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いっぷく安息、珈琲からの白き「ふぅーっ」!

日々寒さが増し、
珈琲の湯気の白さが引き立つ頃。

淹れたて熱々の珈琲の一口目、
唇をカップから離した瞬間、
吐く長い息「ふぅーっ」。

口のなかで珈琲の旨味が広がり
芳醇な薫りが鼻孔を抜ける瞬間、
意図せずに出る「ふぅーっ」。

この長い「ふぅーっ」は、
音だけ聴くと深い溜息のよう。
その実その逆、大きな安すらぎの息。

この長い「ふぅーっ」で、
肩の力が抜け、自分の中の何かが蘇る。
心に灯がともり、正気が徐々に立ち上がる。

この長い「ふぅーっ」で、
我が有り様を振り返り、省みる。
周りの存在の有り難さが沸き立ってくる。

この長い「ふぅーっ」で、
人は何かを入れ替える。
心のざらつきを消し、
確かな安らぎの手触りを得る。

マスクをしても、できる「ふぅーっ」。

いっぷく安息、珈琲の刻。
やがて白い季節がおとない、
「ふぅーっ」も白くなる。

「冬の灯や命あたたむ珈琲時間」弥七

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