撃証言でサスペンスな雰囲気
がたまらなく面白かったです。

以上、
#映画感想文

でした。

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