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【ゼロから人事】人事制度策定・改定の目的とは?


人事が変われば会社が変わる!

会社にとって、最も重要な経営資産が人であり、その人を扱うのが「人事の仕事」です。

そこで『ゼロから人事を学べる』noteをこれから書いていこうと思います。

経営層・管理職・一般社員にとって「人事制度」や「人事戦略」という言葉は知らない人のほうが少なく、目新しさもありません。しかし、その定義や目的を人事担当者や人事コンサルタントに聞いてみると、会社や人によって面白いほど様々な回答が返ってきます。

これから人事制度について知識を深めたいという方に向けて、本内容をシリーズ化にしてお届けします。

目的は、人的資源を最大限に活かすこと

人事制度の目的を一言でいえば「人的資源を最大限に活かすこと」です。
人的資源とは、経営資源の「ヒト・モノ・カネ・情報」のうち、「ヒト」を指す言葉です。

企業のビジョンや目標を実現するためには、人的資源を有効活用することが不可欠です。従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大限に引き出し、組織全体の生産性を向上させる必要があります。

そのために、企業はさまざまなマネジメント手法を駆使して、人材管理に取り組んでいます。この人的資源を管理する人的マネジメントの最も基本的なツールが「人事制度」です

もしも企業に人事制度がなかったら、適切な人材管理が難しくなり、資源を管理できていない状況で企業が成長し続けることは不可能でしょう。

このように、人事制度は企業が業績向上を目指すための要(かなめ)の戦略だといえます。

従業員へのメッセージにもなる「人事制度」

「人事制度」とは通常、“等級制度や評価制度、報酬制度などを指す”といったように一義的に解説されることが多いですが、少し違った切り口からも説明します。

『人事制度が持つ二面性』という切り口から人事制度の定義やあり方、目的などを紐解いていきます。

まずは「人事制度」の一般的な定義から解説させていただきます。狭義の人事制度は前述したように「等級」・「評価」・「報酬」の3つの制度を指します。この3つを「基幹人事制度」と呼ぶこともあります。

詳しくはこちらで解説しています。

多くの書籍や文献では、上記の様な定義がなされており、正しいものではあるのですが、こうした「仕組み論」としての定義を押さえるだけでは不十分です。

人事制度は会社としてのマネジメントの仕組みであるとともに「会社から従業員へ伝えたいメッセージの媒介である」という側面も理解しておく必要があります。後者の視点に基づく定義は以下の通りです。

●等級制度:従業員に対して「育ってもらいたい人物像やキャリアパス、担ってもらいたい役割や職務のレベル」を提示するもの

●評価制度:従業員に対して「とってもらいたい思考や行動、目指してもらいたい方向性・目標」を提示するもの

●報酬制度:「会社として何に報いるのか(何を大切にしているのか)」を提示するもの

出典:HRプロ

人事パーソンやコンサルタントが人事制度を「仕組み論」のみで捉えている場合、制度の複雑化をしばしば引き起こします。なぜなら多様な従業員やケースに対して“仕組みとして適切に”対応しようとするあまり、過度な分化(複線化)や条件・ロジックの付加を重ねてしまうからです。

その結果、制度を通して従業員に何を伝えたいのかが不明瞭になってしまいます。こうなれば、人事制度としてのメッセージ伝達機能は働かず、機能不全を起こしてしまう可能性が非常に高まるでしょう。そういった状況を避けるためにも、人事制度というものが持つ機能を「仕組み」と「メッセージ」の両面から理解しておく必要があります。

企業理念との連動

人事制度を再構築したいと考えている企業は、「人」に関して何らかの問題を意識していることが多いでしょう。しかし、顕在化している問題の解決だけを目的に人事制度を再構築しているようでは、失敗につながりかねません。

もともと人事制度は、「事業目的、経営戦略に最適の組織をつくる」ためのものです。目先の問題解決だけでなく、「自社にとって最適の組織とはどのようなものか」を考え、そのための組織デザインを進め、併せて現在抱えている課題も解決していくことが望ましいでしょう。

「企業理念」=「人事制度」=「人材」が、一本の軸でつながっていることが重要です。例えば、「和を尊ぶ経営観」で「親和性・協調性の高い人材」が働く企業に、「成果主義人事制度」を導入しても決してうまくいかないでしょう(下図)。

成果主義人事制度が本来の効果を発揮するのは、企業理念が「自立と自己責任を尊ぶ経営観」で、そこに働く人材も「競争性・自立欲求の高い人材」であった場合です。「和を尊ぶ経営観」で「親和性・協調性の高い人材」が働く企業であれば、人事制度もまた「チーム成果も含めた育成的人事制度」を基調にすべきでしょう。

※図の出典:株式会社クイック

つまり、人事制度はそれだけが独立して存在したり、成果を出したりできるものではありません。企業の経営理念、経営戦略、またそこで働く人材との関係を考慮して構築していくべきものです。

今回は人事制度の目的について、書いてみました。ゼロから人事のことを学びたい人はぜひ、参考にしてみてくださいね。

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