見出し画像

暮らしのなかで、一瞬ごと。

「あの人は、でかいね。
いつも穏やかで、心静か。
どんな人にも、どんな出来事も、
どんな屈辱も戯言も、
にやりと微笑み、包み込んでしまう。

不機嫌にいじけたりせず、大きな懐で
小さなこだわりや、わだかまりを
丸ごと受け入れられる人。

人の態度や姿勢を変えようとせず、
目の前のこと全てに感謝し、
柔らかく引き受ける。

器が違う、度量が違う、人格が違うのだ。
自分の欠点との戦いに勝利している。

あらゆる悲哀、艱難辛苦をも
飲み込んだ孤高の境地の微笑み。

天から賞賛される人。

そう言われる人に私はなりたい。」


僕は、2020年のアニメ映画「ソウルフル・ワールド」を鑑賞後、傷心を負った若い頃に僕が作ったこの文章を思い出したのでした。

この映画のBlu-rayを買ったきっかけを思い出せないのです。本かネットで推薦されていたのか。僕はジャズ好きなので、その方面の人から教えて頂いたか。
いずれにしてもいい歳したおじさんである僕が、この作品とのご縁を頂き、大感謝、歓喜なのです。  

舞台は米国ニューヨーク、ジャズの街。
非正規雇用の音楽教師ジョーは、ある日、校長から、正規採用が決まったと言われる。喜ぶ反面、彼にはプロのジャズピアノミュージシャンになりたい夢があった。その直後に彼にジャズの大スターとの共演の機会が訪れる。でもその矢先、彼はマンホールから転落、不思議な世界に迷い込むのだった。
そこは人間が生まれる前の、魂の存在が集うワールド。そこで彼は生きる意味、人生の価値を知る。

ネタバレはこれくらいにして、僕は本作は子供向けアニメというより、あるいはジャズを楽しむ作品というより、大人向けに、日常への感謝を綴った名作だと思いました。

僕らの生きる世界は、
楽しいことばかりではなく、
哀しくて、しんどくて、
憂鬱に感じることも多々あります。
哲学の書では、そういうことも
有り難い、必然のこととして
受け入れよとありますが、
辛いことを楽しく感じることは
なかなか難しいですよね。人間ですから。

でも甘味ばかり食べていたら飽きるし、
塩気のものも食べたくなる。
酸っぱいものも、苦味のあるものも。
ビターなスパイスを経て、
初めてわかる人生の滋味。

どんな出来事でも、
街角で風に揺らぐ木々の葉も、
陽光差し込むせせらぎも、
その瞬間ごと、必ず意味がある。
平穏な日常がどんなに有り難いか。

僕らの生きる一瞬一瞬が
宝物のような輝きのある時間なのだと
本作は教えてくれます。

「そう言われる人に私はなりたい」
あれから長い歳月を経ても
僕はなれていません。これが難しい。
でも諦めていません。

瞬間ごとの出来事に感謝して、
苦味も含めて笑って包み込む。
吹き飛ばすことが出来る人でありたいと
僕は思い続けています。

この作品を観終わって、
僕はミスターチルドレンの「HERO」の
歌詞を思い出しました。

♫「人生をフルコースで深く
味わうための
いくつものスパイスが誰にも
用意されていて
ときに苦かったり
渋く思うこともあるだろう
そして最後のデザートを
笑って食べる君のそばに、
僕はいたい」♬

ミスターチルドレン「HERO」

この映画、この歌に出会えて、深謝。

最後までお読み頂き、
ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?